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第2刻目:KANMAKI 取締役 C.O.O 久保 昇平 #これからの1000年を紡ぐ企業の一刻を

今回お話しを伺ったのは、取締役 C.O.O  |久保 昇平《くぼ しょうへい》」。

1980年に京都・大原で誕生。
京都産業大学在学中の1998年から舞台演劇の脚本・演出家として活動。
その後、2006年に(公財)京都高度技術研究所(ASTEM)の創業支援を受け起業したのち、京都府デザインインキュベーション事業「KYOTO STYLE」に参画。
2012年に関西巻取箔工業株式会社(KANMAKI Co.,Ltd.)に入社し、現職。2018年に経済産業省の起業家育成プログラム「始動 Next Innovator 2018」に参加、シリコンバレー研修派遣メンバー選出、ピッチコンテスト最優秀賞を受賞。
2021年には一般社団法人ベンチャー型事業承継の次世代“アトツギ”経営者向けのメンターに就任。

世の中とフラットに繋がる

KANMAKIに入社して10年。
はじめに、入社してからの10年間を振り返っていただきました。

「自分自身の根っこの部分は、基本的には変わらないですね。
ただ、会社や仕事を取り巻く環境は大きく変わりましたね。

仕事に対しては、極力フラットでいることを心掛けています。
ありがたいことに案件を次々にいただくので、何と言うんでしょうか…。
例えば外科医の方が患者さんひとりひとりに感情移入し過ぎないように…みたいなのと同じような意識ですかね。
案件の大きい小さいに関係なく、取り組む姿勢を変えずフラットに対応するというのを、常々心掛けて仕事をしています。」

良品とは何か?

些細なミスがお客様にとっては大きな迷惑に繋がるため、この10年間で「完成」したと言える仕事はないと語ります。
そんな中「お客様にとって良い製品とは何か?」という考え方について、改めて気づかされる出来事が起こります。

「色の中なら白がキングオブカラーだと考え、白い箔ならKANMAKIがいちばん良いよねって言われるために商品開発を何百回としました。
白い箔を認めて貰うのならば、白にいちばんこだわりのあるブランドさんに認めて欲しいと思い、自分の中で決めていたのは、とあるブランドさんの仕事を取ることでした。
このブランドさんはコーポレートカラーをホワイトではなく、ピュアホワイトに定めていたので、その仕事を受注したいと何百回も試作を重ねたんですけど、大失敗した箔があって…。
ピュアホワイトを作るつもりでしたが、完成したのは白くない白でした。
白くない白というのは、光を透過して透けて見える白だったんです。

ちょうどそのタイミングで、とある自動車メーカーさんからスピードメーターの針で新色を作りたいと相談があり、「白くない白ってないの?」と聞かれたんです。
「あの光を透過する白の箔があったね!」とサンプルを提出したところ、例の白くない白の箔が採用されることとなり、リニューアルをしたその車種は翌年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得しました。

ポイントとして良品とは何かという考えの中で、工業製品を扱う人間からすると、良品というのは再現性があるもの、何回作っても同じ品質のもの、常に安定したクオリティを出せるものなんです。
それを前提に常々開発や製造をしているので、たとえ失敗作であっても、アプローチさえ正しければ、お客様にとっては良品に変わったりベストな品質と成り得ることを学びました。
現に自動車の指針として何百万台もの車にその箔は搭載されていますが、クレームは一回も無いですね。」

「後継:アトツギ」よりも、「後繋ぎ:アトツナギ」

最後にこの先目標としていること、未来の展望や夢について伺いました。

「僕は最近よくアトツギベンチャーのカテゴリーに分類されるんですけど、自分自身では跡継ぎという認識はあまりないんです。
個人的には“最終的”に家業に入ったと言われるのは嫌いで。
僕自身、今させていただいている経験を活かして、規模やジャンルの異なる組織や分野で挑戦したい気持ちがあるし、自分にバトンが渡った瞬間から、次世代へどう“繋ぐ”かが重要な仕事になりますしね。
なので、「後継:アトツギ」よりも、「後繋ぎ:アトツナギ」という意識です。
自分の子や孫、その先の時代を生きる人たちから、あの時頑張ってきてくれたから今がありますと、思ってもらえるような仕事をしたいですね。
お前らがめちゃくちゃなことをしていたから、今こんなに大変なんやけど…みたいなことを言われるような仕事は決してしたくないですね。

今41歳なんですけど、仕事をする上での組織とかチームメイキングとか、働き方や仕組みは時代と共に大きく変わっていると思うので、これからの時代に評価されるようなチームを作りたいと考えています。
KANMAKIで作った実績を基に、その経験を活かして、最終的には他の組織・業態・規模・ジャンルを超えて面白いねって言われるモノを作ることが夢であり目標です。」

オマケ:一日だけ機械になってみたい!

「自分以外で会社の中で一日代われるとしたら誰になりたいか?」について聞いてみました。

「“機械”になってみたいですね!
何を言いたいのか?なぜトラブルを起こすのか!?
機械になればその理由や気持ちがわかりますよね。

古くから作っている製品でも、どうしても機械の調子や色々な要因で安定しないことがあります。
その原因が分かれば、修理することでもっと効率が上がったり、良い商品が作れるので…。
なれるものなら、一日機械になってみたいですね!」

斜め上の回答でしたが、久保C.O.Oらしい発想に納得です。
次回の更新もお楽しみに。

KANMAKIの安全で環境負荷の少ない「顔料箔」で、サステナブルな塗装を実現するために、「ICC KYOTO 2021 REALTECH CATAPULT」にて登壇した様子が記事化されました!

動画もぜひ併せてご覧いただけますと幸いです。

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