「好き」の気持ちとのつきあいかた


「誰かを好きになる気持ち」と聞いて、
真っ先にどんな感情が浮かびますか。


人が人を好きになるとき、
関係性は様々です。


恋愛、友情、親子、兄弟、師弟、
芸能人や二次元のキャラクター、
SNSでよく見る憧れの人など。


○好きな気持ちと伝えかた


誰かを好きになると
嬉しくて、楽しくて、愛しくて



ワクワクして体の奥の方から
何かが込み上げてくるような
キラキラした想いが溢れてきたり


もっと知りたい、仲良くなりたい
何かしてあげたい、してほしい
など欲も出てきます。


この“欲”と上手く付き合っていくことが、
「誰かを好きになる」という気持ちで


いたずらに
自分も相手も傷つけない
大切なことのように思います。


それがなかなかむずかしいんですけどね。
完全にコントロールするものでも、
できるものでもない。


コントロールできないからこそ
伝わること、出来ることもある
のだと思います。


けれど、
あまりに自分と相手の間で


好きという気持ちの
伝えかたや育てかた、
表現が違いすぎたり


何をされると嬉しいか、
何をされると嫌なのか、
の価値観に差がありすぎると


息苦しく感じてしまうことも。



“愛情”という素敵なものが
ベースにあるからこそ、


上手く伝わらないと
とてももどかしい。




「好きだなー♪」と思う感情って、
気持ちのいいものだと思います。


もっともっとこの気持ちに
浸っていたいな、と思える
素敵な感情。


だからといって、それをそのまま
ダイレクトに伝えていい場合と、
よくない場合がある。


相手の気持ちを考える余裕
というものが常に必要です。


ものすごく当たり前のことのようですが、
これがなかなかむずかしくて


私は今でも「これでいいのかな?」と
悩むことがあります。


相手のことが好き、大切。
それを伝えたい、何かしたい。


それは“私”の欲であって、
相手の気持ちではなくて。


これくらいの加減なら、
伝えてもいいかな、
近づいてもいいのかな?


