20歳のキモチ
ニュースで流れる怖い事件。
SNSで高額バイトに参加する若者たちが放送されていました。
コメンテーターの大人たちは、
「こういうバイトには違和感を感じてほしいですね」
そんなコメントをしていました。
確かに、と37歳の私は思います。
スマホをここからあそこまで運ぶだけで数万円?
そんな仕事、絶対怪しいやん。
それが世の中で仕事として成立するなら、なぜ他の人はそれをしていないのか。
少し考えたらわかると思います。
と言っても、私が20歳の学生だったら話は違うかもしれません。
「友達もしてたし、私もしてみようかな」
流行りの服を買うために応募してたかもしれません。
学生だった当時はスマホはなくガラケーでした。
iモードで星座占いをしたり、ブログを読んだりしてました。
もし、トップ画面に「急募!たった5分で一万円」とあったら…。
もし、ブログに「明日大阪に集まってくれたら一万円渡します」があったら…。
どうしても憶測から出ませんが、これらに応募していたんじゃないだろうか。
「みんなしてるから大丈夫!」
の言葉を信じてやっていたかもしれません。
今現在の私はコメンテーターと同じく、高額バイトっておかしいやん気づけよと思っています。
どう考えてもおかしいやん。
違和感もとうぜ、おい。なのです。
でも、それは私が大人と呼ばれる年齢に差し掛かったからではないだろうか。
20歳の頃にこれらに出会えば、足元掬われて参加しちゃうんじゃない?
それを「違和感を感じてほしい」という当たり前のことを言ったところで、何も解決しないよなーとふと思いました。
話は変わりますが、友人の小学生の息子くんの夢は
「楽してお金を稼ぎたい」だそうです。
「ほんま人生なめてるよなぁ」
友人は呆れたように言っていました。
笑って聞いていましたが、それって実はみんな思ってることじゃない?と思いました。
少なからず私は楽して稼ぎたい派です。
しんどい思いなんかしたくないし、ちょっと何かをしただけでいっぱいお金を稼げたら万々歳です。
まぁ、37歳の私は声を大にして言えない羞恥心があります。(言いたいけどネ)
それなりに他人からの見え方を気にしてるからです。
あと、世の中、そんなに甘くないことも知っちゃたし。
大人になったら忘れること。
それは、楽してお金を稼ぎたい、というキモチ。
みんなそうですよね…?
カッコつけて、社会のため〜、みんなのため〜言うてると思うけど、結局お金を稼ぎたいはずです。
いっぱいお金欲しいのです。
(スミマセン、そういうことにさせてください。)
高額バイトに手を染めてしまった彼らも、小学生の素直なキモチを持ったまま大きくなったのだろう…。
もちろん、犯罪に手を染めるのは絶対にあかんことですが。
じゃあ、どうすればこのような仕事に応募する人をなくすことができるのか。
私なりの結論はこちら↓
楽して稼ぐことは世界共通みんなの夢だからそんなこと実現しない。
悲しい結論となりました。
ただより高いものはない。
お金は世の中の血液。
そんな言葉を聞いたことあります。
昔の人が言ってる言葉は真髄です。
「そのお金は誰を助けて得られるのか」
「このお金はどんな人に渡って欲しいのか」
どんな商売でも利益が発生している時点で、誰かが助かっています。
と同時に、誰かにお金が渡っているのです。
「これは商売として成り立つのか?」
その視点があれば立ち止まれるのではないだろうか…。
昭和生まれのおばさんはそう思うのです。
一緒にニュースを見ていた父に聞きました。
「お父さんが20歳やったら、こんなことしてた?」
父は当時、東京に一人暮らしをしてました。
「うーん、友達おらんかったからなぁ(仕事は紹介されない状況を指摘)」
…リアルかよ!
娘としてはもしも、でいいので考えて欲しいのです。
「携帯もないし、情報を得る手段なかったしなぁ(仕事を得る手段がないことを指摘)」
父はどこまでもリアルを求めます。
痺れを切らした私は
「もし、神戸の同級生と東京のスーパーでバッタリ会って、久しぶりやん元気?そういえばこんな仕事あるから一緒にせぇへん?って誘われたとしたら、お父さんはこんなことしてた?」
想像してもらうため、細かな設定を提供します。
「せやなぁ…」
考える父。
「…20歳なぁ。
半世紀前になるから、全然分からへんなぁ。」
はぐらかしているのか、娘の前でいい格好をしたいのか分かりませんが、50年前のキモチは思い出せないと言ってました。
まぁそりゃそうか。
私ですら想像できなかったことだしね。
ましてや、半世紀前の自分がどう思うかなんてもっと分からないし、考えたとて時間の無駄です。
ご指摘通り状況が全然違うし、ましてや赤の他人がしてること。
想像なんかできっこないのです。
20代のキモチを忘れつつある私。
そして完全に想像できないという72歳の父。
来た道を想像できないのに、これから行く道を慮ることができるのだろうか…。
若者と老人と、中年。
政治の世代間ギャップもうまく埋まるといいなぁと、実家で家族団欒を過ごして思いました。