「なぜ私たちはオンライン科学実験ワークショップをするのか?」
今回の記事は、加納研究室所属の永安が執筆しました。
「オンライン」
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、よく聞くキーワードとして真っ先に思い浮かぶのがこの言葉だろう。
最近は、何をするにしても、「オンライン○○」と、言葉のあたまに「オンライン」が付けられることが当たり前になり始めました。そしてそれは、大人にとってだけの話ではない。子どもの学びや遊びについても、「オンライン」は重要な側面の一つとなりつつある。
今までは、子どもは毎日学校に通い、対面で授業を受け、友達と外でたくさん走り回り、遊ぶといった生活が一般的な学校生活であったが、そんな日常はコロナウイルスというよくわからない未知のウイルスによっていとも簡単に壊されてしまいました。
これまで対面で行ってきた授業については、「オンライン」でも行うことを検討すべきとされ、文部科学省による「学びの保障」という言葉も話題となりました。
という感じで、「オンライン」という言葉は急速に世の中に定着していったということなのですが、
「オンライン化が進むと色々良くなるのだろうけど、あんまりよくわからない。」
「オンラインが進むと何が良くなるの?何ができるの?」
「時代の流れについていけない。」
このように思う方も多いのではないかと思います。現に、この記事を執筆している私もそう思っているうちの一人です(笑)。しかし、このままよくわからないままに日々を過ごしていくのは、ひどくもったいないのではないかと私たち“加納研究室”は考えています。
加納研究室について
ここで、私たち“加納研究室”について簡単に紹介させてください。
“加納研究室”とは、滋賀大学教育学部の教授である加納圭教授の展開する理科教育の研究室です。
私たち“加納研究室”では、定期的に「子どもの科学的思考力を養うワークショップ」を小学生の子ども達向けに開催してきました。
ある時には、NHKと連動したワークショップを行ったり、またある時には、研究室から「NHKカガクノミカタ くらべてみるゲーム」といった学びにもつながるボードゲームの開発及びボードゲームを使ったワークショップの実施を行ったり、研究室オリジナルの科学実験ワークショップを開発・実施したりと、かなり精力的に活動してきました。
(※他にも様々な活動を行っていますが、その他の紹介は別の機会に)
日本の教育は、今、変わりつつあります。主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の実現が重要視され、学校現場でも、教え込みの一方向型の授業を改善し、双方向の学びを取り入れるなど、様々な取り組みがなされています。
私たち“加納研究室”は、小学生の子ども向けに、アクティブラーニング型の科学実験ワークショップを数多く実施してきました。先に、NHK連動やらボードゲームやら色々と書きましたが、それらも全て、アクティブラーニング型ワークショップということです。
なぜ、オンラインで科学実験ワークショップを行うのか?
「教育」というフィールドで、私たちは子どもたちの深い学びのために活動をしてきました。しかし、これらの活動は、主に対面での活動がメインでした。
ワークショップなのだから、対面で行うのが一般的ですよね。
しかし、対面のワークショップをホイホイと簡単に実施することができなくなってしまいました。新型コロナウイルスの感染拡大が原因です。
研究室の実施するワークショップは、評判も非常に良く、子どもたちにとっても「学ぶことは楽しい」、「もっと知りたい」と思ってもらえることが多くありました。
対面でワークショップができない今でも、子どもたちには学ぶことの楽しさに気づいてもらいたい、そう感じた私たちは、オンラインで今まで通りのワークショップができないかと考えるようになりました。
オンラインでも今まで通りのワークショップを行うことができれば、子どもたちにとっても、その保護者の方たちにとっても、私たちにとっても非常に意義のある活動として今後もやっていける。そう確信した私たちは、本格的に、オンラインで科学実験ワークショップを実現するために準備を始めました。
全ては、子どもたちの“深い学び”のために
どのように実現するのか?
「オンラインで科学実験??」「ほんとにできるの??」
そこのあなたも、こう思ったのではないでしょうか?確かに、オンラインで科学実験をするって、一見イメージしづらいですよね。
結論から言っておきましょう、オンラインで科学実験は“できます!”
その秘密は、この先の記事で紹介しています。
オンラインで科学実験をするにあたって、色々と解決しなければならない問題がありました。解決すべき問題を、ここでは大きく3つに絞ってみました。
※実際にはもっと細かい課題があったのですが、ここでは割愛します。
1.実験道具をどうやって用意したのか
2.オンラインでどうやって参加してもらうか
3.本当に深い学びを実現できるのか?
