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紅音の詩

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#タバコ

詩 「胸中」

 セックスと  シガーと  何もない夕暮れの雨  生まれたままの姿で  すべすべの首筋に反射する光は  何よりも純潔で  何よりも高貴で  触れたくて  でも穢したくなかった  抱かれている私は  きっと涙を流していて  傷をつけられたはずの貴方が  その太陽のように  笑っているのはなぜだろうか  もうすぐ真っ暗になる部屋で  何もせず  何にも邪魔されず  赦されるなら  この首根っこが折れるまで  ずっと抱きしめて欲しかった

詩 「ガラム」

 キツめの煙草を咥える  火を付ける勇気もないのに  濡れたアスファルトの上で  肌寒さに震えながら  呼吸の味はサイアクで  ひどく臭くてひどく不味い  溜め息ついて棒を折る  舞い散る茶色の粉末が  風に紛れて消えるのを  それを見ているアタシは一体  どんな顔をしてるんだろ  褪せた金髪が夜をたなびく  勝手に夜は更けてゆく

詩 「星無の満月」

 満ち足りた月  見上げるとそこにいるけれど  上を向かなければ  アンタの姿は拝めない  ポケットに手を突っ込んで  シケモクを噛み潰しながら  裏通りを彷徨う  アテもないまま  良い感じに座れる場所に着くまで  吐き捨てた煙草は  そよ風に飛ばされる  なんて自由なんだろう  そんなぼやきは  暗い闇の中に吸い込まれていった  あの月は幸せなのかな  ずっと独りなのに  そんな弱音だって  誰にも聴かれる事はない  もう一本煙草をつけ