100年を生きた23分間~
ブラームスのピアノ協奏曲を演奏して垣間見た芸術の不滅性
ピアニシモで消え入るような三連符を弾きながら、私には、空間に漂う音の余韻が、なにか神秘的で、星屑のようなものに感じられた。これは一体どういうことだろう。わたしたちすべての奏者が、大きな宇宙の中の天体であるかのように思えた。
2022年2月22日は、おそらく私の後半生において最も鮮明な記憶が残る日のひとつになると思う。
千歳烏山のホールで、ブラームスのピアノ協奏曲を演奏したのだ。出会ってから心を捉えてやまないブラームスのピアノ協奏曲第1番。いつか演奏してみたい、と心密かに思