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#62 中心発問と補助発問(3年生 算数 「円」の導入より)

今回、「中心発問」と「補助発問」の話をするのですが、人や書籍によって定義が違うので、まず私の考えを紹介したいと思います。

中心発問
→その授業の中でずっと考え続けること(その授業のテーマ)

補助発問
→中心発問の答えに向かうために、必要に応じて入れていく発問

と考えています。
ここで私が大切だと思うのが
中心発問の方が強くて、補助発問は弱い
という意味では決してないということです。

補助発問の方が強力で、思考を深くしていく場合
も多いです。

では、これはどういうことなのか説明したいと思います。



最近やった3年生の算数で「円の学習」の第1時間目の授業を例に考えてみたいと思います。

まず、中心発問(授業のテーマ)を考えてみます。

とりあえず4つ中心発問の候補を考えてみました。

○いろいろな形についてかんがえよう
○円について知ろう
○丸いもののよさってなんだろう?
○もしコインが四角形なら何がこまる?

みなさんだったら、この中のどれをこの授業の中心発問にしますか?

私はこのなかで4つめの「もしコインが四角形なら何が困る?」というものが一番おもしろそうだなと思いました。

しかし、
「楽しそう、解きたい!」だから中心発問になるわけではありません

気をつけなければいけないのが、このような限定的な発問は、答えが出た時点で、授業が終了してしまうという恐れがあります。

そのため「もしコインが四角形なら〜」のような限定的な発問は、そのような話題が出てきた時に使う補助発問として頭の中でストックしておきます。

中心発問にするものは、限定的な思考ではなく、一時間子どもが考え続けられるものでなくてはいけません。

そのため中心発問はやや抽象的に聞くとよいと思います。

私はこの授業では、
○いろいろな形についてかんがえよう
という中心発問を子どもに提示しました。

「円について知ろう」
という発問でも良さそうですが、これだと形が円だけに限定されてしまいます。


○いろいろな形についてかんがえよう
という中心発問であれば
これなら今まで学習した正方形や、三角形などの色々な形と円の違いを考えられますし、

身の回りにある円の形のもの
を考えてから→
円の良さ長方形や正方形のものの良さ
と話題を広げていけると考えたためです。

この日は、まず
運動会の玉入れを例に、誰もが平等に玉を入れる線はどんな形になるかを考える。

きれいな丸い線を描いて、その真ん中に玉を入れるカゴを置けばいい

きれいな丸のことを円というのだが、身の回りに円の形になっていれものは何があるかを聞く

グループで話し合い、身の回りの円の形を発表する

時計や洋服のボタン、タイヤなど円になっているとどんな良いことがあるかを、みんなで考える‥

この日、子どもから出た円の良さとして
円はあたってもいたくない
転がせる
どこからも同じ長さで平等
どの向きでも、同じ使い方ができる
などがあがりました。

そこから話題を広げて、ダンボールやロッカーなど身の回りにある四角いものの方が多いことから、四角いものの良さについても考えました。

四角い形は‥
安定している
重ねてられる
隙間なく敷き詰められる
といった意見がでました。

「なるほど、ものの形には色々な意味がありそうだね。これから円の勉強が楽しみだね!」
と話して授業を終えました。


すみません、授業の話が長くなってしまいました‥

では、このように中心発問はいつでも抽象的にすればよいかというと

それも少し違うのです。

大切なのは
クラスの子どもが、もう少しで解けそうな発問にするということだと思います。

私はこの発問の塩梅のことを、同僚の先生と「発問の抽象度」と言っています。

発問の抽象度が、クラスの子どもに合っていると授業は深くなります。


では、発問の抽象度をちょうど良い程度にしていくにはどうすればいいでしょうか。

私が意識していることは
「中心発問に条件を加えていく」ことです。
例えば
学校にはどんな防火設備があるかな?
1から50のカードを使って、○−△=5になるカードの組み合わせを考えてみよう。
第3の場面で大造じいさんの残雪に対する気持ちが分かるところは?

↑というように太字で書いたような条件を加えることで、中心発問が抽象的になりすぎず、子どもに合ったものに調整できます。

このように中心発問は、条件や言い回しを考えて、研究授業の時は10パターンくらい候補を考えてみるようにしています。

それでも、当日の子どもの様子をみて、少し言い方や言葉を微調整することもしばしばあります。

また、補助発問に関しては
授業の要所で入れていくことで、授業を盛り上げる、起爆剤になりますが、どこで入れるかタイミングが大切かなと思います。

このように発問一つで、授業がうまくいった時もあれば、大失敗したこともあるので、何回授業をやっても、発問は奥が深いなと思っています。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

昨日あたりから急に寒くなりましたね。

みなさまもご体調に気をつけてお過ごしください。