かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hurry home."(カタツムリは家路を急がない)を人生の教訓と考えています。なぜ家路を急がないかって。それは家を背負っているからです。

かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hurry home."(カタツムリは家路を急がない)を人生の教訓と考えています。なぜ家路を急がないかって。それは家を背負っているからです。

最近の記事

パンにまつわるイタリアのことわざ

イタリアにはパンにまつわることわざが多くあります。 たとえば、こんなことわざです。 「歯のある者にはパンがなく、パンのある者には歯がない。」 とかくこの世はままならないという意味です。 「苦労のないパンはない」というのもあります。 人生の真理を示す重厚なことわざです。 イタリア語でパンは「パーネ」、苦労は「ペーナ」といいます。 つまり「ペーナのないパーネはない」ということです。 じつは、語呂合わせの駄洒落にもなっています。 いかにもイタリア人らしいセンスがあります。

    • 秋ナスはなぜ嫁に食わせないのか

      「秋ナスは嫁に食わすな」という表現があります。 昔からよく物議を醸してきました。 嫁いびりの言葉なのか、それとも嫁を思い遣る言葉なのか、 解釈が分かれているからです。 似ている表現に「秋サバは嫁に食わすな」があります。 やはり解釈が分かれるところです。 昭和時代のテレビドラマならば、明らかに前者でしょう。 嫁と姑の確執は、視聴者の共感を得やすいテーマです。 秋ナスも秋サバもたいへん美味しい旬の食材ですから、 意地悪なお姑さんの気持ちもわからなくありません。 しかし、

      • 食べてよいナス悪いナス

        ナス科の植物はアメリカ大陸に多く分布しています。 人間にとって有用な野菜が多いのが特徴です。 ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、トウガラシなどは すべてナス科の植物です。 コロンブス以降、アメリカ大陸からヨーロッパに伝わり、 全世界に広まっていった野菜たちです。 おかげで世界中の食文化が豊かになりましたが、 ナス科の植物の中には有害なものもあります。 たとえばタバコがそうです。 有害なニコチンを含んでいます。 タバコは、もともとアメリカ大陸の先住民たちが、 害虫や

        • 食べてよいキノコ悪いキノコ

          秋はキノコの季節です。 キノコの炊き込みご飯やキノコ汁など、 美味しいキノコ料理が味わえます。 山にはたくさんの野生のキノコが生えています。 キノコ狩りも秋の楽しい行事です。 しかし、食べられない毒キノコがあります。 命を落とすほどの猛毒を持つものもあります。 熟練したキノコ採りの名人でさえ、 近年は悩むことがあるそうです。 地球温暖化のせいで、毒キノコの生息域が、 昔と比べると変わりつつあるからです。 毒があるかどうか、素人が判断するのは危険です。 市販されてい

          1000字で読む文学の話100「雲」「戦火のなかの子どもたち」「風に吹かれて」

          第二百九十八話 「雲」山村暮鳥  山村暮鳥(ぼちょう)は雲の詩人であり、雲を詠った詩が最もよく知られています。

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          1000字で読む文学の話100「雲」「戦火のなかの子どもたち」「風に吹かれて」

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          1000字で読む文学の話99「ディア・ライフ」「楚囚之詩」「暗い絵」

          第二百九十五話 「ディア・ライフ」マンロー  「掌(たなごころ)の小説」という文学があります。その名の通り、まるで掌(てのひら)に乗るほどの小さな短編小説のことです。

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          1000字で読む文学の話99「ディア・ライフ」「楚囚之詩」「暗い絵」

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          1000字で読む文学の話98「草の葉」「蛇にピアス」「曾根崎心中」

          第二百九十二話 「草の葉」ホイットマン  ウォルト・ホイットマンはアメリカの歴史とともに生きた詩人です。

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          1000字で読む文学の話98「草の葉」「蛇にピアス」「曾根崎心中」

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          1000字で読む文学の話97「焼跡のイエス」「オズの魔法使い」「ツナグ」

          第二百八十九話 「焼跡のイエス」石川淳  太平洋戦争の敗戦は、日本の社会に衝撃的な変化をもたらしましたが、終戦後間もない時期は、まだ秩序と混沌が未分明の状態でした。

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          1000字で読む文学の話96「ゆれる」「ジキル博士とハイド氏」「草の花」

          第二百八十六話 「ゆれる」西川美和  人気の高い小説が映画の原作となるのは珍しいことではありませんが、映画は必ずしも原作に忠実ではありません。

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          1000字で読む文学の話96「ゆれる」「ジキル博士とハイド氏」「草の花」

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          1000字で読む文学の話95「にんじん」「秋の瞳」「おらおらでひとりいぐも」

          第二百八十三話 「にんじん」ルナール  子どもは親を選んで生まれてくることができません。

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          食べてよい肉悪い肉

          世界にはさまざまな宗教があり、 食べものの禁忌が定められています。   つまり、宗教上食べてよいものと悪いものが 厳格に決められています。   たとえば、ユダヤ教やイスラム教の教義では、 豚肉を食べることが許されません。   では、他の動物の肉であれば何でもよいかというと、 そういうわけではありません。   ユダヤ教で食べてよいものは「コーシャ」と呼ばれます。 ヘブライ語で「適正」という意味です。   それによると、牛や羊や山羊は食べてよく、 豚や馬やウサギは食べてはいけませ

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          1000字で読む文学の話94「望郷」「三銃士」「マチネの終わりに」

          第二百八十話 「望郷」湊かなえ  ミステリー小説というのは、謎解きを楽しむ文学ですから、作中には必ず謎が示されています。

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          1000字で読む文学の話93「文章読本」「おはん」「くるみ割り人形とねずみの王様」

          第二百七十七話 「文章読本」丸谷才一

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          1000字で読む文学の話92「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「雲をつかむ話」「杳子」

          第二百七十四話 「郵便配達は二度ベルを鳴らす」ケイン  アメリカ文学史上、初めて小説の主題に犯罪が取り入れられたのは、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」です。

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          1000字で読む文学の話91「下町ロケット」「青い麦」「海の声」

          第二百七十一話 「下町ロケット」池井戸潤  小説家には、初めから作家を志して成功する例もありますが、他の職を辞して作家に転身する例も見られます。

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          代替肉は食肉の歴史を変えるのか

          人類は先史時代から狩猟生活を送ってきました。 野生の動物や鳥類や魚類を獲る生活です。 やがて人類は牧畜を行うようになりました。 自らの手で家畜や家禽を育て始めました。   おかげで安定的に肉を確保できるようになりました。 じつは現代でもそれは変わっていません。   ジビエなどの野生の肉を食べる機会もありますが、 現在流通している肉のほとんどは畜産品です。   しかし野生であれ家畜であれ、肉を食べることは、 その動物の命をいただくということです。   人類は他の動物の命を奪っ

          代替肉は食肉の歴史を変えるのか