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【創作小説】まわれ!今川やきくん!フィンランドの巻⑼


「よし!ならば……ひとつ頼みごとをするかの…」

「頼みごと?」

「そうじゃ」

「うん!…あ!はい!!サンタさん!ボクは何をしたらいいの?」

「うむ。森へ行って、ブルーベリーの実をつんできてほしいのじゃ」

「ブルーベリーの実か…んん!?あれ?ブルーベリーって…夏に実るんじゃ……んんん!! 分かった!サンタさん! ボクは スキーが得意なんだ!スィスィスィーーって行って来るよ!」

「ホーッホッホ!そうか。行ってくれるか。雪の森の中で、ブルーベリーの実を見つけるのは 大変かもしれないよ」

「大丈夫さ!きっと見つけて来る!」

「そうかい!ありがとう、オンニ。それじゃ頼んだよ」

「はーい!それじゃ、今から行って来ます!」


バタン。



カーーーーーーーーーーッ!

オンニにバレなくて良かったぜーーーー!
さすがオレ!
天才子役級の演技だったな!

クールに輝く今川焼き人形になるってのも 疲れるもんだなーー!

んじゃ!クールに固まった体を ほぐそうじゃないか!


クール クルクル。クルクル。
飾り棚に寝そべって、ただ回るだけの今川焼き…。


「回転焼き…とも言うだけに…ガハハ!」

「ぺ!」


「頭もほぐして、やわらかくなったところで…おや?トントくんたちは どこ…?」


オイ!それより 今川焼きの頭ってどこ…?


「ほら!ボクたちは ここだよ!」

ヒョイ。ヒョイ。


「おお!イスの下にいたのかーー!」

「ぺっぺーー!」

「そうじゃ、トントくんたち。オンニが 森で迷子になったら大変だ。あとに付いて、そっと見守って来てくれ。そして ブルーベリーの実の魔法も…な」

「ふふふ!了解です!サンタさん!」
「じゃ、行って来ます!」

ピューーーーン!




「魔法?ブルーベリーの実に 魔法をふりかけるのか?」

「ホーッホ…!そう。秘密の魔法じゃ」


カーーーーーーーーッ!
さすが サンタさん!
魔法だぜ!ま・ほ・う!
しかも ひ・み・つ!!

どんな魔法を ふりかけるんだろうなーー?
オレも サンタさんの魔法に ふりかかりたいぜーー!


三種の神器(子供用)のプレゼントだけじゃ 飽き足らず、欲張りすぎな今川焼き…。


続く

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