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所有マンションが違反対象物建物として晒されていた
マンション管理組合をほとんど知らないまま管理組合員になることはよくあることだと思います。マンションを買えば自動的に管理組合員となるからです。
私も10年以上前に新築マンションを買いました。1フロアで1理事を選出することになっており、マンション売買契約書締結の際にくじで10分の1の確率で見事理事を引いたのを覚えています。
ちなみに、防火管理者の資格を持っていると、理事長や副理事長などの重職を免れ(やりたい方は別として)防災担当者として立候補すれば仕事はほとんど管理会社が代行してくれるので管理組合の仕事の中では負担が軽くて済みます。
(と言っても、防災のことなので重責であることは間違いありません)
防火管理者は日中2日間の講習とテストを受ければ合格できる資格なので、資格としては手頃です。
管理組合面倒臭い、理事やりたくないと言っても、輪番制であれば必ず回ってくるので、そういう方は防火管理者の資格を取得するのがおすすめです。
ですが、複合用途のマンション(居住区と店舗が入っているマンション等)ではかなり話が複雑になってきます。
具体的にいうと、高さ31mを超える建物・複合用途のマンションには統括防火管理者が必要です。1店舗に1人の防火管理者と建物に1人の統括防火管理者が必要ということになります。
店舗を経営している人が区分所有者でない場合には、区分所有者でなく店舗の中に1人防火管理者(防火管理者の資格を有する)を立ててもらいます。ですが、統括防火管理者は原則その建物に居住している区分所有者が担わなければなりません。
全てが居住区の分譲マンションと違って、店舗が入れ替わることもあればスタッフが入れ替わることもあり、防火管理者が不在になってしまう場合もあります。
店舗の内情まで把握できるわけではないので実はずっと防火管理者なしで営業してました、ということは多々起こります。
防火管理者が変更になったらその都度消防署に提出しなければならないのです。そこまで把握して管理をしなければならないということです。
ある日なんとなく管理組合理事長をやっている複合用途マンションを管轄する消防署のHPを見てみました。
すると…違反対象物建物の中に所有マンションが含まれていたのです。
この頃にはあまりこういうことがあっても驚かないようになってきました。(これまでの投稿を見ていただければわかると思います)
すぐ管理会社に電話。「ほんとですね」
ご安心ください。普通HPに掲載されるのは違反してすぐではないはずです。管轄にもよるでしょうが、何度も問い合わせがあるはずです。管理会社がそれを無視または軽視し、管理組合への報告もなかった場合にはこうなります。
東京都の場合こちらから調べられます。東京消防庁HP
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kk/ihan/index.html
防火管理者名簿が訂正されていなかったから違反になったわけではありません。消防点検の際に指摘された不適格部分や避難経路に物が置かれているのを何年も放置して是正勧告が出ているのに無視し続けた結果が主でしょう。
まず、全ての店舗に確認をして防火管理者のリストを作り直し、消防署員立会のもと消防点検をおこない書類を再提出しました。これは管理会社に指示しました。
そして私がやるべきこと。他の案件もあったので、臨時総会を開き、現在違反対象物として晒されていることを正直に話しました。区分所有者として資産価値をこれ以上下げないように、店舗として賃貸されている方には避難経路などに物を置かないよう賃借人に注意してもらうこと、点検の際などに協力をすることなどをお願いしました。
すると割とすぐHPからビルの名前は消えました。
普通であれば管理会社はこんな仕事はしないはずです。
もし不適格な状態で火災などが発生したら、管理組合は責任を負わなければなりません。知らなかったとしても、知らないことに罪があります。そのために管理会社と契約しているのです。
管理会社との標準管理委託契約の内容には、不具合等の管理組合への報告が義務として載っています。不具合を知っていて管理組合へ報告しない場合には善管注意義務を怠ったとみなされます。
乙は、善良なる管理者の注意をもって管理業務を行うものとする。
複合用途では店舗等が入るため火災等のリスクが高くなります。管理組合は万が一のことがないように消防点検の際の指摘事項は必ず把握し是正するように動かなければなりません。