夢がないアラフォー派遣女
私には夢がありません。
たぶん幼少期からありません。
「将来どんな仕事に就きたい?」
この質問にどう答えたらいいのか、試行錯誤していた少女でした。
それは、高校生になった時も同じでした。
みんなが大学や専門学校進学をちゃんと考えていたことを知り、なんだか一人だけ取り残されたような気持ちになりました。
「あの子、美容師になりたかったんやぁ。知らんかったなぁ」
「文学部いって将来何になりたいんやろ?てか、文学部ってナニ??」
友人の進路を聞き、18歳の私は驚きと疑問だらけでした。
当時の戸惑いは37歳の現在も引き続いています。
「…なんで、その道を選んだんですか?」
初対面の人でも関係なく、ズケズケと当時の選択について聞いちゃうほどです。
人によっては、小さい頃からなりたかった職業に付けた人もいます。
また、社会人になってから新しい夢ができた人もいます。
私はそのどちらでもありません。
ただ、生きてるだけ。
社会人になってからも目標を書かされるのが苦痛でした。
だってないんだもん。
先輩に無理やり言わされた「リーダーになりたい」という文字。
本当は思ったことありません。
でも、組織にいたら目標設定は必須なのです。
「かおりさん、その目標のために何をしたんですか?」
…ごにょごにょ。
「かおりさん、結果を出すために●●した、といったほうがいいのでは?」
…ごにょごにょ。
「その結果、この売上をたてられたということですね?」
もう、そんなこと言うならあんたが書いてくれよ!と思ったほどです。
夢も目標もない私は、派遣社員という組織から少し離れた立場になることで、その苦痛から解放されました。
ご存知の通り、派遣社員には夢や目標を語る機会も場所もありません。
これは人によりますが、私には最高の立場なのです。
夢が目標がない私が生きている理由は、自分や世の中を知りたいからです。
結婚した自分が何を思うのか。
転勤し引っ越しをしたら、どんな体験ができるのか。
友人と良い関係を築けたら、どんなふうに幸せなのか。
家族とは、人間とは、社会とは。
それが気になるから、生きて働いているだけです。
もちろん、好きな職場であればそのために働きます。
でもそれは会社が先にあるのではなく、自分が楽しく生きるための手段を無くしたくないから。
ずっとこの人たちと一緒にいたいから。
売上高うんぬんより、心地よい環境を保ちたい気持ちのほうが大きいことに気がつきました。
見方によれば、これも一種の目標と言えるかもしれません。
心地よい環境を保つためには、会社を永続させることが必須だからです。
「ずっとこのメンバーで働きたい」
会社の目標設定では伝えられない、私の小さな願望。
目標とも、夢とも言えないちっぽけな気持ち。
夢が持てる人、それを叶えられる人はとても素晴らしい。
その夢に向かって生きる人はキラキラしてて素敵です。
でも、夢がなくとも生きていけます。
引き続きゆるっと自分らしく生きていこうと思いました。