祇園囃子の聴こえぬ街へ・11
祇園祭宵山販売スイーツの中で究極の品がこれ、「行者餅」。
どの辺が究極かと言うと、なんとこれ、年に1日しか売らないのです。
1日ですよ。
売られているのは、柏屋光貞(かしわやみつさだ)さん。
1年1度、7月16日だけの販売です。
由来等については、以下をご参照ください。
昔は予約販売のみで、自分も電話予約して買いに行きましたが、何故か2017年より当日並んで買ってね方式に変更したそうです。
なんでだろう? 電話が来すぎて対応がしんどくなったのかな??
でも、まあ今年は訳が違うでしょうけど、ここ近年のすごい観光客の増えっぷりの中、そんなことしてたら東大路のあのほっそいほっそい歩道が行列でぱんぱんになってどえらいことになってたんじゃないかしら。
お味はちょっと独特。白味噌あんに山椒ががっつり効いています。わたしはちょっと、苦手な方向でした、すみません。山椒も白味噌も大好きなんですけども。
でも好きな人にはたまらない味で、毎年欠かさず買うぞという方も大勢いらっしゃいます。
生地はやわやわもちもちして好きなタイプでした。
以前にテレビで見ましたのですが、ご当主このお菓子に全力を掛けていて、ご自身が大峰山で山伏の修行をするのは勿論のこと、つくる前には役行者山で護摩を焚く修験者さんに来てもらい、材料や機械のお祓いに、ご祈祷をしてもらってからつくるんだとか。すごい。
ちなみにトップ写真は今年の役行者山・会所の入り口です。
茅の輪が出ています(これは毎年出ます)。
ちょうど山伏さんが出てきたところ。
※ おまけ ※
宵山にしかゲットできない究極グルメ(?)、それは水。
井戸水です。
御手洗井(みたらいい)。
四条から烏丸を上がってすぐ。
かつて御旅所があった場所なのだそうです。
前祭の宵山の日にしか開きません。
詳細はこちら。
https://kyotolove.kyoto/I0000085
これがですね、真面目に美味しい。
井戸水らしく、真夏でもひんやりしています。
開いてる時期なら、誰でも飲めます。
とは言え、たったひとつしかない井戸ですし、そんなに勢いよくばしゃばしゃ出ているものでもないので、あまりでっかいボトルとかで占領して汲むような真似はなにとぞお控えくださいませ。
また、維持の為にも、多少のお賽銭を入れていっていただけると病除け効果もぐんとアップするのではないかしらと思われます。
後記・2022年に講談社文庫より発売しました
『この季節が嘘だとしても』。
京都を舞台にした物語の中にこの井戸を登場させました。
主人公と、彼女が家族の仇と狙う相手が、思いもよらず立ち寄ることとなる御手洗井。喧騒と熱気で満ちる祇園祭の宵山の夜のただなかで、奇妙なしずかさと清らかさの漂う小さな空間を描写してみました。
他にもいくつも、京都の風景が登場します。もし良かったら、お手に取ってお読みいただけますと幸いです。