天海 薫

天海 薫(あまみ かおる) 大学で生物学を学んでいる者です。生物や環境問題をネタに記事を投稿しています。 只今、ショートコラム連載中! ぜひ読んでみてください‼

天海 薫

天海 薫(あまみ かおる) 大学で生物学を学んでいる者です。生物や環境問題をネタに記事を投稿しています。 只今、ショートコラム連載中! ぜひ読んでみてください‼

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  • 【雑木林】生物たちのドラマと自然を届けるコラム

    生物や環境問題をネタにしたショートコラム集です。生物たちの意外な一面をユーモアを交えて紹介したり、環境問題をより身近に感じてもらったりするためのコラムです。誰にでも親しみやすく、読みやすいコラムを目指しています! 更新日:毎週日曜日

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【自己紹介】沖縄の生物学徒の話

 今回は、自己紹介をしたいと思います。 出身:東京(現在は沖縄在住) 職業:大学生 趣味:読書、写真、スケッチ、文章をかくこと 好きな動物:ペンギン  私の出身は東京ですが、今は沖縄に住んでいます。理由は、大学でどうしても沖縄の自然を研究したいと思ったからです。沖縄にはサンゴ礁をはじめ、マングローブや「やんばるの森」など、豊かな自然がたくさんあります。東京にいては決して触れることのできない自然をどうしてもこの目で見たかったのです。この辺の話はまたの機会に詳しく書きた

    • 守るために何もしないということ

       「ここはとてもきれいなところですから、あなたは来ないで下さい」  沖縄県の「やんばるの森」が世界遺産登録目前で注目を集める中、とある雑誌の記事に掲載されていた言葉である。  この言葉は、沖縄北部に残された雄大な自然を目にしたフォトグラファーからのメッセージであった。私がこの言葉に出会ったとき、少し複雑な気持ちになった。きれいな自然があるなら、私だって訪れたい。しかし、この言葉は真実である。  産業革命以来、人類の開発行為によって地球上の自然は多くが失われ、今もなお危機

      • 私が沖縄行きを決断したとき

         高校二年生の夏。私は自らの進路に迷っていた。学校の課題ともあって、夏に開催されている大学のオープンキャンパスを周っていたのだが、自分のやりたいことのある学部がどうにも見つからない。それどころか、自分がやりたいことさえ見失いかけていた。  私は中学までは天文学者になりたかった。しかし、高校に入学して生物の先生に出会い、その先生の授業を受けているうちに生物学へと魅かれていった。だからこそ、大学では生物学に没頭したいと思っていた。  一口に生物学と言っても、様々なジャンルがあ

        • 増える猫、減る猫

           ナショナルジオグラフィック(日本版)の2022年3月号の見出しは、「よみがえるビック・キャット」であった。インドに生息しているベンガルトラとインドヒョウは、それまでの数百年の間で個体数が大幅に減少していた。しかし、同誌によると、2018年の個体数調査で3,000頭近い野生のトラが生息していることがわかり、個体数は2014年と比べて33%増加した。ヒョウに関しては、生息数は2014年から62%増え、13,000頭近くになるという。  一方で、個体数が減少し、もはや絶滅と言っ

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        • 【雑木林】生物たちのドラマと自然を届けるコラム
          9本

        記事

          寿司屋からワサビが消える日

           日本食に欠かせない食材の一つにワサビがある。日本食ブームで海外でも人気となった寿司にもワサビは欠かすことができない存在である。ワサビを香辛料として使い始めたのは平安時代かそれよりも前のことで、かなり古い時代から日本食文化の中に存在してきた。しかし、長いワサビの歴史も、今となっては終焉が迫っている。 *  ワサビは、日本各地に分布し、澄んだ水が豊富に存在する過湿地に生えている。夏の暑さに弱いため、夏でも冷涼な静岡県、長野県、島根県などで栽培されている。しかし、近年の温暖化

          寿司屋からワサビが消える日

          宇宙船地球号の墜落

           「リベット仮説」というものがある。これは、生物多様性を飛行機のリベットに例えたものであり、リベット――すなわち種――が欠けると、やがて飛行機――すなわち生態系――が空中分解して墜落することに基づいている。一つ一つの種は、巨大な生態系の中では小さなリベットの一つで、その欠損は大きな影響を与えないこともある。しかし、複数のリベットの欠落がやがて大きな事故を招くように、多くの種の絶滅が生態系のバランスをひっくり返してしまうこともある。 *  私たちにとっての問題は、その種が一

