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シネマテークに愛をこめて

前回の記事(映画、ときどきミニシアター)で、名古屋の今池にあるシネマテークが7月28日に閉館することをお伝えしました。

そして、是非とも読んでいただきたい記事がこちらです。

大阪在住のbitotabiさんが昨年8月に投稿された記事で、それはもう、唸ってしまうほどキメ細やかで痒い(というより、こそばゆい)ところまで手が届く内容となっています。

感動のあまり、物を頼むことが苦手な私が、初面識となるbitotabiさんに、
「次回の私の記事内で、bitotabiさんのこの記事を紹介してもよろしいでしょうか」とコメントで依頼するという快挙。

何かに突き動かされたとでも言いましょうか。
自分で快挙と言ってしまうほど勢いのある行動でした。

そんな突然の依頼を快諾していただいたからには……といつも以上に力が入りますが、深呼吸、深呼吸。――落ち着いて、落ち着いて。

***

まずは残念な報告から一つ。
bitotabiさんが熱く語ってくださった名古屋のミニシアターですが、そのうちの名演小劇場が今年3月23日から休館しているとの情報提供です。

ただし、名演小劇場の場合は「閉館」ではなく「休館」であり、イベントや臨時上映などの催しがなされる機会が残っています。
(現に6月10日現在、名演小劇場のホームページトップには本日および明日の上映会スケジュールが掲載されています)。

三階と一階にスクリーンがあり、それぞれの階に受付がありました。
チケットを購入し、自由席のスタイル。
今では珍しいですね!
スクリーンはかなりレトロでした。
落ち着きます。
その他休憩所なども、レトロで落ち着く空間です。近所にあったら毎日通ってしまいそう。

bitotabiさん「名古屋ミニシアター巡り」名演小劇場より

上記bitotabiさんの記事からの引用部分は、私が思う名演小劇場の雰囲気そっくりそのままです!
どうぞbitotabiさん記事内の休憩所の写真と併せてご覧ください。
『名演小劇場の項目で縦に四つ並んだ写真の一枚目。
薄い桃色の壁に一際ひときわ映える水色のソファに一人腰かけて、上映時間の到来を待ったことを思い出しました。
ミニシアターへ行く時は決まって一人。一人で行くのが楽しかったです。
水色のソファが目を引く休憩所は三階で、水色のソファの位置からは窓の外が眺められるようになっていました。

***

ここから本題のシネマテークです。

今池にある名古屋シネマテークです。
今池西2番街の中にあります。
ビルの入り口を入ると、素敵なあしふきマット!!
そして踊り場に上映作品が。

大暴走野蛮地獄特集が、たまりません笑
最高に好みのラインナップです。

bitotabiさん「名古屋ミニシアター巡り」名古屋シネマテークより

こちらも記事内の写真とともにご覧いただくと、私の胸の高鳴りがより一層伝わります。
そうです!ビルの入り口を入ったところにある素敵なマット!
鮮やかな青色生地に<名古屋シネマテーク>の赤い文字。
このマットの写真をアップしてくださるなんて「ありがたい」の一言です。
踊り場に上映作品が貼ってあるのも、シネマテークらしさがでています。
――今池の街の風景が夕暮れ時なのもいい。

私が初めて今池のシネマテークで映画を観た日もこんな夕暮れ時でした。

上映時間前だったか後だったかは忘れましたが、2005年のある日、それはたしかに夕暮れ時で、元旦那とここへ映画を観に来たのです。

映画のタイトルは『ウィスキー』
2004年カンヌ国際映画祭で公開されたウルグアイ映画です。

名古屋のミニシアターに一人ではなく二人で行ったのは、この時と、同じ年に御園座裏にミリオン座がオープンした際、『ローマの休日』が特別上映された時の2回だけで、御園座裏にあった初代伏見ミリオン座は2019年に移転して現在の伏見ミリオン座となっています。

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あらためてシネマテーク愛に戻ります。
この方が伝わる気がして、まさかの手紙形式です。

名古屋シネマテークさん
ご無沙汰しております。
初めてシネマテークさんに出会ってから18年も経ってしまいましたが、私は今、北陸の金沢で暮らしていますよ。
ところで突然ですが、『ウィスキー』というウルグアイの映画を覚えていますか?
ウルグアイの映画だなんて珍しいから覚えていてくれると嬉しいです。
映画のカテゴリーはコメディーとなっていましたが、主な出演者が三人だけの、淡々と地味な映画でした。
でも、映画の終盤、頼まれて妻のフリをしていたマルタが、夜分、タクシーに乗って元の生活に戻っていくシーンで、私は感情移入どころか、すっかりマルタの目線になっていました。
それはまるで、自分がタクシーの後部座席に座って窓の外を眺めているような感覚で、そんな感覚に陥ったのは、今のところこれが最初で最後です。
その後、この映画のDVDも購入したのですが、スクリーンで観たときみたいに画面が車窓の景色に見えることはありませんでした。
が、見逃してしまいそうなほどに隠された人生の機微がじわじわと心に沁みて、この作品を映画館で観られたことを光栄に思います。

このたび、あなた様が閉館してしまうとの知らせを受けて、お礼を言いたかっただけなのに、ずいぶん回りくどい手紙になってしまいましたが、閉館までには会いに行きますので、どうぞ待っていてくださいね。

***

最後に番外編です。

『ウィスキー』のミニサイズチラシとDVD
観た映画の半券やチラシを保存しているファイル

私が所有している映画のDVDは『ウィスキー』を含めて全部でたったの5枚ですが、5枚とも持っているだけで満足な「思い出の品」みたいになっていると、今更ながらに気がつき――。
今夜あたり、自分のパソコンでひっそりと、思い出の『ウィスキー』を満喫しようと思います。

以上、シネマテークに愛をこめて。
カニナより。



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