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積みくずし日記|2024年10月25日(金)
朝起きると、テーブルの上にハンプティダンプティ一家が登場してました。
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小さい頃から母はゆで卵を作ると、必ずと言っていいほど家族の似顔絵や飼い猫の顔を描く習慣がある。
生卵と混ざっちゃうから、というのも理由だとは思うけど、たぶん単純に描きやすいキャンバスなんだろう。
私も時折ゆで卵を作ると真似したくなるけど、絵心がないので「ゆで」と書いて〆てしまう。
東京へ戻るため、10日間広げに広げまくった荷物陣地を着々と回収。
割と世界で一番くらい旅へ行く前のパッキングが嫌いなのですが、帰るために再パッキングするのも苦手だ...なぜか数日で荷物が増えて、どうやって詰めて運んできたのかわからなくなる。
しかも成績表みたいに持ってきたけど読まなかった本とか、分厚いのに履かなかった靴下とか出てきて自分のパッキング苦手具合にも苛立ちが募ってくる。
文句をぶつぶつ言いながら1時間ほどでパッキングを終え、結局入らなかった荷物(骨董市で買ったお皿、おばあちゃんから譲り受けた茶碗など)は母の好意に甘えて後日送ってもらうことになった。送料高いのにいつもすいません。
この10日間、一宿一飯の恩義...ということでほとんど私が料理担当をしていたので、母がお昼ご飯にきしめんを作ってくれた。
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きしめんって、実は上京するまであんまり食べたことがなかった。だけどあちこちで出身地を聞かれるたびに「きしめん好きなんだよね」と言われるので、麺類を自分で選ぶ時の選択肢に少しづつ入り始めた感じがしている。
お昼ご飯を食べたら、祖母宅へ。
無事パーマをかけなおして見慣れたおばあちゃんの姿になっていた。
会いにきたことを不思議そうにしているので、今日で東京に帰るよ、と伝えると驚くほど悲しそうな顔をして、帰るのはもっと先だと思っていた、という。
そんなに悲しむと思っていなくて、ごめんねと言いながら昨日頭痛なんか無視して顔を出せばよかった、と心底後悔した。
そのあとはおばあちゃんが自分の妹に会いに行った話や、近々行われる選挙の話、今年の柿の木の剪定人が代替わりしてしまって納得がいかないことなどを聞いた。
大体同じトピックを3周するけど、その度に毎回細かい表現が変わったり、新しい話が加わったりするのでどの瞬間も聞き逃せない。
最後はハグをしてお別れをした。
父も仕事を少し抜けてきてくれて、3人で話したりお茶をして、穏やかな楽しい時間を過ごせた。
危ないから見送らなくてもいいよ、と言ったけど、結局祖母は私が信号を曲がり切って見えなくなるまで手を振っていた。
家に戻ると母が私を送っていく準備をして待っていてくれた。
ずっと反抗期みたいで、母に対してまともに恩返しもせず、いまだに好き勝手をやっている娘に対して、どうしてこんなに慈しみをもって接してくれるのか不思議でならない。
いつかきちんと、恩返しできるようになりたいな、帰省するたびに思うことではあるけど、改めて思った。
最寄りの駅で母とお別れ。
なんとなく離れがたくて、またね〜と言いながらハグをして見送ってもらった。
なんかもうちょっと泣きそうだったので、足早に改札の方へ向かう。
母は手を振りながら午後の仕事へ向かっていった。
上京して2年ちょっと、初めて心の底から帰省を楽しんだ気がする。
もっとこう過ごせばよかった、とか、また本を読めなかったな、とか色々あるけど、結局は楽しかったしよしとしよう。
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ではまた。
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