①実験道具をどうやって用意したのか
小学校や中学校での理科の実験を思い出して欲しいのですが、実験をするには実験道具が必要ですよね。オンラインで科学実験をするってなると、「実験道具どうするの?」とも思うかもしれません。しかし、意外に簡単な方法で解決することができました。
「実験道具郵送しちゃえばいいじゃん!」
というわけで、科学実験に使用する実験道具をこちらから郵送してお届けすることで、科学実験をするための準備が一つ完了するわけです。ワークショップに参加するとして、実際におうちに実験道具が届くとなると、「びっくり」「わくわく」しますよね。
※実際におうちに郵送した実験キットについては、各ワークショップの記事で紹介しているので、気になる方は見てみてください!
安全面については、しっかり配慮しておりますので、安心して実験できる内容となっています。
②オンラインでどうやって参加してもらうか
実験道具の問題が解決したところで、次に、参加者の方にどのようにしてオンラインで参加してもらうかという課題が生まれました。
様々なアプリがある中で、私たちは“双方向のやりとりを重視したい”ということで、テレビ会議ツールである「Zoom」を中心に使うことに決めました。聞いたことがある人もいるのではないかと思います。Zoom飲み会なんて言葉も流行りましたしね。
その後、LINE Openchatという匿名LINEグループを使ったワークショップなども思いつくのですが、基本はZoomで、「みんなでカメラの前で一緒に科学実験したら楽しそうだよね〜」ということで、Zoomで参加してもらうことになりました。
「Zoomを使ったことがない」
「Zoomのやり方がわからない」
「自分にできるか心配」
といった悩みをお持ちの保護者の方々のために、研究室では
超わかりやすいZoomマニュアル
Zoom練習会の実施
ワークショップ当日開始前にもZoom練習
などのサポートも完備していますので、安心して参加いただくことができるよう準備しております。
オンライン科学実験ワークショップをやり始めた頃は、やはりZoom慣れしている方々が参加しておられましたが、Zoomを全く使ったことがない方でも十分に楽しめるように全力でサポートしているので、もし今回、興味を持っていただけたなら、ぜひ今後実施する“加納研究室”のオンライン科学実験ワークショップにご参加いただければと思います!
※参加の方法や開催情報については、記事の最後に記載しています。
③本当に深い学びを実現できるのか?
この課題が、オンライン科学実験ワークショップする上で最も解決の難しい課題でした。
ただ科学実験をオンラインで行うだけならば、①や②のような準備を行えば、すぐに実現できるでしょう。
しかし、私たちが実現すべきは“加納研究室”が行ってきたワークショップをオンラインで開催することであり、子ども達に深い学びを提供することです。
というわけで、ワークショップを行うにあたって取り扱う題材についても非常に長い時間、研究室内で議論を重ね、オンラインでも深い学びを実現することのできるオンライン科学実験ワークショップを開発しました。
NHK Eテレ「カガクノミカタ」や「考えるカラス」の番組制作にも関わっておられる加納圭教授の指導のもと開発しているワークショップなので、参加者の方々にもきっと満足していただけるような内容になっていることは間違いないと確信しています。
(自信満々ですね)
でも、それくらい誇りを持ってワークショップを行うことはもちろん、ワークショップを少しでも楽しんでいただくための仕掛けもたくさん取り入れているので、興味のある方はぜひ一度参加してみてくださいね。
オンライン科学実験ワークショップの実現に際して
これまで、実施するにあたって様々な課題に直面し、それぞれ解決に向けて取り組んできました。全ての課題解決を達成したあとは、実際にオンラインで実施あるのみ!
そして、実際にオンラインで科学実験ワークショップを行い、見事実現させることができました!
※具体的なワークショップの内容(参加者の反応、参加者アンケートの結果)については、別の記事でワークショップごとに紹介しています。
こうして、私たちの目的であった、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)をオンラインで実現することができたのでした。
今後も、オンライン科学実験ワークショップは継続して開催していくので、興味がある方は記事のまとめに参加についての詳細が記載されているので、ぜひ最後までご覧ください。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。オンラインで科学実験を行うことについての内容に加えて、研究室の活動についても書かせていただきました。少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
さて、本記事も最後のまとめになりますが、改めてお伝えしておきたいことがあります。
“なぜ、オンライン科学実験ワークショップを行うのか”についてです。
記事内では、研究室ワークショップのオンラインでの実現を中心に書いてきましたが、他にも意義はあります。
対面では、ワークショップを開催する場所に来られる人だけがワークショップに参加することができましたが、オンラインでは住んでいる場所は関係ありません。もっと言えば、時間も関係ありません。
参加したい人が参加したい場所から参加することができるのです。ここが、オンラインの最大の利点でもあるでしょう。
つまり、興味があればどこからでも、誰でも参加できるのです!
ぜひ、そこのあなたも加納研究室のオンライン科学実験ワークショップに参加してみませんか?
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