介護をもっと真剣に考えてほしい(4,234文字無料公開)※感想大募集
超高齢化社会に突入しており、時代はますます介護の重要性が増してきて、同時に切実な人材不足という問題にも切り込んでいかなければなりません。人材に関して言いますとやはり制度や報酬の部分が大きい面もありますので、これは私達ではどうにもすることが出来ず、国や自治体がしっかりと施策を考えていかなければ、資金がない会社や組織というのは潰れていきますので、潰さないためにも企業はお金を湯水のように出すということは出来ません。なのでこの問題を一企業がなんとかしろというのは、本当に難しい話ですので、その実情をもっと知って貰うためにも、
介護の仕事に深く携わっている方の多くが、政治の道に行ってくれたら良いなと期待します。
しかしながら介護職の多くが物事をロジカルにシステマチックに話すのが苦手です。どうしても感覚的なものであったり、感情的なものであったり、主観を伴った話し方をする人が多いです。ですので育成に関しても、きちんと論理的に話をできる人間というのが少ないので、どうしても、
現場を回すことが最優先になってしまう場合が大きいです。
とりあえず介助ができるようにすることが最優先で、じゃあ介護ってなんなのさということをきちんと説明も出来ないまま、研修らしい研修も行われていないというところもあるのではないのかなと思います。研修のやり方を否定しているのではなく、組織というのはビジョンがあっての組織なわけです。そのビジョンを説明しない。ましてや指導する側の人間もわかってないでは、
介護がプロとして職業を確立するというのは難しいのが現実なわけです。
私は介護の現場から一線を引きました。そのことについて後悔はしておりません。ですが今後の介護を考えた時に、もっと「介護ってなんなのさ」ということを真剣に考えてほしい。この考えるというのが大事なのであって、組織として共通の見解を持ってケアに当たらなければ、それは自己満足になるだけです。
私が現場にいた時に、入職する職員に対してオリエンテーションとして2時間お話をさせてもらいます。これが正しい正しくないという問題ではなくて、
うちの組織はこういうケアをして行くよという共通認識をさせるものです。
ビジョンがなければ良いケアなんて出来ませんので、一人ひとりが共有した内容から何を考えて、どういう意見が出るのかというのをしっかりと深めてもらおうという狙いです。もし研修で何をしたら良いか分からなかったり、介護ということを全く知らずに、どういった施設を選んだら良いかわからない時に、
こういうことがしっかりと言えるというのがプロであるということの参考にしてほしいと思います。
はっきり言ってしまうと、これから書く内容というのは、私がお金を頂いて多くの方にお話をしていた内容をまとめたものです。ですので記事としても有料にしようかなとも思ったのですが、私が考える自分の言葉に価値を持たすということを考えた時に、今回の場合は利益というよりも少しでも多くの方に見てもらったほうが良いと考えました。介護の仕事についている人もそうでない人も、
自分だったらどうやって答えるのかということを考えながら読んでもらえたら良いかなと思います。
1.年を取るってことは
人は誰しも年を取ります。年をとるということのイメージとして、どうしてもネガティブなイメージが多くなります。見た目の部分だけではなく、大きいのは精神面のダメージが大きいわけです。今までできていたことが出来なくなってくる。見た目も自分の理想からどんどん遠くなっていく、もちろん全員とは言いませんが、年を取るのが怖いと考える人って本当に多いわけです。
2.介護の仕事って何するの?
