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11年目の叛逆記念日に -映画『魔法少女まどかマギカ叛逆の物語』再観賞日記/自作ほむあん漫画添え-

今から11年前。
2013年10月26日に劇場映画『魔法少女まどかマギカ 新編:叛逆の物語』が公開されました。
かの著名作品の“物語の続き”を描き壮絶な反響を呼んだ一作でした。

私も当時、日付として初日となった深夜帯より上映される最速上映に赴き
比喩でなく衝撃に声も出ず
始発待ちの最寄り駅まで、月を見上げながら沢山の事を考えながら、歩いていたのを今でも強く覚えています。

11年目のこの日に、当時劇場にも幾度も通い、その後発売されたBDも含め何度目やも知れない再観賞を経て
久々あの映画についての文面を綴ってみる次第です。


🥀まず、この映画を未観の方へ(ここでは詳細な物語には触れません

tvシリーズ『魔法少女まどかマギカ』は放送当時も大きな話題を呼び、未観賞でもタイトルだけはご存知の方も多いかと存じます。
tvは観ていても映画までは追っておらず「あんな風に終わったのに続きって何を..?」とお思いの方もおいでやも知れません。

私も当時は、あの完結の先に蛇足ではないのか、ああして幕を下ろした物語の先に何をやろうというのか、に正直不安を抱えたままの観賞でした。
そうして衝撃を受けたのは先述の通りでした。

tv本編は希望と絶望の相転移の物語。
あれ程どうしようもないような状況を積んで積んで、一体どうするのかと思えばあのような顛末に至る物凄い引っ繰り返し。
そうした御話としてのギミックの作品であったと思います。

『叛逆の物語』は、その結末を受けての
“物語として解決した”あの後に
“では登場人物達はどうであったのか”という視点で物語を大きく大きく先に進めた映画でした。
語弊を恐れず云えば、悪い意味ではなく正直tv本編では彼女達の存在は物語の“コマ”としての役目であったと感じました。
その子達の想いに、これ程に感情を掻き乱されると思ってもおらずでの衝撃でもありました。

tv本編は『始まりの物語』『永遠の物語』という前後編の映画としても再構築されており、今からtv全話を追うのは大変という方にはそうした選択肢もありますので、ご興味お持ちの方は是非本編を経た上で『叛逆の物語』を体験頂ければと思う次第です。

2025年には、何とその先の物語まで紡がれる事が発表されました。
タイトルは『ワルプルギスの廻天』。
『叛逆の物語』は1個の映画としてしっかりと幕を下ろし、しかしその先を匂わせるような描写は残されていたものでした。
それが、現実のものとなるのです。
まだ、その新規体験に間に合うタイミングなのです。

映像表現や演出構築としても沢山の魅力に満ちた作品です。
私もそうなので“話題作は逆に遠巻きになるタイプ“の方もおいでかと存じますが、話題になるだけのことはある作品でありますゆえ
未体験の方は是非この機会にご自身で。。


🥀あの日の衝撃を振り返る (※これ以降の項目では物語の内容に触れます

『叛逆の物語』を初めて体験していたあの夜。
“序盤の意図された違和感”が段々と確信に変わりゆく中で、“暁美ほむらがずっと抱えて来たもの”にあんなにも抉られると思っておらず
その意味でも心の行き場がなくなり
眼前のスクリーンにその時の感情を持って行かれ続けていたのを思い出します。

tv本編の物語は、どれ程に辛くとも
鹿目まどかが選んだ事をほむらは最終的に受け止めて、その一心で迷わず前へ進み続けていたのだと
だからメリーバッドエンドではあれど
彼女達にとってはあれでよかったのだと
そう思う他ない終わりであったと思っていました。

あの時点では、少なくとも決心としてはそうであったのやも知れません。
でも
心の底で本当のところを言うならば
そうではありませんでした。

ほむらちゃんはまどかの意志を何よりも尊び、だから自身を押し殺してでも彼女の為に進み続けて来ていました。
ですが
あの子の本心を知ってしまいました。

それでもその選択をしたのもまたあの子の強さだと解っていました。
でも。

でも。

進み続け濁り切った暁美ほむらを、神となったあの子が
“鞄持ち”となった美樹さやか 百江なぎさ両名を連れ 他の魔法少女以上の待遇を持ってお迎えに来るはずのところを
インキュベーターがあのような実験を試みた事で
生まれてしまった偽街。
その“幸せな夢”に
それに対し自身が生み出したとも知らず強い否定と批難を吐露するシーンに
二度目以降の観賞で、そう判って観る事で本当に抉られるような感情を重ねました。
当時も幾度も繰り返し、久々に観返した今も同様でした。

