次男 1 《不登校実録》
もう1つの話
話は少し戻って、コロナ禍の分散登校以降、長男が学習室登校を週に何回かしていた中3の頃、実は我が家では別のストーリーが並行していた。
次男は長男より学年で4年下。早生まれの長男と違って年度の中でも早い月に生まれていることもあり、同学年の中ではいつも大きい子。
長男は昔から本当に弟が可愛くて仕方なく、幼稚園から帰ってきても母なんてそっちのけで次男の元にべったり。
次男が近所の子に叩かれたら、相手が自分より年上でもブチ切れて叩き返しにいきそうなくらいの溺愛ぶりだった。
当然次男もお兄ちゃんが大好き。
幼稚園のお泊り保育で1泊長男が不在の日、お兄ちゃんの写真をどこからか見つけて「おに~ちゃ~~~ん!!」と絶叫していたのが2歳の頃。
以降もなんだかんだとお兄ちゃんにくっついていくし、お兄ちゃんと遊びたいし、お兄ちゃんに褒められたい。
なんでも成長が早かった長男に比べて、月齢比でみると次男の方が緩やかだった。髪の毛が生えるのも、歯が生えるのも、言葉を覚えるのも、アニメやキャラクターへの興味の持ち方も。
兄のことが大好きだけど真似っこをするという訳ではなく、独自路線。
暗いところが怖い、ボタンが顔に見えて怖い、車の絵柄がついた服しか着ない等、こだわりの強い子だった。(今思えば納得いくことがいろいろ)
長男が小4で最初に学校に行けなくなったころ、次男はまだ年長だった。
毎朝の怒鳴り声や泣き叫ぶ声が聞こえると、存在を消すように静かに小さくなって、階段の中腹に逃げていた。
長男が小5の時に小学校入学。
長男は登校班には行けないが、次男は一人で向かい、挨拶はきちんと丁寧、登校班の付き添いのお母さんたちからも褒められ、いつもニコニコ明るく、太陽のような子。家でも、私やお兄ちゃんを笑わせようとし、父親にも笑顔を振りまく。
・・・でも私は、本当はずっとどこかで次男のことを心配していた。
次男に癒され、次男の明るさに救われるたびに、いつかこの子も爆発するんじゃなかろうかと、心の奥底で不安がくすぶっていた。
チック
やはり次男にも少し問題が生じ始めた。
「(運動性)チック」
まばたき、顔をしかめる、首を左右に振る、肩をびくっとさせる、跳び上がるなど、本人の意思とは関係なく運動を繰り返してしまうこと。もともとの大脳の性質による場合もあるが、一過性の場合、原因は心因性と言われている。
担任の先生曰く、授業中ゆらゆらと体が揺れ続けているらしい。先生が声をかけても本人は気付いていない様子で、ビックリして一瞬止まるそう。でもまた気付くとゆらゆら揺れている。
個人面談の時に担任の先生にそれをお聞きし、先生も心配してくださったので、先生に長男含む我が家の事情をお伝えした。
「わかりました。大変だと思いますが、私の方でも注意してみておきますね。でもそれ以外は頑張り屋さんで、とても優しくて、大丈夫ですよ」
と言っていただいた。
次男にはただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
その日からできるだけ、次男とふたりで話す時間を作るようにした。
長男がゲームに没頭している間は、次男を膝に乗せて他愛のない話をした。
学校で遊んだこと、友達との会話、学童保育での出来事・・・
次男は楽しいことは毎日のように話してくれていたが、1週間~1ヶ月に1回程度、それも決まって私の休日前夜、布団の中で話を聞いて欲しいということがあった。次男は、自分に起こった悲しい出来事はまとめて打ち明けるようになっていた。
今から思えば、日々は家族を楽しませることを優先し、自分の悲しみを心の奥に押し込めていたのだ。しかも、話を聞いてもらうのも私の余裕がある時に設定してくれていたのだ・・・きっと私のために。
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