たまにはしょうもないことも。

こんにちは。
突然ではあるが、私は伊坂幸太郎の小説がお気に入りである。約7年前から。伊坂幸太郎の歴史に比べると非常に浅い。俗に言うにわかかもしれない。しかしながら、私にとっては特別な小説たちである。

出会いは、大学最後の冬。私は「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」というドラマにハマっていた。CSで一挙放送されていたことがきっかけだ。そしてその頃初めてのソロ映画館を体験したのも良い思い出である。
とにかく、そのドラマに出ていた俳優の演技が気になり、TSUTAYAに足繁く通うことになった。数多くあった出演作品の中で「重力ピエロ」の原作を読みたいと思ったのだ。
本屋も併設されているTSUTAYAだ。返却する際に「重力ピエロ」を購入した。

春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。

(重力ピエロ/伊坂幸太郎 より引用)

この最初の文章を読んで、今までにない衝撃を受けた。

どの話も最初のつかみでおおよそもっていかれる
初めの3行(いや、10行くらいかもしれないが)読めば世界に入り込んでしまい、気づけば2時間…3時間…と瞬く間に過ぎゆく。
なんといっても伏線の数、回収。そして、ありそうでない・なさそうであるという現実とは少し違った世界線。
さらに、別の小説で登場した人物がふらっと現れる。まるで友人が遊びに来たような感覚で、自分は彼らのことをなんだかよく知っているような気持ちになるのだ。
登場人物たちの言葉や行動には人間味があって、より味わい深くなる。「そう思う!」と共感することもあれば、人生の先輩からの言葉として受け止めることもある。(うまく言葉で表現することができないのが力不足であるが)私はその人物たちから本当に多くのことを学んだのだ。
噛めば噛むほど、読めば読むほど、次の文字を追いたくなる。

私は、どこを切り取っても個性的なこの小説たちを愛さざるを得ない。

👬

そういうことで、どっぷりと沼に浸かっているのだが、この7年でコツコツと文庫本を集め続けた。本棚の一角を堂々と占拠している。
文庫本の良いところは、持ち運びが楽なところ。寝転びながら読んでも腕が疲れないところ。やはりコンパクトで軽い。(一部ページ数が多いもので分厚い文庫本はこれに当てはまらないが)

そして、ついに、今販売されているおおよその文庫本を集めてしまったのである。

そこで、現時点で販売されているハードカバーも購入した。
ハードカバーの良いところは、本が痛みにくいところ。見返し・扉・紙の質感など全てトータルして作品となっているところ。これも捨てがたい。
特に2019年に出版された「クジラアタマの王様」は、夢の中で戦うシーンを挿絵で表現することによってストーリーの疾走感が増している。文章で表現しきれない戦闘の躍動感というかスピード感が一気にイメージされるのだ。

おそらく、文庫本発売まで待てないので今後発売される新刊は、全てハードカバーで購入することになる。
心から敬意を表するとともに、できれば思考を覗き見したいという願望をこれから先の人生でずっと持ち続けるのだろう。

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