バスマティライスを買いに新大久保まで。-パラッパラ炒飯レシピ付き-
コリアンタウンだけじゃない! 「イスラム横丁」の魅力
新大久保といえばコリアンタウン。韓流好きな若者たちで賑わいを見せ、食のトレンドも次から次へと誕生。「数ヶ月前に流行ってたチーズびよ〜んってアレはもう終わったの!?」なんて驚きつつ、「いつ行っても活性してんなぁ〜」とちょっと感動します。
でもじつは、新大久保の真の魅力はほかにあります。
東南アジアやインド・パキスタン辺りの食材、調味料、米、スパイス類の専門店が多数あって、しかもびっくりするほど安いんです。いつも大量に買い込んでは「重い重い」と電車に乗る羽目になるので、「次はでっかいスーツケースを持参しよう」と思うほど(でもいつも忘れる・・・)。
「この店ではこれを買って!」と力説したいおすすめ品はいくつもあるのですが、今回はイスラム横丁で買えるバスマティライスのお話です。
わざわざ新大久保でお米を買う理由
お米のためにわざわざ新大久保まで行くからには、もちろん理由があります。
まず、バスマティライスが特別すぎてほかの米では代用できないんです(←何がそんなに特別かは後述)。インターネットでももちろん買えますが、イスラム横丁の物価が安すぎて。たとえ重くても(重いのは夫だけど)買いたくなるし、そもそも「新大久保での買い出し(および食べ歩き)」自体がとてもとても楽しいので、わざわざ行く価値は十二分にあるのです。
さて、私がいつもバスマティライスを買うのは新大久保駅からすぐ、角にマツキヨがある路地を入ってすぐのところ。いわゆる「イスラム横丁」の最初の店は「Barahi」という小さな食材店で、その横にあるのが今回の目的地、緑の看板が目印の「 NASCO ナスコ」です。
手前に「NASCO FOOD COURT」があり、スパイシーで美味なチキンBBQ(しかも1本150円)やビリヤニ、肉がたっぷりすぎるケバブサンドなどを提供しています。まずはここで腹ごしらえをするのがお決まりのコース。幸せな満腹感を抱えて、右隣にあるナスコの食材部門「GREEN NASCO」へと入店するのです。
ここは、スパイスやハーブの種類も大充実。しかも(何度も言うけど)安い。パキスタン人やインド人のお客さんに混ざって、まぁ小一時間は余裕で楽しめるくらい(もはやエンタテイメント?)いろんなものがぎっしり並んでいます。
ちなみに、イスラム横丁 北の端っこあたりにある「THE JANNAT HALAL FOOD(ジャンナット ハラルフード)」もかなりディープです。スパイスの種類は NASCOよりJANNATのほうが豊富かな? バスマティライスに関しては、 NASCOのほうが若干安い場合が多いかも。どちらもくまなく見て回るのがおすすめです。何しろ楽しいので。
安くて使い勝手のいいスパイスのことも紹介したいところですが、今回はバスマティライスです。
バスマティライス、何がそんなに魅力的なのか?
常日頃から「お米は絶対バスマティで!」と決めているわけでは無論ありません。
最近のお気に入りはほうじ茶で炊いた茶粥だし、ちらし寿司や肉寿司、おにぎりも好き。焼き魚、みそ汁、漬け物に炊きたてのご飯があれば「日本人でよかった〜」としみじみ思います。そういうときの米は言うまでもなく日本のお米。和食には、日本のお米しかあり得ません。
一方で、日本の家庭って意外と「和食」以外の料理を作る機会も多いですよね。たとえばそれが「ご飯もの」だとしても、インドカレーにグリーンカレー、リゾット、炒飯、ピラフなど、いろんな国の米料理が普通に広まっています。
日本で食べているジャポニカ米は「短粒種」ですが、じつは、世界の主流は「長粒種」のインディカ米。中国もタイもインドもイタリアもスペインも、お米の種類がそもそも日本とは違うのです。
和食には「日本の米」以外に考えられません。でも逆に和食以外の料理であれば「その国の米」のほうがおいしくなる。それって、当然といえば当然の話ですよね。
今回紹介するバスマティライスは北インドやパキスタン辺りの高級米ですが、日本で知名度の高いインディカ米といえば、ジャスミンライス。まずはより身近なジャスミンライスを題材に、米の重要性を見ていきましょう。
たとえば以前ご紹介した「海南鶏飯」。
この記事ではソースの話をしていますが、お米はジャスミンライスでないと成立しません。ソース云々以前に、ジャスミンライスを使うことが大前提なのです。
グリーンカレーもジャスミンライス以外の組みあわせはあり得ません。せっかくグリーンカレーを用意したのに(それがレトルトだとしても)、ここでジャポニカ米を合わせてしまったらもったいないです。一度でもジャスミンライスでグリーンカレーを食べたことのある方なら「うんうん、そうだね」と納得していただけるはず。
長粒種と短粒種。
単に米の形(長さ)が違うだけ、ではないのです。
ジャポニカ米は粘り気があってふっくらツヤツヤに炊きあがるのが魅力ですが、インディカ米はパラパラっとしていて粘り気が出ません。それが、さらりと汁気の多いグリーンカレーのおいしさを際立てます。「香り米」ともいわれるくらいの独特の芳香がスパイスと好相性で、また食欲をそそるんです。
そして、お待たせしました。こちらがバスマティライスです。
ジャスミンライス以上に米粒が長く、「世界で一番長いお米」などとも言われます。じつは香りもジャスミンライスを上回るとされ、「香り米の最高峰」という異名も持ちます。そもそもBasmatiという名称は”香りの女王”というヒンディー語に由来するのだとか。
玄米そのものに若干の香りがあるそうですが、さらに香りを引き出し、パラッとした食感もより際立たせるため、収穫後は必ず倉庫で数ヶ月熟成させてから市場に出まわります。日本では新米が尊ばれますが、バスマティライスは熟成期間が長いほど価値があるのです。
ところ変われば、ですよね〜。
スパイスカレーは当たり前。あれもこれも劇的においしく!
