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本当に見つかってしまったら困る……『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平

1月に転職をした途端読書量がガクッと落ちてしまいました。
もちろん、休職期間のようにはいかないと思いましたがまさかこれほどまでに読めないとは思わなんだ。
しかし10年以上ぶりに新入社員になって意外とスレていない自分がいて新鮮でした。ちゃんと素直に社長の話を聞いていて、少し自分が愛おしくなりました。

今は頭が焼き切れそうになりながら現場にコミットしています。
前職場で身についたベテランに許される程よい手の抜き方が使えないので前頭葉爆発しそう。

この本は珍しく買ってすぐ読んだ本で、12月に読んだものです。
感想をアップしたくて読み直したところ、私、本当にやりたいこと見つかってしまったら困るなと正直思いました。

この本で最も響いた「やりたいこと」の見つけ方は

自分に子どもを育てたり、他人に助言するときに、一番伝えたいことはどんな行動で、一番伝えたくないのはどんな行動ですか?

昔えなりかずきがまだ子役だった頃、番組でどうしてそんなにいい子なのか問われたときに「自分が親だったらどんな息子がいいか考えてます」と聞いたのと同じくらいにはっとさせられました。しかし、えなりかずきはその考えに自力で思い至ったのであればどれだけできた子どもなの、と子ども心に思ったのを覚えています。
今なら毒親の心配をしてしまう……。

子どもや他人に助言する時に私は果たして老後のことやお金の心配を考えて職場を選べというだろうか、と思ったわけです。
私の転職は実際、会社の掲げるミッションとバリューに自分の理想とする社会とのシナジーを感じて入社を決めたのですが収入に期待を寄せているのも事実です。
シナジーを感じたミッションにも直接関わる職場ではなくミドルオフィス配属とわかって入社面接を受けたのでなおさら……。

というわけで、社会人にとってこの本のいうところのやりたいこと、すなわち、好きなこと(情熱)と得意なこと(才能)と大事なこと(価値観)をかけ合わせて、見つけようとするのは本当に怖いことです。
足元がガラガラと崩れ落ちていくような不安に襲われました。

ああ、転職活動時期に読んでいればよかった……。

学生時代は小説を書いて食っていきたかった私にとって好きなことは本、小説を書くこと。才能があると言い切れないにしても文章を書くことが好きという才能。私が生きた証を残すこと、他人に自分の書いたものを読んでもらうことに意義を感じるという価値観。
物書きになりたい。それが私のやりたいこと……。
という風に今見つけてしまう恐怖。

とはいえ。
今の世の中、このように文章を書いて発表できる場があるので感想文ブログだけでなく同人誌出すなりアップロードサイトに掲載するなり好きなようにやればいいんだなと背中を押してくれた一冊になっているのは確かで、怖い怖いという感想になるのもよくないですね。

そして、やりたいことって一つだけでなくていいと肩の力を抜いて見ると案外やりたいことを果たす手段としての仕事をできているかもしれません。

本書によると大事なこと=価値観=状態をさすもの。その大事なことが内側に向くと人生の目的となって、外側に向くと仕事の目的となるとあります。

内側に向けると人生の目的は自己表現かもしれない。
外側に向けると仕事の目的はマネジメントかもしれない。

ともすると私の視野はテレフォンカードのパンチ穴くらい狭くなるけど、この本のおかげで視野に適度な風穴が空いた、そんな一冊でした。

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