今月読んだ本の感想(6月編)
一年も半分がすぎた。
もうそんなに経つか……と少し絶望的な気持ちになったりもする。
これからどんどん暑くなるし、夏はいつも気持ちが沈むので個人的には辛い時期。
みんななんとか生き延びていこうね〜。
では、今月読んだ本の感想です。
トラウマの心理学/小西聖子
トラウマとか心理とかのことを詳しく知りたいなと思い、最近いろんな本を読み始めた。
とっかかりはまずこの本。理由は薄くて読みやすそうだったから笑。
内容としては、トラウマについて広く浅く知れますよという感じ。トラウマの定義に始まり、加害者への治療にまで話が及ぶものの、ひとつひとつの内容はさらっとさらう程度で、あまり深掘りはしていない。
「トラウマ」や「犯罪被害者」などのワードに興味がある人にとっては、入門編のように気軽に読めると思う。
ただ、結構前の本(2000年出版)だから、今とは違っている情報もあるのかもしれない。
犯罪被害者遺族/小西聖子
この本の優れているところは、実際の犯罪被害者遺族の方の生の声が聞けるというところだ。
著者の小西聖子さんは、犯罪被害者遺族を支援している有名な精神科医の方らしい。
そんな長年の活動の中で出会った、様々な犯罪被害者遺族の方へのインタビュー。そのあまりにも苦しい心情と、残酷な現実が胸を打つ。
トラウマの知識や、自分が犯罪被害者遺族になった場合の対処法など、役立つ知識も盛りだくさんな一冊だ。
犯罪被害者遺族を取り巻く環境はかなり厳しく、問題が山積みだ。これを読んで、人々が少しでもその問題に関心を向けていくことができたら、世の中がちょっとだけ良くなるかもしれない。
かわいそうだね?/綿矢りさ
百貨店のアパレル販売員・樹里恵は、アメリカ帰りの彼氏・隆大と交際を続けていた。
ある日隆大が「元カノを自宅に居候させる」と言い出す。しかも、元カノ・アキヨは隆大にまだ好意を寄せているようで……?
果たして2人の交際はうまくいくのか!?
というストーリーの本書。
もうあらすじを読んだ時点で「こんな男とは別れろ」と言いたくなる。
厄介な元カノと、優柔不断な彼氏に挟まれた経験というものは、わりとあるあるだと思うので、読んでいるうちにその時のもやもやが思い出されること必至だ。しかし、そのもやもやを吹き飛ばしてくれる爽やかで少しじくりと痛む読後感が、そこにはある。
同時収録の「亜美ちゃんは美人」も良い。
他人にはなかなか理解されない、美人ならではの苦労や理不尽。そして、美人を妬み嫉み、でも愛さずにいられないある女。
薄氷のような、だけど確かな女たちの友情がそこにはある。
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母という呪縛 娘という牢獄/齋藤彩
「モンスターを倒した。これで一安心だ。」
母から医学部受験を強要され、浪人すること9年。娘はなぜ母を殺したのか。そこには地獄が存在した。
「娘」と30通以上の文をやりとりした著者が描く、衝撃のルポ。
全て実話なので、読んでいるとガツンとくらう。でもやっぱり目が離せないし、問題から目を背けてはいけないと思う。
医学部には行けなかったものの、別の幸せを見つける娘。そしてそれを許さない母。
壮絶な虐待を受ける娘は、ちゃんと周りにSOSを出していた。なのにそれを拾えなかった大人たち。
母から娘への虐待が酷すぎて、ここまで被害者に同情できないのは初めてだった。
ある時点での被害者が、ずっと被害者だったとはかぎらない。
加害者の娘さんには懲役10年という重い判決が下っているが、彼女が刑務所から出た後は、彼女が自分自身の人生を生きられるように願わずにはいられない。
おわり
今月読んだ本は4冊。
正直ダントツで、『母という呪縛 娘という牢獄』が心にがっつり傷を残してきた。それくらい衝撃的な本だった。絶対みんな読んだ方がいいよ。
やっぱり実際に起こった事件が、1番私の心に影を残していく。作られたストーリーよりもずっと。
来月もガツンと衝撃的な本に出会えるといいな。
ここまで読んでくれてありがとう。