きりたんぽ鍋に必ず入る素材と入れてはいけない素材
きりたんぽ鍋に必ず入る素材といえば、もちろんきりたんぽですが、他にどんな素材を使うのでしょうか。
比内地鶏、舞茸、芹、ゴボウ、長ネギは必ず入るようです。
他に里芋や糸コンニャクや油揚げが入ることもありますが、あまり具沢山にしない方がよいという意見もあります。
炙ったきりたんぽ、比内地鶏、舞茸、芹、ゴボウ、長ネギの六種類が、組み合わせの王道だという根強いこだわりもあるようです。
きりたんぽ鍋は、何と言っても比内地鶏を味わう料理です。
比内地鶏の鶏ガラで出汁を取り、醤油と味醂と日本酒で味つけします。
出汁をひと煮立ちさせてところに一口大の比内地鶏を加えます。
火が通ったら、小房にほぐした舞茸と笹掛にしたゴボウと加えます。
次に、食べやすい大きさに切ったきりたんぽと長ネギを加えます。
最後に芹をたっぷり入れて出来上がりです。
芹は、煮過ぎないように最後に入れるのがコツです。
逆に、きりたんぽ鍋に入れてはいけない素材というものがあるそうです。
それは椎茸です。
なぜ椎茸を入れてはいけないのか、詳しい理由はわかりませんが、おそらく舞茸の風味とぶつかるからではないでしょうか。
舞茸は、たいへん香りの強いキノコですから相性を考えなくてはなりません。
同じく香りの強い芹やゴボウや長ネギとは、お互いに個性を発揮できます。
しかし椎茸が入ると、舞茸の個性が半減するのではないでしょうか。
たとえば、松茸の土瓶蒸しに椎茸を入れるのと同じです。
せっかくの松茸の風味が台無しになってしまいます。
あるいは、トリュフのパスタに椎茸を入れるのと同じです。
せっかくのトリュフの風味が台無しになってしまいます。
同じように、舞茸の豊かな香りと風味と歯応えを生かすために、きりたんぽ鍋には椎茸を入れてはいけないのだと思います。
また、天然の舞茸はたいへん希少なものです。
舞茸の人工栽培が定着したのは1980年代に入ったからです。
それ以前は、山奥に入って採集しなければなりませんでした。
山中で舞茸を見つけると、舞いたくなるほど嬉しいので、舞茸と命名されたという説もあるほどです。
舞茸は、毎年同じ木の同じ場所に生えるそうですが、採集者はその場所を家族にさえ秘密にしているそうです。
舞茸を採りに行って、椎茸や他のキノコが見つかることもあります。
しかしそれはあくまで副産物です。
きりたんぽ鍋には椎茸を入れてはいけないという決まりは、舞茸に対する郷土の人々の敬意なのかもしれません。
ただし、椎茸の名誉のために一言申し添えておきますが、舞茸に劣らず、椎茸はたいへん美味しいキノコです。
たとえ、きりたんぽ鍋に入らないからと言って、その魅力が損なわれることは少しもありません。