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【はがきサイズの短編】真夜中のたい焼きパーティー テーマ:豆乳クリーム入りたい焼き

オール女子会をしよう、と瑞稀からメッセージが入ったのは昨日のことだった。

わたしは嫌な予感がしつつ、経済学の講義が終わった後、瑞稀のアパートの前で聡子と合流した。空はすでに紺色で、空気は冷たく乾いていた。

聡子は優しげな瞳をきらきらさせながら、言った。

「オール女子会なんてはじめて。昨日からうきうきしてた。」

「どうかな。瑞稀から突然呼び出される時って、大体理由はひとつだから。ねえ、その袋、何?」

聡子が抱えている、甘い湯気が立っている茶色の紙袋を指差した。

「秘密。ここにくる前、実家寄ってきたんだ。」

聡子は本当に楽しそうに、ピンポンを押した。

「……でね、りっくんに飲み会行かないでって言ってもね、その時はわかったって言うんだけど、ダメなの。あたしも束縛したくないんだけど、メッセージが入らないと不安になっちゃって、つい電話とかしちゃって……」

瑞稀の話は止まらない。わたしはこそっと聡子に耳打ちした。

「で、別れたの?」

「さっき言っていたじゃない。」

「だって、いつものことなんだもん。」

「いつも、こんな調子なの?」

「恋愛がらみになるとね。ま、こういうとき頼りになるのは友達だから。」

聡子は神妙に頷くと、おもむろにカバンから大きな紙皿とお手拭きを取り出してさっさとテーブルに並べた。

瑞稀もわたしも、その手際の良さに驚き、口を開けたまま唖然とした。

聡子は、堂々と言った。

「瑞稀、今日は食べよう。うち、実家がたい焼き屋で、お父さんがいろんな味を持たせてくれたの。ほら!」

茶色の紙袋から、腹がふくれたたい焼きがおどり出てくる。ふわんと熱気があふれ、部屋中に香ばしい甘い香りが漂った。

紙皿が見えないくらいたくさんのたい焼きが盛られた光景は、圧巻だった。

瑞稀はごく、と喉を鳴らした。わたしは、その目に遠慮がちな色が浮かんでいるのを悟り、なんだかいじらしくなって一尾掴んで差し出した。

「うちも、経済学の小テスト、爆死してさ。だから、今日、女子会があってよかった。お互いやけ食いってことで、食べようよ。」

青春ドラマみたいなセリフに、顔が熱くなる。でも、あれはむずい、と聡子がのほほんと笑ってくれて、少しほっとした。

瑞稀は泣き笑いの表情で「ありがとう」と小さく呟き、ぱくりと頭から大きくかじりついた。

もぐもぐと噛むと、だんだん、青白い頬がコスモス色に染まっていった。

「めっちゃ、おいしい!これ、何?あんこと一緒に入っている……。あ、豆乳?」

豆乳クリーム!

おいしそうな響きにわたしたちは色めき、サクサク、もちもちとたい焼きをかじっていった。

つぶあん、いもあん、白あん、カスタード、チョコクリーム。

サプライズのような中身に驚きながら、どうでもいい話で笑っていたら、何時間も経ち、瑞稀は笑い疲れて眠ってしまった。

そして、うとうとしながら、歌うようにささやいた。

「あたしさ、浪人してるから……一個上じゃん……。だけど、こんな……たい焼き……友達がいて、よかった……。」

わたしと聡子は、顔を見合わせて、笑った。

Fin


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こんにちは!高原梢です。

今回はお題をいただきました!いつもありがとうございます♡

「豆乳クリーム入りたい焼き」

な、なんだその食べる前からおいしいとわかる響きは……恐ろしい子!ハラハラ

というのも、わたし、実は豆乳クリームのたい焼きを食べたことがなかったんですね。

あずきとか、クリームならカスタードくらい。



そこでひらめきました!

食べたことがないなら(取材も兼ねて)食べてみればいいじゃな〜い!


……大したひらめきでもない^^;

でも、ここから豆乳クリーム入りたい焼きを巡るTAKAHARA KOZUEの大冒険が始まったのだった……。

なんてこともなく、調べたら近所の駅ビルにありました。

さて、そのたい焼きというと、もちもちの生地は香ばしく、豆乳クリームはふくよかな甘さでとってもおいしかったです!

たまに買ってもいいかも……なんてo(^_^)o

豆乳クリーム入りたい焼きと出会わせてくれた、お題をくれたてるさんに感謝です!!

ここまで読んでくださりありがとうございます。

素敵な画像をお借りしました。


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