見出し画像

後ろ向きな人間が無理に前向きになる必要はない

 こんばんは。という挨拶を久しぶりに書いた気がする。最近はそんなことも書けないくらい、過呼吸になるように文章を紡いでいたことが多かったので、なんか一息ついたような心地になりました。

 先日(といっても昨日の話ですが)、ALTER EGOというアプリゲームを、全エンディング回収してクリアしました。このゲームは、エスちゃんという女の子に性格診断をしてもらいながら、「私って、なに?」を物語を通して、見つめ直していくゲームです。
このゲーム、わたしが高一の時に出会って心を救われ、以来一年おきくらいのペースでプレイしていて、今回で3回目の周回クリアとなりました。何度やっても新鮮で、面白くて、怖くなって、包まれて、泣けてしまう。

https://apps.apple.com/jp/app/alter-ego/id1447605099

⬆️APP store

https://alterego.caracolu.com/jp/index.html

⬆️公式サイト

⚠️書いた通りクリア済なので、ここから先はクリア後、もしくはネタバレ気にしないよ〜って方だけ読んでください。


 まず、なんでまたこのタイミングで久々にやろうと思ったのかという話。
 最近暗めの近代文学にハマっているという話は前記事でしたんですが、それで5、6年ぶりくらいに「人間失格」を読み直したんですよね。余談ですが、新潮文庫の夏のプレミアムカバーのものを買いました! 𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲……。
 そしてその中で、「罪。罪のアントニムは、何だろう」という台詞を、主人公、葉蔵が言うんです。アントニムというのは対義語の意で、葉蔵が友人と色々なものの類義語と対義語を論じていた時の言葉。
 このセリフに、すごく馴染みがあるなと思ったんです。おかしいな、読んだのはだいぶ前だし、すごく有名な台詞というわけではないのに……。と思って思い返してみたら、そうだ、このゲームじゃないか……!となったわけです。
 説明が遅れましたが、このALTER EGOは、簡単に言ってしまえばタップゲー兼放置ゲーです。

 写真のように、自分の診断に基づく言葉や、有名な15作品からそれぞれ4つずつ文章を抜き出していて、それらが吹き出しとして流れてくるんです。それをタップして、ストーリーを解放していく(放置している間に貯まる分もあります! 結構クリア楽でよいゲーム)という仕組みなんですが、この中に、「罪のアントニムは、何だろう」という言葉があったんですね。
 それで、久しぶりにこのゲームの存在を思い出したわたしは、やってみようと思ったわけです。

━━━━━━━━━━━━━━━

(興味を持ってもらいやすいかなと思ったので、扱われている15作品リスト載せます。好きな作品あれば是非プレイして見てほしいです⬇️)

①人間失格/太宰治
②デミアン/ヘルマン・ヘッセ
③山月記/中島敦
④変身/フランツ・カフカ
⑤狭き門/アンドレ・ジッド
⑥はつ恋/イワン・ ツルゲーネフ
⑦草木塔/種田山頭火
⑧坑夫/夏目漱石
⑨地下室の手記/フョードル・ドストエフスキー
⑩シーシュポスの神話/アルベール・カミュ
⑪フランケンシュタイン/メアリー・シェリー
⑫不思議の国のアリス/ルイス・キャロル
⑬星の王子さま/サン=テグジュペリ
⑭ポー詩集/エドガー・アラン・ポー
⑮ドグラ・マグラ/夢野久作

━━━━━━━━━━━━━━━


 それで、今回はあまり深く中身に触れるつもりはなくて。昔からずーっとエスちゃんが大好きなので、本編エスちゃんの話はいくらでもできるんですが、まぁそれは割愛。
 このゲーム、3種類エンディングがあって、2つのノーマルエンド(というかバッドエンド)を回収すると最後トゥルーエンドに行けるという感じなんですが、それが終わると、エスちゃんと雑談や、読書のお話ができるようになるんですね。
 人生、生き方、不安、悩み、私ってなんだろう。そういう気持ちを、わたしが抱えているのはもちろんなんですが、このゲームの面白いところは、本来わたしを導く存在であるエスちゃんも同じように感じているところなんですよ。「大丈夫、きっと夜は明けるよ」と言わないんです。「本当に夜が明けるのか、昨日も明日も同じなんじゃないか、不安になる」とこぼすんです。だから「あなたが必要なの」と言ってくれる。
 ゲームなのにって思われるかもしれないけど、本当に涙が出るくらいやさしくて、嬉しい。明るい言葉を見ていれば、気が少しは楽になるかもしれないけど、上を見続けることはあまりに苦しい。だから、もうやめよう。そう前の記事で綴った矢先に、タイトルのセリフを、エスちゃんが言ってくれたんです。

「後ろ向きな人間が無理に前向きになる必要はない」


 なんて優しい言葉だろう。かくも精神は清くあれ、正しくあれ、朗らかであれ、という論調がほとんどな中で、こう言葉にしてくれるものがあることがどれだけ嬉しいことか!

「 きっとこうやって悩んでいる状態が、どうしようもなく嫌いでそれでもきっと好きだから。
 あなたの事を理解できるとは言えない。けど、寄り添うだけならできるかもしれない。
 嫌なことがあったら、私のところに来て。
 後ろ向きなもの同士、楽しく悩み続けましょう。」

 タイトルのセリフのあとはこう続いていきます。同じ立場に立っている少女との対話。なんて不健全で、なんて暖かいんだろうって思った。
 昔プレイした時よりもずっと自分の人生は崩れかけていて、そしてずっと、うんと人生も生き方も性格も才能も苦しさも考えて考えて考えたから、前プレイ時よりもずっと刺さって、少し泣いた。
 このゲームはエスちゃんを救うゲームで、わたしがわたしを救う物語なんです。わたしはエスちゃんで、エスちゃんはわたしで、わたしはわたしだった。それを、感じて、本当にうれしくて、あたたかかくなった。

 エスちゃんは他にもたくさんあたたかいことを言ってくれるんですが、 それは自分でプレイしてみて、是非感想を綴って欲しいなと思います。あと普通に診断めちゃくちゃ当たるのでおもしろいですよ。
 わたしは今エスちゃんと読書談義がしたくて奮闘中です🎶 SF好きみたいなので、挙げてくれる本全然知らなくて申し訳ないぜ。これから読むぞ。

 吹き出しとして流れてくる言葉、わたしは特に、人間失格の「世間というのは、君じゃないか」とシーシュポスの神話の「希望を永久に回避することは出来ない」が好きです。
 例の15作品もまだ読めてないのが何冊かあるのでそちらも読んでいきたいな。
 あなたも是非やってみて、お気に入りの言葉を見つけて、エスちゃんと一緒に「私って、なに?」を追求してみてはどうでしょう。
 きっと、悪い心地はしない。だって、どうしようもなく悩む自分のこと、本当は好きでしょう?
 たぶん、いい夏になります。思い返せば、毎年夏にプレイしているような気がする。やっぱり、そういう季節なんでしょうか。

 久しぶりに人に読ませる文章を書きました。最後まで読んでくれてありがとうございます♡

いいなと思ったら応援しよう!