日本画家 染谷香理 | Kaori SOMEYA

Artist. 日本画家。東京藝大大学院保存日本画研究室で非常勤講師、助手、助教を経て…

日本画家 染谷香理 | Kaori SOMEYA

Artist. 日本画家。東京藝大大学院保存日本画研究室で非常勤講師、助手、助教を経て、現在フリー。日々の制作と展覧会案内、江戸から明治の日本画古典技法について。

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ニューヨークのアーティストインレジデンスでできること

お久しぶりです。 ニューヨークのアーティストインレジデンスで経験したことをいい形で日本画のアーティストとシェアできればいいなと、ずっと考えていたのですが、いろいろ考えているうちに帰国して少し時間が経ってしまいました。自分自身の記録のためと、滞在中の気づきをメモしたいという思いもあり、久しぶりにnoteを更新します。このnoteが、「海外のプログラムに参加したいけど、何ができるかわからない。」「海外の経験を積みたいけど、どう準備をしたらいいかわからない。」という人の手助けに少し

    • 日本画家がニューヨークで感じた違和感

      ニューヨークで初めて個展をして、感想をいずれまとめておこうと思いつつ、早1年以上が過ぎてしまった。いつでも書く時間はあったのだけど、なんかたった一度個展をしただけで、語りだすのもなんだかなと思い、なんとなく書くのを控えていた。SNS時代に何かを書くと、直接反応をもらえてうれしいことがある反面、必ずそこには反対の意見があり、それが時には胸に突き刺さることがあって、意見を書くのが怖くなってしまったというのもある。ただ私が個展を開催した会期中はコロナ禍ということもあり、いつも以上に

      ¥200
      • New York の個展'a/synchronous'が始まりました

        展覧会開幕コロナ禍での海外初個展、a/synchronousが無事開幕しました。 コロナ禍ということもあり、まったく反応がないのではないかと不安でいっぱいでしたが、開幕と同時にお問い合わせをいただいており、反響を少しずつ感じています。思えば国内を含めて4ヶ月も個展をするということ自体が全く初めてのことで、充実したオンラインギャラリーもこの展覧会のために作成していただき、とても贅沢な機会をいただいたなと思っています。ニューヨークのチェルシーというメガギャラリーも並ぶ場所に、自分

        • 江戸の画法書#1 『本朝画法大伝』-悲運の秘伝書①-

          日本初の画法書『本朝画法大伝』はなんといっても日本初の画法書です。これを語らずして日本の画法書を語ることはできません。かつて日本絵画の画法は”秘伝”とされ、師から弟子へと口伝でしか伝えられませんでした。決して文字に著してはいけなかったのです。この禁忌を破ったのがこの書といえるでしょう。ただ残念なことに『本朝画法大伝』は原本は現存せず、1822年(文政5年)の写本が東京藝術大学の図書館に所蔵されるのみです。巻首三丁に『和漢画祖伝記』が混入していたり、技法の解説につじつまの合わな

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        • ニューヨーク
          3本
        • 江戸の画法書
          2本

        記事

          江戸の画法書 -はじめに-

           大学院の研究室にいたとき、ちょっとしたきっかけで日本絵画の画法書(技法書)の収集をすることになりました。これは自発的ではなく、仕方なく始めたことだったのですが、なんやかやでこの作業、2009年ころから細く長く10年以上続いています。 研究資金としては、芳泉文化財団助成金、科学研究費などを取得しています。 江戸の画法書 江戸時代の画法書なんていうとすごい秘伝が書かれているように思う方がいらっしゃるかもしれませんが、使われなくなってしまって詳細のわからない画材がいくつかある

          江戸の画法書 -はじめに-