インドやパキスタンの人々は、バスマティが日常食。炊きあがってからお湯を捨てる「湯取り法」で炊くのが普通です。
ジャスミンライスと比べても水気や粘り気がなくぱらぱらっと炊きあがるバスマティライスは、汁気の多いカレーと相性抜群。ビリヤニなんかも、バスマティの風味があってこそ成立する料理だと思います。
わが家でバスマティライスを使う料理を挙げてみると、こんな感じ。
・スパイスカレー
・ビリヤニ
※ティラキタで扱っているビリヤニの素、けっこうおいしいです。私はインドには行ったことがなく、マレーシアのインド料理屋で食べたビリヤニが非常においしかったので、ティラキタでもマレーシアのを買っています。っていうか、、新大久保に行けば本場のビリヤニの素もいろいろ売ってます^^ 店員さんにおすすめを聞いてみるのもいいかもですね!
・ジャンバラヤ
※「ジャワティーに合う料理コンテスト」グランプリ受賞レシピです。この料理に使うスパイス類はもちろん新大久保で買ってます。めっちゃ安くて何でも揃うので、ほかでは買えなくなっちゃいました。
・リゾットを詰めたロールキャベツ
え? ロールキャベツにバスマティライス?
そうなんです。リゾットを詰め物にしてみたんですが、イタリア産の米(カルナローリ)は日本で買うとお高い。かといって、リゾットを日本の米で作ると、どうしてもべちゃっとします。そこでバスマティライスを使ってみたらなんとまぁ!大変おいしくできました◎
ちなみにカルナローリは「中粒種」で日本米より粒が大きくて硬いお米です。形が崩れにくく水分量も少ないのでスープを吸いやすい。だからリゾットに向いているんですね。というわけでバスマティと違う性質ではあるのですが、「ベチャッとしない」「味がしみこみやすい」という点でバスマティはリゾットにもいけちゃいます。同じ理由で、パエリアにもバスマティライスがおすすめです。
ロールキャベツにせず、中のリゾットだけでも非常に美味ですよ。レシピはここ↓
**まずは炒飯でお試しあれ!バスマティ炒飯レシピ**
〈材料〉4人前
・バスマティライス 2合
・長ネギ(白い部分)1本分
・チャーシュー 適量(お好みでたっぷりどうぞ!)
・卵 2個
・ごま油 大さじ3
・中国の醤油「老抽」 大さじ2〜3
・塩・胡椒 適量
※「老抽」(ろうちゅう)については後述していますが、よかったら老抽でググってみてください。ヨドバシカメラでもAmazonでも購入できます(もちろんどちらも送料無料)。うちの近所のスーパーでも見かけますし、新大久保のお店でももちろん買えます。ほんのり甘味があって、重宝します☆ 塩っぱさは控えめなので、調味には塩と胡椒も加えてくださいね。
〈作り方〉
・バスマティライスを普通に炊く。
※米粒が細いので、短い時間で炊きあがるのも特徴。パエリアとかも短時間でパラパラに作れます。
・長ネギはみじん切りに、チャーシューは角切りにしておく。
・卵はしっかり溶いておく。
1)フライパンにごま油を入れて熱し、ネギを炒める。溶き卵を加えてふわっと炒め、チャーシューも加えてさらに炒める。
2)炊けたバスマティライスを加え(量は人数に合わせて調整してください)、醤油、塩、胡椒で味付けしたら出来上がり!
以前は、味付け用に、何年も愛用している鹿児島の甘い醤油「かねよ 母ゆずり濃口」を使っていました(これもおいしくできます♥︎)。やはりおすすめは中国のメジャーな醤油「老抽」。最近はこれもよく使うため常備するようになったので、そちらを使っています。李錦記からも出ていて、スーパーでも普通に買えますよ〜。
シンプルな味付けだからこそ、米のおいしさが際立ちます。見事にパラパラっとしていて、絶妙に旨い!
美味しいだけでなく、作るのも日本米より簡単です。
炒飯って「重たい中華鍋をぐわんぐわん振らないとパラパラに仕上がらない」というイメージがありますよね? なので私は「鍋を振らなくても絶対にパラッと仕上がるバスマティ炒飯」に出会うまで、「自宅できちんと炒飯」はあきらめていました(味の素の『ザ★チャーハン』を鉄鍋で焼き付けるとおいしくできるので、息子の朝食なんかはそれで大満足)。
ところが、中国の炒飯についていろいろ調べたところ、日本の五目炒飯の原型にもなったといわれる「揚州炒飯(ようしゅうチャーハン、またはヤンジョウチャオファン)」は細長い米で作られているのです。最近の中国ではジャポニカ米が一種の「ブランド米」としてもてはやされていますが、元来の炒飯はどちらかといえばパラッとした長粒種で作るもの、なのです。
そんなこんなで、炒飯にもバスマティライス。
鍋を振る必要は全くなく、テフロン加工のフライパンでも見事にパラパラっと仕上がります。
失敗知らずでめちゃ旨です!
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