ほむらは本当にあの場での死を選んでいました。
自身の魔女がどれ程の力量であっても、彼女の信じる巴マミや佐倉杏子が仕留めてくれるはずと祈っていました。

ですがマミ達は
迷わず
“ほむらを救う為”にくるみ割りの魔女に立ち向かいます。
これまでに重ねて来た事の全て。
ほむら自身はまどかの為だけに身を砕いていた不器用な存在で、力は信頼していてもマミ達とどれ程の関係を築けていたかなどどこか想定外でいたかも知れません。
ですが
彼女達にとってほむらはあれ程の死力を尽くしても救ってあげたい存在に育っていました。

彼女達がそう動いた事で
死の行進をしていたはずのくるみ割りの魔女の触手が祈りの形を取ります。
それを自身の手で砕いてしまうのがまた..。
(行進の途中でも地面を引っ掻いて止まりたがっていましたもんね.…

映像表現的にも、マミまどの空中ブランコのタイミングでかかり始める挿入歌ミステリオーソが本当に秀逸で
インキュベーターの封印が開いたタイミングでの「世界はまだキミのため歓びを隠しているから」の歌詞にかかるのがあまりに見事で
あそこは何度観ても都度泣いてしまうのでした。

そしてエンディングに向かい
普通であればあの最高潮のお迎えに連れられて、ほむらの頑張りは報われてこれからは幸せに
と終わるはずでした。


そこで起きた事に
感情も思考も追い付かなかった初見時をずっと覚えています。

暁美ほむらは 選んでしまいました。
どうしたら あの子の幸せを今度こそ一番に出来るのか。
例え自身がどうなろうと
世界がどうなろうと
今度こそ あの子の為だけに。

映画が終わり
明かりが灯っても
自身もそうでしたが、誰も一言も出せず、暫し立ち上がれず
いつしかぼんやりと劇場を後にしたのでした。

空の月を見上げながら
暁美ほむらの想いに沢山のものを馳せながら
駅までの道を少しずつ歩いていたあの晩をずっと覚えています。

もうあれから11年。
あの続きが観られる事に、今でも整理の難しい気持ちを抱えています。
『ワルプルギスの廻天』に、私は
全国の観客は
何を叩きつけられるのでしょうか。



さて、記事の本体は一応書ききりました。
ちょっとまだ書きたい余談は沢山あるので書き続けますが
投稿日時を折角なので1026にそろえておきたくこれで投稿としておきます。
投稿直後に読んで下さった方で もしご興味おありの方はまた後程にでも。。

以前のマギレコ記事にも本編や叛逆の話題を綴っておりますので是非こちらも△


❏追記:当叛逆記事の続きを綴りました▽

🥀暁美ほむらと佐倉杏子

ここからはちょっと視点として作品論よりもファン感覚の強いものとなるやも知れません。

tv終了後、ファンの間で育って来たものの一つに、今で云う“推し”キャラクターやその関係性というものがあったかと思います。
先述のように私個人は本作においての登場人物達は“物語ギミックのコマ”として置かれていた印象で、当初そういう感覚はありませんでした。

ですが、(そもそもがキャッチーなビジュアルのガワを持って陰惨な物語を描くギャップ企画でもありましたので当然の事ながら)うめてんてーこと蒼樹うめ先生がキャラ原案を務めた魔法少女達の風貌はどの子も愛らしく、あのシナリオの中で必死に生きていたあの子達の内面にも見返す度に思い入れる事も多くなりました。
ヒット作となり様々な展開が続く中で公式からの掘り下げ供給もあり、よりそうした感覚も育っていきました。

私が特に“関係性”として一番惹かれていたのが、ほむらと杏子のそれでした。

観返す度にtvシリーズでも、
あの不思議な共闘関係
心を隠して暗躍しているようなほむらにズカズカと踏み入れる杏子
ビジネスパートナーを公言しながら、あの状況からほむらの大切にしているものを尊重して逃がす杏子/彼女の死に(普段はフルネーム呼びだったのに)「..杏子...…」と溢れるような声で呟くほむら
etcetc。。

『叛逆の物語』でもめちゃくちゃがっつりほむあん描写ありましてびっくりしましたね何ですのこの夢の映画。。って当時初見の中でも別の衝撃でドギマギしていたのでした。
(※ほむらと杏子のカップリングは通称“ほむあん”と呼ばれる事が多いのです。杏子の読みは“きょうこ”ですがカプ表記だと“あん”読みされるのが定番の様子で、響き的にも可愛くて私もほむあんで定着しています

..夢の映画。
それこそ、偽街はあのフィールドの中でほむらちゃんが観ていた“幸せな夢”でもある訳なので。
彼女にとって杏子は。

ああしてまず思い切った相談が出来る相手
二人で行動して真実を探る信頼できる相手
ナチュラルにグッと寄り添うようなスキンシップも実はしたい相手(ソウルジェムを押さえるのにあえてあの姿勢で行くほむらちゃんとちょっとドキッとしてるような杏子に、このシーンの演出ほんと。。となったのでした)
そして
今度は死を覚悟した自分が全てを抱え込む場に残る逆パターン..
「巻き込んでしまってごめんなさい」と最期に言葉を交わす事を選んだ相手も誰でもない杏子でした。