          宇宙船地球号の墜落

          私が生物学の道を選んだ理由

           今回は、私がどうして今大学で生物を学んでいるのか。なぜ生物を専攻したのか。そんなことについて話していきたいと思います。 生き物が好きだから あまりにもありきたりですが、これこそが最も大きな理由です。やはり好きなものをどこまでも極めていくことは、とても楽しいことです。  当然、大学まで生物を勉強すれば、生物学の分野でも苦手なものがいくつか出てきます。私の場合、DNAなどを扱う分子生物学などです。これはどの学問分野や業界にも言えることだと思いますが、やはり楽しいことばかりで

          私が生物学の道を選んだ理由

          保全のトリアージ

           災害などで多くの負傷者が発生した際、少しでも多くの命を救うためにトリアージが行われる。トリアージでは、負傷の程度によって治療の優先順位が決まり、呼吸のある重傷者が優先される。つまり、「生命を救うため、直ちに処置を必要とするもの」が最優先治療群となるのである。 *  第六回目となる大量絶滅の時代を迎えている現在、地球上の生命は大災害に見舞われている。そして、同時に人類による絶滅危惧種のトリアージが行われている。ただし、このトリアージの優先順位は、「絶滅を防ぐために直ちに処

          保全のトリアージ

          地球を壊すカバ

           地球を壊すカバがいる。ただし、——なぞなぞのようであるが、―—カバはカバでも普通のカバではない。カバの正体は、地球の生物多様性を減少させる要因を、その破壊性の強さの順に並べたときの頭文字である。生息地(Habitat)の消滅、侵略種(Invasive species)によるかく乱、汚染(Pollution)による環境破壊、人間の過剰人口(Population)、そして過剰収穫(Overharvesting)。これら5つの頭文字を並べると、HIPPO(カバ)になる。 *

          地球を壊すカバ

          ウィルソン氏に花束を

           人はなぜ、祝い事や見舞いの際に花束を贈るのか。どうして花束をもらうと嬉しいのか。このような疑問に目をつけ、一つの考えを導き出した生物学者がいる。その人こそ、エドワード・O・ウィルソンである。彼は、人が花や自然を愛する理由として、「バイオフィリア」という考えを持ち出した。バイオフィリアとは、他の生命体、および、生命全体のプロセスと「親和的な関係を構築しようとする」人間の精神的な性向のことである。簡単に言えば、人が他の生物や自然に対して、関心や好意を抱く性質のことである。 *

          ウィルソン氏に花束を

          馬も人も知らぬこと

           馬は賢い。ドイツ語で「クルーガー・ハンス(賢いハンス)」と呼ばれた馬がいた。その由来は、彼が計算をすることができたことにある。計算ができる賢い馬として一躍有名になったハンスだが、種を明かしてしまえば、彼は計算をしていたのではなく、人間の表情を読み取っていたのだった。彼は数を答える際、その数だけ自身の蹄で地面を叩くのだが、正解の数に達した瞬間の出題者の表情を見て、それ以上地面を叩くのを止めていたのだ。 *  たとえ計算ができなかったとしても馬は賢い。長い間人類の家畜として

          馬も人も知らぬこと

          「珊瑚道」—サンゴに学ぶ生き方

           サンゴの中には、たとえ同じ種であっても、生息している場所によってその姿が大きく異なるものがいる。例えば、ハナヤサイサンゴは、波が少なく穏やかな環境では複雑な枝状の形をしているが、礁縁部の白波が立ち激しい衝撃にさらされる環境では、一つ一つの枝が太くなり、より単純な形をしている。これは、波の衝撃に耐えるために彼らが施した工夫とも言える。 *  新渡戸稲造の著作である「武士道」には、「最も剛毅なる者は最も柔和なる者」という言葉がある。この一文は、精神について語っている部分が大

          「珊瑚道」—サンゴに学ぶ生き方

          本棚の再発見:読書手帳を書く

           行きつけの本屋の棚に、文庫本に紛れて興味深いものが積まれていた。「読書手帳」である。文房具やノート好き(特に風変わりなノートなどには目がない)の私は、迷うことなく手に取ってみた。これが読書手帳との出会いである。  大きさは文庫本サイズ。あまりによくできているため有料かと思った次第である。 読書の記録をつける 読書手帳の一番の役割と言えばやはり記録をつけることであろう。自分がいつ、どんな本を読んだのかを書き込んでおく。本を読んでみて気になる部分があればそれも記入しておく。

          本棚の再発見:読書手帳を書く

          3分でわかる!SDGs入門

           最近、駅や商業施設、あるいは企業広告においてSDGsのロゴを見る機会が多くなりました。では、SDGsとは一体どのようなものなのか。この記事では、SDGsについて手短にわかりやすく紹介します。 SDGsとは何か まず、SDGsとは何かが最も気になる点であると思います。SDGsという名前は省略されたもので、正式にはSustainable Development Goals (持続可能な開発目標)と言います。このSDGsは、国際連合によって2015年に採択された「ポスト2015

          3分でわかる!SDGs入門