見出し画像

いい加減に市場の「端っこ」に居続けること、それが投資

物事を慎重に捉え、万事OKかどうかを確かめながら少しずつ進む・・。それが「恐る恐る」ということばのイメージでしょう。石橋を叩いて渡る。と言い換えてもよいかもしれません。

「恐る恐る」というのは、小心者、心配性な人を指す代名詞ですが、私はこういう人のほうが長期投資に向いていると思います。

投資は勝負事だから度胸がいる。という言い様をする人がいますが、少なくとも市場全体を隈なく保有する「インデックス投資」と呼ばれる投資スタイルでは、別に「度胸」は要りません。


逆にあなたに度胸がありすぎると、市場平均を持ち続ける投資では飽き足らず、別の投資も試してみたくなって、「あの商品」「この商品」とつまみ食い状態になる可能性があります。結果、背中に背負うリスクが上塗りされます。

最初は意気揚々と全力で投資に取り組んでも、(かつ)しばらくの間はそれで上手くいったとしても、いつまでもあなたの思惑通りに投資が運ぶわけではありません(マーケットは突如「風向き」が変わったりします)。


職業柄(ファイナンシャルプランナー)でしょうか、少し臆病で慎重気味の人のほうが、長きに渡って市場(マーケット)に居続け、それなりの利益を上げていると実感します(まさに「恐る恐る」派の人です)。

積極的に投資に取り組む人は、情報収集にも熱心です。 なるだけ多くの「情報」を仕入れて、機敏に動こうとする気持ちは分かるのですが、雑多な情報ばかりを気にしていると、とても落ち着いて一か所には居続けられません。

元来、人間は「動きたくなる生き物」ですが、市場に対して、または金融商品に対して、真面目に反応し、行動すればするほど、投資ではうまく行かなくなる可能性が増すのです。


そうではなく、いったん投資を始めたら「情報」からは距離を置きましょう。恐る恐る投資を始めて、(始めたら)いい加減に市場の「端っこ」に居続ける。これこそ目指すべき姿です。私たちの本能に反して「動かない」を貫く。

―動きたくなる自分を制して、いかに「動かなくする」か。―

ここが長期投資の勘所でしょう。

投資とは(所詮)他力本願です。株式市場で起こるコトに、あなたが真面目に反応しても、それ自体があなたの収益に繋がるとは限りません。


大小さまざまな「変化」が起こっても、がんとして動かない。じーっとしていましょう。長期投資においてほんらい目指すべきは「なまけ者」です。

真面目に反応したり、勉強したり、市場の動きを分析しようとしたりせずに「いい加減」でいましょう。

ただ厄介なのは、本人の予想を超えて突如やってくる市場の急落です。私たちはプラス20万円の「利益」より、マイナス20万円の「損失」のほうを『大ごと』として認識してしまいがちですから。

ですので「マイナス20万円になる!」→ 居ても立っても居られないという心境になってしまうのです。


ただし、上記はいわゆる「含み損」と呼ばれる状況です。実際「マイナス20万円」になったからといって、あなたのお財布から20万円が引き抜かれるわけではありません。あくまで「数字上」の「一時的な損失」なのです。

それが証拠に、上述した「本人の予想を超えて突如やってくる市場の急落」のちょうど真逆の現象、(本人の予想を超えて)「突如やってくる市場の急騰」もまた、あるわけで。

投資においては「損益の数字」は果てしなく変わり続けるものなのです。


そして、これも不思議な現象なのですが、市場の「端っこ」に居続けると、同じように投資信託の価格が下がっても、 1回目よりは2回目のほうが、2回目よりは3回目のほうが、「急落」という変化に気持ちが慣れて(前回よりは)動揺が小さくなります。

これこそ、市場(マーケット)に慣れるチカラです。

長期投資を続けるうえで、もっとも厄介な敵は、株式市場の急変や、地政学上のリスクではなく、あなた自身の感情(メンタル)です。この点、くれぐれもお忘れなく。

いいなと思ったら応援しよう!

カン・チュンド
もしもいただけてしまった場合は、ココナツサブレの購入量が増えます。