『ニューヨーク・ニューヨーク』を読んでいてよかった。
羅川真里茂さんの漫画が好きで『赤ちゃんと僕』を小学校から中学生の時に読んでいた。漫画が大好きだから、出される著書をほとんど読んだ。高校生の時に「あ、新刊だ」と思って『ニューヨーク・ニューヨーク』を読んだ。
『ニューヨーク・ニューヨーク』はニューヨークを舞台にしたケインとメルのラブストーリーだ。ケインは警官で少しマッチョイズムなところがあって、メルは金髪で青い目で主にウエイターをして生活をしている。二人とも男性だ。
大学への進学や転居が続いてどのタイミングで手放してしまったのか忘れたのだけれど、2010年に電子書籍版(全2巻)を買った。改めて読むと「そうだ!こういう話だった!!」っていう驚きだった。
夢中で読んだ。ケインが教師の父ジョージとステレオタイプな母エイダにメルを紹介するところや、職場でゲイを隠しているところ、同じくゲイのユダヤ人の同僚ゴーシュにさりげなくマウントするようなところなど、環境は違うところはあったけれど共感するところしかなかったから。どこの家庭や学校で大なり小なり繰り広げられていることだったんじゃないかなって思う。
印象的なのはケインの両親に会いに行った時にエイダが「両親はどうしているの?」と何の事情もしらずに正論をぶつける場面だ。これは正論of正論なんだけれどエイダの「うちのかわいい息子がゲイになったのはあなたのせい」と言わんばかりの描写には胸が痛い。(これ以上は読んでほしいので貼りません・・・・!!)
その後メルは自分がハスラー(男娼・立ちんぼ)をしていたことをケインに知られて、なんでハスラーをしていたのか打ち明ける。理由は「お腹が空いていたから」。今の日本の貧困、売春問題と合わせてつい考えてしまう。少なくとも私の周りでは「エッチが好きだから」なんて理由で売春をしている人はいなかった。言わされているんだ。そうしないと客がつかないから。メルは愛人になってそこから抜けれたけれどもそれからも何度も傷つくことになる。正直読むのが辛い場面もある。自分自身も無意識のうちに差別をしていたことと向き合わされるからだ。
この漫画のすごいところは、最後にケインとメルが養子縁組をして子供を持つというところまで描かれているところだ。高校生の時にこの漫画に出会っていてよかったと思う一冊で。まだまだ勉強不足の自分がLGBTに興味を持つ一冊になった。できるだけ多くの人に手に取ってほしいと思う。
ニューヨーク・ニューヨーク (1) (白泉社文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4592884280/ref=cm_sw_r_cp_api_i_lmBYEbGVNM3M7
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