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五輪で視たコーチ力の存在③沖縄編

今回は、「和」の叡智を

ひとりの「Human being」(命)として

ひとりの「Human doing」(静・動)を綴ります


空手世界選手権4連覇中の沖縄県出身者で、     「初」のオリンピック金メダリスト喜友名諒選手


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47都道府県の中で、沖縄県だけ金メダリストがいなかったとは知りませんでした。

でも、初の金メダリストの種目が沖縄発祥の空手の「形」の種目で、2位以下に圧倒的な差を付けての優勝とはなんだか象徴的でした。

過去、空手はオリンピックの正式種目として採用されていません。次のパリでも正式種目からはずれました。

31才の喜友名選手にとっては本当に、
最初で最後のオリンピックで、円熟した演武が出来たベストなタイミングのオリンピックだったと思います。

決勝の試合後は、演武場で正座し「一礼」をする姿は沖縄空手独特の姿勢だと思いましたね。


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お母さんが2年前に亡くなっていたんですね、この姿見せてあげたかっただろうに(表彰式では遺影を手に🥇を受けて取っていました)


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喜友名選手も試合後のインタビューで言ってましたが、沖縄のアスリート達がこの金メダル🥇をきっかけに、県記録や県トップはステップとしてとらえて、全日本そして世界選手権やオリンピックを目指すことを期待しています、と。

彼の指導者「佐久本嗣男師範」は、(沖縄劉衛流空手の継承者で世界大会で7連覇しギネスに登録されている方で、私の高校2年の時の担任の先生でした)


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師曰く、 沖縄空手は「和の空手」


私も各国の選手の演武を観て思ったのは「和の空手」とは、技術的には素人なのでよくわかりませんが、何より一挙手一投足と形の演武全体の「美しさ」が際立っていたとだと感じました。

沖縄空手は「一子相伝」の流派がほとんどで、師から後継者にのみ全ての技の奥義(その動きの持っている意味)が口伝で継承されるそうです。

後継者はその奥義を極めるために、365日稽古を欠か差ないそうですが、この「美しさ」の原点は奥義を極めた師から受け継がれた「精神的な美しさ」だと感じました。

それは、佐久本先生の姿に現れていましたね。

佐久本先生は喜友名選手が演武を終えて演武場から降りてきた時、喜友名選手にまず「一礼」をしていたのを見逃しませんでした。喜友名選手もその一礼に対して、「礼」をしていました。そのシーンはこちらから



武道は「礼にはじまり、礼に終わる」とよく言われますが、師が教え子に「一礼」する姿は初めて観ましたね。普通なら逆だと思います。

沖縄の「首里城の正門」にはこう書かれています。

「守礼之邦」


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沖縄空手は、琉球王国時代に中国から伝わってきたそうですが、「礼節を守る邦」の精神性がここにも脈々と伝わっているのだとハッキリ感じましたね。

柔道やレスリングでは決勝で勝った後、選手が師に抱きついたり、握手したりするシーンがありますが、これも師に感謝する心の表れだと思いますが、

「守礼之邦」の沖縄空手の礼節は独特でしたね。

歴史を積み重ねたスポーツではない「武道本来の精神性」を垣間見た気がしました。

佐久本先生は、沖縄芸術大学の学長をも務めれていた、生粋の沖縄伝統文化の代表者でもありました。

喜友名選手と師、佐久本先生の「言動」に沖縄に残る「和」の精神性の美しさに感動したのは私だけでは無いと思います。

佐久本先生も80才近くになるのにカクシャクとしてたのが印象的で、高校時代悪さしたら、喜友名並みの前蹴りを生徒のケツに叩き込んでたんですよ。。。まさに一撃必殺。40年以上経っても忘れないいい思い出です!

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       現役時代の佐久本先生

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