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永遠と終末と再生と


俺。名前は宇宙人(そらと)
年齢はわからない。
性別は多分男であるだろうと推測している。なので俺という一人称を使って語っている。誰に対してなのかって言われても特定はできない。というよりわからない。
今はっきり認識できていることは、神殿の敷地内にいるっていうこと。それと多分この世ではなくて、夢の世界か向こう側かまたは別の次元にいるのだということだ。
どこもかしこも白く光り輝いていて、音もなく寒くもなく暑くもない。

見たことも訪れたこともない美しい景色、にも関わらずどこか懐かしい気配がする。
上の方にある雲の階段へと、まっすぐに伸びている人々の長蛇の列に自分が並んでいる、という事以外には何も不安はない。
どこまでも安らかで最高に気分がいい。
しかし気がつくと、どこから湧いてきたのかはわからないが、後ろには途方もない数人が並んでいて終わりが見えなかった。
目を凝らすと遠くには別の列もあり、動物や植物が並んでいるようだ。
並ぶ以外にすることがないので、皆一様に暇そうにしていたりボーっとしていたり、座り込んでいたり。
たまに列が進むたびに座る者はゆっくりと腰を上げ、茫然と白昼夢を彷徨っているかのように無表情な人はハッと我に返り、少しずつ前に移動する。
周りを眺めていると、大きなゲートが見えて来て俺の順番が近づいている事を知った。
門番に促され中に入ると、それはそれは美しい彫刻や噴水が配置されている。

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