皆さんはこれから介護職として働くことになります。ではその介護職というのを人に説明する問に、皆さんはどのように答えますか。この質問に対して、多くの人は「食事や入浴、そして排泄等の出来ないことを手助けする」というような返答をする人というのが本当に多いです。ですがその説明というのは「介助」の説明をしているわけであって、「介助」と「介護」の区別がわからない人が本当に多いわけです。介護というのは、「人の生活を守る」という意味です。では、
食事・入浴・排泄のお世話だけをして生活を守ることになるのかというのを考えなければいけないということになるわけです。
3.想像してみてください
老人ホームに入所するというのは、誰もが予想していることではありません。自分がその立場になるということを人は考えることが出来ません。「もし自分だったらどういう気持なのか」ということを考えるというのは、何事においても大切です。よく答えとして出てくるのは、「嫌だ」、「不安」、「絶望」というようなネガティブな意見ばかりです。大事なのは、
なんでそう思うのかということを答えさせることが大事なわけです。
4.様々な気持ちが存在する
新しい生活というのは皆さんでもあります。新しい生活を始める時にポジティブに考えるときとネガティブに考える時があります。老人ホームに入所するというのは前述したとおりネガティブな気持ちが大きいわけであり、
その現実を私達はしっかりと頭に植え付けていないといけません。
5.どん底の方にどう向き合っていくのか
老人ホームに入るというのは、ご本人にとってはもの凄くダメージが大きいわけです。そんな中、私達職員のアプローチが大事になるわけです。しかしながらこのアプローチをしっかり出来る職員というのは、私が知る限りは本当に少なく、多くの経験を重ねたベテランでさえも勘違いしてしまいます。これって自分が当事者になるとわかりやすんですが、例えば皆さんが落ち込んでる状態だとします。そんな落ち込んでいる時に、人からハイテンションで話しかけられたらどう思いますか。これって入所の時にやってませんか。なんにもしたくない状況なのになにかに誘われる。
これって地獄ですよね。
元気にしてあげたい気持ちはわかります。ですけどそっとしておくというのも時には大事な時があるわけです。その方がどういう状況にいるのか。まずはそれを見極めることがいちばん大切なわけです。
6.誰に向けてアプローチをしていくのか
老人ホームに入所する方をパターンに分けると、だいたい4パターンに分けることが出来ます。もしこの4人の方が自分の担当にいたとしたら、どの人を重点的にアプローチを掛けるのかで、仕事の質というのが変わってきます。多くの職員はADLも気持ちも低い人に重点を置きがちなんですが、何を重要視するのかが分かるとアプローチがしやすくなります。もちろんこれは私の経験上の話ですので絶対ではありませんが、ほとんどうまく行っていますので確証はあると思います。人というのは気持ちに左右されます。ですので気持ちが元気な方というのは、言い方を悪く言いますと、
ほっといてもやるんです。
ここで気になるのがADLが低くて元気な人。例を上げると車椅子なのにめちゃめちゃ前向きな人です。様々なことを手伝ってくれたり様々なことに挑戦する。でも介護職にとっては、これって危なっかしいんですよね。だから食事の後にお盆を持って片付けようとするなら、「危ないですよ」的な声掛けで防いだりしてしまうこともあるんじゃないでしょうか。そうなると、
あっという間に気持ちが落ち込んできます。
大事なのはいかに気持ちの落ちこみを軽減させるかです。気持ちを上げるということは、自分たちのやらなければいけないケアが減るんだと思っていたほうが良いくらい大事だと思ってください。
7.自立支援を間違えないように
「日常生活を自立して営めるように」ということは、よく耳にします。いわゆる自立支援です。この自立支援の捉え方を間違ってしまっているのが原因で、みなさんが老人ホームに入りたくないと言ってる訳です。大きな勘違いは、「自分でできることは自分で出来るように」となっているので、自分で出来ることが良いことだと思いこんでしまってるわけです。だからトイレに行けるのは良いこと。おむつを外せるのはいいことなどという、
自己満足な見解が生まれます。
例えば皆さんは朝起きたくない時に起きてますか?
着替えたくない時に着替えてますか?
ご飯食べたくない時にご飯だべますか?
これを利用者さんの前で、やわらかい強制をしてませんか?
こういう事をされると分かっているから、
施設に入りたくないわけです。
ですがそれは自分たちがまねいてる種なんですよね。
自分が良かれと思うことが良いことかどうかなんて分からないんです。それを確認するのがコミュケーションや傾聴なんですが、傾聴は人の話をよく聴くことではありません。
人の話を聴いて、これであってるのかを確認してはじめてコミュケーションなわけです。
ですのでコミュケーションで一番大事なのは、「訊く」ことになります。
8.大切にされてると感じること
私が大きな会社に勤めてた時に、全施設の利用者と家族にアンケートを取りました。その時に一番に挙がったのが、ここで生活したいと思えるのは、
自分が大切にされているのが感じることが出来ることでした。
大事なのは施設や料金のハードではなくて、職員一人ひとりのソフトなわけです。そのソフトがしっかりとしてれば心地よい環境が出来るわけです。仕事は大変です。でもお年寄りを笑顔にする鍵を握ってるのは皆さんであり、その皆さんがしっかりと共通認識を持ってケアが出来れば、
きっと良いパフォーマンスが出来るわけです。
私の言ってることは絶対ではありません。ですが自分が考えることがあるとして、それを自分の言葉で説明できなければ意味はないんです。これを読んでくださった方が、少しでも何かを感じてくださり、
自分なりの介護観を人に言葉で納得させられる事ができた時、介護という未来が開けるのではないのかなと思います。
もしこの記事に共感してくださいましたら、サポートしていただき、少しでも多くの方々に広めていただければ、また違った介護の未来というのが開けるんではないのかなと思います。私の意見が絶対ではありません。しかし自分がプロだと思うのならば、これくらいのボリュームの話が出来なければいけませんし、自分自身がまだまだ勉強しなければいけない身なんだと、経験を積んでいる人が思っていただければ、