自分と相手にとって
ちょうどいい距離感はどこだろう。


好きだから、愛情だからと
したこと全てを正当化して、
相手に無理やり受けとらせるような


独りよがりな伝え方はしたくないと
思っていても、


間違えそうになったり、
相手にとって負担だったのではと
反省することも。


逆もまた然りです。


○高校時代の失恋

今から昔話をします。
ちょっと長いので、
とばして結論へ行って頂いても構いません。


その日、私はなぜだか
とても高尚な気持ちで
席についた。


ーあぁ、私、幸せだなぁ。
友達もいて、
クラスのみんなも大好きで。


こんなことを、
限りなく穏やかに感じていたと思う。


この日の7限目の授業は総合で、
クラスのみんなで近くの公園へ
遊びにいくことが決まっていた。


私は女子の仲良し6人グループに
属していて、その日も自然と
いつものメンバーで公園へ向かっていた。


公園につくと、6人のうち1人が
「サクラに話があるんだ」
と切り出した。


よく見るとグループのうち
2人が、泣いている。



私は全く状況が飲み込めないまま、
「どうしたの…?」と返した。



彼女の話は、
私がずっと片想いしていた
クラスメイトのH君に
告白されたから付き合ってもいいか、
H君に返事をする前に
私に話しておきたかったとのことだった。



文化祭の準備をきっかけに仲良くなり、
アドレスを交換し、
夏休み中も連絡をとりあっていて


2学期が始まって数ヶ月経った今、
告白されたらしい。


そしてそのことを事前に
聞いていた2人が、
私が傷つくことを見越して
今泣いていると。



頭が真っ白になった。



恋に恋していたのかもしれない。
それでも、私なりに大好きだった。



H君とはそんなに話したこともない、
私の片思いで、
緊張で一言話しかけるのに
何日も何時間も心の準備が必要で。


わかりやすすぎて、
クラスの半数は私の気持ちに
気づいていたと思う。


別のグループの女の子に
「今日は話せたの?」なんて
しょっ中いじられるくらいだったから。


だから当然、仲良しグループの
メンバーはみんな私の気持ちを
ずっと知っていて、
話も聞いてくれていた。


「私がH君を好きになる前から、
 サクラが好きだったこと知ってたから」


私が彼女より先にH君を好きだった。
でもH君は彼女のことが好きで、
彼女もH君のことが好き。


そして告白されたと言っている。


「それなら、付き合ったらいいね。」



迷いなく、その言葉がこぼれた。
本当にそう思った。
想いあっている2人がいるのに、
そこに何か口を挟むのは
おかしいなぁと、素直に思った。



「私にわるいなとか
 考えちゃうかもしれないけど、
 2人は両思いだから、付き合ってね。」


事情を知っていた2人が、
嗚咽している。


この2人、私の気持ちを想って泣いてるんだ。
なんていい友達なの…。


そう思うと、涙は出てこなかった。



「私、H君に告白だけしてきてもいいかな?」

「もちろん。」



私は彼女に了承を得た上で、
H君に気持ちを伝えて
しっかりフラれてくることに決めた。


あぁ、私の魂は今日、
キャパオーバーになりかねない
私の心を守るために


幸せだなぁ、って
一度しっかり認識させたんだね。



翌日の放課後、
私はH君を呼び出した。


「呼び出してごめんね。
 彼女からなんとなく聞いてるかも
 しれないけど、ずっと好きだったよ。」



そう言うと、


「ありがとう。
 ほんと、ありがとうございます」


とH君は言った。



邪魔しようとかでなく、
ただ伝えたかっただけ


そういう私の気持ちが
きちんと伝わったな、と感じられる
“ありがとう”だった。


それがとても嬉しかったことを
覚えている。


「同じクラスだけど、
 私にわるいなと思わないで、
 付き合ってね。また明日ね」


そう言って私は部活に向かった。


部活の先輩に、
「なに〜今日元気ないじゃん、
 H君にでもフラれた〜?」


といつものようにいじられたところで、
やっと涙がこぼれた。




同じクラスで、好きな人が
自分でない女の子を大切そうに
見ている姿を見るのは辛かった。


みんなでお弁当を食べているとき、
H君とのクリスマスの予定を
聞くのは苦しかった。


私は過食になって、
甘いものを際限なく食べて
太ってしまった。


部活ではスランプになり、
人間関係も円滑ではなく


体がついていかなくなり
頻繁に過呼吸に
なるようになってしまった。



全てがこの失恋のせいでは
もちろんないけれど、


心身ともに辛くて痛い、
高校生活が始まってしまった。



だけど、
大人になった私からこれだけは言える。


“本当に好きだな”“恋してるな”
と思える人には
そんなにたくさん出逢わない。


好きになりかけても、
脈がなければ何でもないフリしてやめるとか、
相手にもう付き合っている人がいるとか、


そもそも自分の気持ちがそこまで到達しないとか、
想いを伝えない理由もたくさんある。



だからただただ純粋に
真っ直ぐ好きになれたこと、
そしてその気持ちを相手に伝えられたことは
本当に奇跡で、誇れることなんだと。



【結論】本当に大切な想いや関係は、必ず残るから


今も昔も、恋愛に限らず
好きという気持ちから
生まれる感情や物語は本当にたくさんあって、


そこに悩みはつきないのかもしれません。
想うことも、想われることも、
ときに息苦しいこともある。


でも、
「上手な愛し方」とか「正しい答え」は
もちろんないから、


自分が、相手が心地よくいることに
耳を傾けることをやめなければ、


お互いにとっていちばんの距離感に
向かっていけるのだと思います。



必要なご縁は必ず繋がっていくし、
1番いいかたちで残っていく。
今がどんなふうでも、
そこへ進んでいる途中だと、信じています。

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