いしだ@演劇の感想

演劇好きのフリーランスライター。 演劇のサブスクサービス『観劇三昧』で鑑賞した作品の”感想”を書いています。脚本集も販売中です。https://amzn.asia/d/4jjZcM7

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面白いか面白くないか、それが問題だ。

三度の飯と同じくらい演劇が好きな私だが、家族環境の変化や引っ越しなどを理由に、何年も演劇を鑑賞しない日々を送っていた。 「観劇三昧」というサービスに有料会員として登録するも、月に1本も観ないまま、実に”1000分の1世紀”が経過していた。 これでは何も生まれない。 そろそろ、”演劇を観る時間”を捻出する必要がある。 そう思った私は、イチネンホッキしてnoteを始めることにした。 私はここに、「観劇三昧」で観た作品の感想を書いていく。 その目的は、 「観劇の習慣化」と、

    • 【感想】演劇企画団体 7millions 『アナタノミカタ』

      人間模様の闇鍋いろんな意味でお腹一杯になる物語だった。 日常なのか非日常なのか、 コメディなのかサスペンスなのか、 優しさを描いているのか狂気を描いているのか、 それらが判別できないほどに多くの人間ドラマが詰め込まれ、作品全体が闇鍋状態になっている。 これを面白いと感じるか否かは分かれるところだろう。 しかし、「見応え」としてはじゅうぶんだ。 作りがしっかりしているだけに、細かいことが気になってしまう。まず、冒頭である人物の苦悩が描かれるが、令和の時代に似つかわしくないステ

      • 【感想】観劇三昧『池袋ポップアップ劇場season2』Vol.1

        原石の煌めきだらけじゃないか! 観劇三昧で新着動画のリストを見ていたら、ふと面白そうな演目を見つけた。 「観劇三昧」と「ミクサライブ東京」という施設が主催で、毎週水曜日に20分×4劇団の舞台作品が観られるという企画のようだ。 さっそく観てみることに。 結論を言うと、「日本小劇場界の可能性」を感じた。 4作品とも、センスに満ちたアイデアを作品に落とし込み、なおかつ表現方法も巧みだった。 こんな猛者たちが「アマチュア」としてくすぶっている(失礼)なんてもったいない!と思わされ

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        • 【感想】演劇計画プラネットナンバー第4回公演「プラネットナンバー3」

          とてつもない可能性を秘めた作家を見つけたかもしれない。 まず結論から言っておく。この作品の出来は素晴らしい。 役者や演出の話ではない。脚本が抜群にハイレベルなのだ。 それはもちろん「小劇場という枠組みの中で」の話だが、それにしても、久々に魂の震える演劇を観た。 絶対に面白くないと思って鑑賞した。 まず、公式のあらすじを読んでいただきたい。 ↓↓ ーーーーーーー 地球が太陽に飲み込まれた。 それでも僕らはなんとか生きている。 ここはプラネットナンバー3、小さな星で暮らして

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        面白いか面白くないか、それが問題だ。

          【感想】マチルダアパルトマン「ばいびー、23区の恋人」《駅前劇場ver》

          上級者向け人間ドラマ風シュールコメディ。これは間違いなく人間ドラマを描いた演劇作品だ。しかし同時に、限りなくコントに近い。しっかりと笑えるし、じんと来るシーンもあるし。良い意味でカテゴライズの難しい作品だった。 地雷のような主人公 まずプロローグが衝撃的だ。 主人公と思われる女性が出てくるが、嫌悪感しか抱かないのだ。台詞も、言い方も、雰囲気も、とてもじゃないが好感が持てない。「え、この女の話を見せられるの?」という不安に駆られる。 舞台衣装のセオリーとして、危険な匂いのす

          ¥300

          【感想】マチルダアパルトマン「ばいびー、23区の恋人」《駅前劇場ver》

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          【感想】fukui劇vol.10A公演「母孵ル、~晩秋の夜~」

          とてつもなく繊細に作り込まれた不条理コメディこんな作品に出会えるなんて、観劇三昧に登録してよかったと思える瞬間だった。 本編が始まって、まず美術のクオリティに感動する。 なぜ感動するかと言うと、美術がちゃんと作り込んである舞台は第一印象で作り手側の本気度がうかがえるからだ。 こういうリアル系のセットの場合、「隣の部屋の家具」とか「廊下の壁」まで作られていないと、逆にクオリティが下がってしまう。しかしこの劇団はそんな手抜きは一切していない。 壁の「汚し」や小道具の全てに至るまで

          【感想】fukui劇vol.10A公演「母孵ル、~晩秋の夜~」

          【感想】ステージタイガー「Re:TURN!」

          とてつもない熱量で突き付けられる、大人の青春群像劇!このエネルギー量は半端ではない。 憧れの俳優を追って劇団入りした主人公が、夢を追いかける若者たちのシェアハウスでうんぬんかんぬん… そこへ「地元に戻って就職しろ」と促す身内がうんぬんかんぬん… というステレオタイプのテーマ、設定、展開、演技etc. 見ていて恥ずかしくなるような青臭い話なのに、最後の最後までノンストップで観せつける力を秘めていた。 演劇に馴染みがない人が観たら間違いなく拒否反応が出るであろう”ザ・演劇”といっ

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          【感想】ステージタイガー「Re:TURN!」

          ¥300

          【感想】ポケット企画 第8回公演「おきて」

          非常に世界観が統一された作品で、安心して見ていられるクオリティ。 小劇場の芝居を見るのはギャンブルだ。本当に目も当てられない質の作品に当たることが多いなか、このポケット企画さんの作品は冒頭からその不安を払拭してくれた。 まず、導入の会話にセンスが表れている。 すぐに説明台詞を始められると「ウ○コ脚本だな」と思うが、キチンと遠いイメージの会話から入り、徐々に物語の設定に触れていく。そんな当たり前のことが出来ていない芝居は多い。 なぜだか聞いていられる会話。 噛み合っていないよ

          【感想】ポケット企画 第8回公演「おきて」