ココナッツの国のカレーだから -グリーンカレーのレシピ-
タイのカレーは辛い。同時に「甘さ」も必要なのだ
タイ料理は辛い、というイメージがある。けれど、小さかった息子と遊びに行ってもとくに困らないくらい、辛くない料理もいろいろあった。
ただし、基本的にカレーは辛い(マッサマンは甘口だけどね)。知り合いのタイ人料理人おばちゃんの口グセはこうだった。「マイ・ペッ、マイ・アロイ」=辛くないとおいしくない。カレー(タイ語ではゲーンもしくはケーン)はとくに「辛さもおいしさのうち」といえる。
レッドカレーはタイ語でゲーン・ペッという。先ほどの「マイ・ペッ、マイ・アロイ」に出てくるペッだ。アロイはおいしいという意味だから、ペッの意味もなんとなく想像できるだろう。そう、ペッは「辛い」。レッドカレーは、辛いに決まってるカレー、なのだ。
グリーンカレーはどうだろう。ゲーン・キャオ・ワーンという。なんだか喜怒哀楽の激しそうな料理名だけど、キャオは緑、ワーンは甘い。ハーブやスパイスとともにプリッキーヌ(生の青唐辛子)がたっぷり使われるが、じつは生のほうが乾燥唐辛子より辛みがマイルドで、フレッシュなおいしさがある。とはいえもちろん、十分に辛い。
辛さと同時にワーンの要素が重要なのがグリーンカレーだ。そしてその立役者がココナッツミルクなのである。
グリーンカレーペーストとココナッツミルク
グリーンカレーは、まずペーストをつくるところから始まる。例のタイ人おばちゃんはさかんに「マイ・ペッ、マイ・アロイ」と言いながら大量の生青唐辛子を使う。メインの青唐辛子(これがグリーンの正体ね)と、レモングラス、こぶみかんの皮、タイ生姜、にんにく、コリアンダーやクミンなんかのスパイスもろもろをクロックヒン(石臼)に入れ、がんがん潰してペースト状にしていた。
この作業、「うちにもクロックヒンほしいなぁ」と思っちゃうくらい「いかにもタイ料理」な行程ではあるのだが、いかんせん、唐辛子は目にも辛い。おばちゃんからも「慣れない日本人がやると危険だからメガネと手袋をはめなさい」と笑いながらアドバイスされた。
そんなこんなで、日本人がグリーンカレーを作るなら市販のペーストを使うのがおすすめだ。いろんな材料を揃える手間も、唐辛子の辛さで指や目がやられることもないし、市販品でも十分においしいから。
MAESRI(メーシー)というブランドのペーストが好きだったんだけど、最近はなかなか見かけないので、今はMAE PLOY(メープロイ)を愛用している。
新大久保の「アジアスーパーストア」に行けば、安いしペーストの種類も豊富だし、タイ人スタッフがいろいろ教えてくれてめちゃくちゃ楽しいパラダイスなんだけど、とりあえずは送料無料のヨドバシカメラあたりでMAE PLOYを買ってみるのが無難かと。ちなみにココナッツミルク缶のおすすめはCHAOKOH(チャオコー)。これもヨドバシで買えるようなので、あわせてご紹介しておこう。
ココナッツミルクはコクと香りと旨みの決め手だが、これ自体に甘味はさほどない(ほんのり甘いけど)。グリーンカレーに甘味を加えるには、パームシュガー、すなわちココナッツの樹液から作られるシュガーが必要だ。黒糖みたいに濃厚で(ミネラルも豊富)、とってもおいしい。
もしも「アジアスーパーストア」に行くことがあれば、グリーンカレーペースト、ココナッツミルク缶とあわせて、パームシュガーも買ってくることをおすすめしたいが、通常はおうちにある砂糖でOK。できれば上白糖ではなく茶色系の濃厚なやつのほうがよいかもね。
うわあっと!忘れてた! 絶対に欠かせないのが、バイマックルー。こぶみかん(=マックルー)の葉っぱ(=バイ)だ。英語ではカフィアライム。これだけキーワードがあればネットで絶対に買えるので、ぜひ。私は例の「アジアスーパーストア」もしくは「ナショナル麻布」で多めに入手し、余ったやつは冷凍している。バイマックルーはガパオにも欠かせないので、常備しておいて損はないと思う。
グリーンカレーはバイマックルーの香りがないとおいしさ半減です。同様の理由で、お米は絶対ジャスミンライスで、ぜひぜひぜひ!
*辛くて甘くて旨い! グリーンカレーのレシピ*
材料:4人分
※400ml入りのココナッツミルク1缶分です。
半分だけ使って残りはスウィーツなどに使ってもOK。
グリーンカレーペースト(メープロイなど)大さじ4
ココナッツミルク1缶 400ml
鶏もも肉 1枚
茄子 2本
パプリカ(赤でも黄でも)1個
筍の水煮 1袋
バイマックルー 4〜5枚
鶏ガラスープ 400cc
ナンプラー 大さじ4
砂糖 大さじ2
※ナンプラーと砂糖は味を見ながら調整!
作り方:
☆鶏もも肉は一口大に、茄子は縦半分→横4〜6等分にカット、パプリカは縦に細切りにしておく
☆鶏ガラスープ(顆粒のものでOK)を用意しておく
☆ジャスミンライスを炊いておく
〈1〉鍋にココナッツミルクの上澄み部分(とろっと濃厚な部分)を入れて火にかけ、弱火でぐつぐつと加熱する。ココナッツミルクは油分が多く焦げ付きの心配はないので、混ぜずにしばらく置いておく。3〜5分ほど十分に加熱したら、残りのココナッツミルク(さらっとした液体部分)も加える。
〈2〉グリーンカレーペーストを入れて溶かし、弱火でさらに煮込む(かなりブクブクと本気で煮込みますw)。ココナッツミルクとペーストがなじんできたら鶏肉を加え、火が通ったら鶏ガラスープ、茄子、パプリカ、バイマックルーも加えてさらに煮込む。
※このとき、茄子だけはあらかじめ別のフライパンに油をたっぷり敷いて、ささっと炒めておいてから鍋に加えるとさらに美味に!
〈3〉ナンプラーと砂糖を加え、味見をしながら仕上げる。
〈4〉ジャスミンライスを皿に盛り、できあがったグリーンカレーをたっぷりとかける。お好みでバジルとフライドオニオンを飾る。
辛いけど甘い。これがグリーンカレー。
グリーンカレーペーストとココナッツミルク缶、パームシュガーにナンプラー、そしてバイマックルー。忘れちゃならないジャスミンライス。まずはこれらをすべて入手してみよう。ネットで買えるし、半日がっつり楽しむつもりで新大久保の「アジアスーパーストア」に行ってもいいと思う。少し脚を伸ばして、ディープなイスラム横丁に行くのもあり。そしたら1日丸っと楽しめます☆
そうそう、深みのある味付けの決め手・ナンプラーは「TIPAROS」がおすすめ。