その後の
まっすぐ自身の方を向きながらも“くるみ割りの魔女:彼岸花”と同様に顎上から削ぎ落とされた、そのほむらの頭部を無言でそっと撫でる杏子のカットは
叛逆屈指の名カットで..。
彼女達の関係性が凝縮された凄まじい画でもあったと強く感じています。

まどかマギカは公式でメインの組み合わせがいつしか出来て、グッズなどもそればかり出るような良くない時期がそれなりに長くありました。
まだ叛逆公開前、私がほむあんを好きと言うとまるで無いものを推しているかのような言動をするそのメイン推しの人も居て、よりその“メイン”に悪印象を覚えるような事も実は当時ありました。
でも逆に、メイン以外推しでメインを安易なものと罵るような人も居て。
関係性自体はどれもその子達の大切な人間関係で、その性質は様々な訳なので
一律ただ恋愛で固定しようとするような論争にもうんざりしてしまうのは、それまでの経験も含めどのファン界隈でも同じなのを痛感したものでした。
(以前のルックバック観賞からの自身の漫画描き遍歴思い出話記事で触れた、二次創作時期に王道以外を推して云々のくだりの界隈は実は当時のここだったのでした)

作品展開が広がっていく中でファン層もどんどん広がり、ちゃんと劇中で描かれた関係性を沢山咀嚼する土壌も広がって今はそういう事も目立ちにくくなったかも知れません。
当時も悪い記憶だけでなく、私はほむあん本を何冊か刊行していたので、纏めて買って行って下さった方が「物凄く良かったので友人の分も買っておきたくて..!」と当日舞い戻っておいでになられた事などもあって。
そうして好きなものが同様に好きな方に届く、同人活動というものの素敵な側面の記憶もちゃんと残ってはいる事も添えおきます。

公式グッズでも
当時からほむあんラーメンのプライズが出たり、二人が表紙の雑誌が出たり、景品でグラスが出て種類別表記が「ほむら×杏子」でびびったり。
叛逆の描写といい、カプ商売云々でなく公式側でこの二人の関係性を強く捉えられている部分があるのは伝わって来るので逆にそわそわしてもしまうのでした。。

マギレコ記事でも掲載しましたが、水着ほむあんユニットこうして対ビジュアルなんですのよ何ですのこれ。。


🥀自作ほむあん漫画試し読み掲載

2016年に刊行した古い作品です。
当時「夏コミ合わせでもう一冊今出したい」「じゃあ前から描きたかったほむあんの話を今回出してしまいたい」と突貫した、作画的にも弱いものですが
それでもtvシリーズを観てからずっと抱えていた御話をどうにか形に出来た思い出深い
『GOSPEL』という漫画をこの機会に少し長めに試読掲載してみます。

⚠この御話は原作作品で描かれた事を受けての個人による非公式ファンアートです

ー公開分はここまでとなりますー

この頃から即売会にあまり出なくなっていき、以前のほむあん本を読んで下さっていた方でも初めて知られる方もおいでやも知れません。
現在は数十円の投げ銭程度で電子書籍での頒布をしておりますので、お気が向かれましたら宜しければご一読頂ければ幸いです。。▽
(※冊子頒布の名残と、当時の様々な経験から全てをどなたでも読める場所に二次創作漫画を置いてしまわないという意図の元に、一応の少額を設定するようにしております

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=471967


🥀昨今の利便性(ここは物語内容に触れておりません

『叛逆の物語』Blu-rayソフトはパッケージがめちゃくちゃ凝ってる当時のものを所持しておりますのですが、観賞の度取り出すのも大変でディスクのみ別ケースに入れていたものでした。
今時は配信サービスで観賞も手軽で本当に良い時代だなと実感した今回でした。。

夜分作業中BGVを流そうとChromecastを開いた際に奇しくもおすすめに丁度叛逆が表示されており、そうだこの日なんですしと再生を始めて、本当に幾度目かというのに魅入ってしまい。
最初BD引っ張り出そうかとも思ったのですがそのままこうして観られるのってホント様々な作品に触れやすい機会も多々生んでるなぁと思う次第です。

目次からここに飛ばれた未観賞の方も、是非そうした選択肢にてでもご観賞頂ければ幸いですとして
最近の私には珍しくちゃんと当日書ききりまして記事を終える次第です。

来年公開の新作映画において
どうか
あの子達に幾ばくかの福音が訪れる事を祈りながら。


❀Information❀

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