見出し画像

お金で悪戦苦闘する4人

本日登場する人物は以下の4人です。

<登場人物>
Aさん
Bさん
Cさん
Dさん

Aさん、Bさんはそれぞれ1万円を持っていました。Aさんは競艇場(ギャンブル)に行き、その1万円を2時間でゼロ円にしてしまいました。いっぽうのBさんは1万円でニワトリと簡易小屋を買い求めました(これからニワトリを育てて、卵を得ていくつもりです)。

次にCさんの具体例です。

Cさんは3年かけて貯めた300万円でインドネシアに語学留学(2年間)し、インドネシア語を習得しました。そして日本に帰国後、旅行会社に転職して収入アップを図りました。

最後にDさんです。

Dさんは相続で1億円の資産を引き継ぎました。しかし34年後にDさんが亡くなった時、その1億円は銀行預金に入ったままでした。


今、4人のお金の用い方を具体的に記しました。

〇競艇に行く(1万円)
〇ニワトリを買う(1万円)
〇語学留学する(300万円)
〇銀行預金する(1億円)

人それぞれです。

私たちはふつう「自分のお金をどう使うか(用いるか)」について制約を受けません。上記4人の行動も自由意思の結果です(Dさんの、相続したお金を預金に入れたままのケースも「そのままにしておく」という意思決定といえます)。


あなたはAさんの決定について、「なんでギャンブルなんかに・・」と思われるかもしれません。しかしAさんは、1万円という元手を3万円にも4万円にも増やしたかったのです(その気持ち自体は分からないではありません。)

賭け事では資金が増える確率は限られています(即座の利益を求めるがゆえに即座にゼロになる可能性を内包します)。結果、Aさんはあっという間に元手をなくし意気消沈しました。

Bさんのケースは後述します。


続いてCさんです。Cさんは外国語を習得するために海外留学しました。言語の習得には多大なエネルギーを要します。また異国で暮らすとなると、異なる文化への適応を迫られます。

それらの壁を乗り越え、Cさんは初心を貫きました。「3年」をかけ300万円を貯め、そこから「2年間」外国語習得のために時間を割いたわけです。5年という長い年月を、経済上の確約はないにも関わらず、Cさんは自分の成長のために費やしたのです。

自分という資産と、300万円というお金を、まだ見ぬ未来にベット(bet)したCさん。これは立派な「投資」です(具体的なお金の用い方のひとつです)。

式にすると次のようになります。

Cさんの投資 =「時間」(5年)×「お金」(300万円)×「自身の熱量」


ただし、オモテには現れにくい話もあります。ここだけの話ですが、Cさんにはショップチャンネルを観ると、ついつい要らないモノまで買ってしまう「散財癖」がありました。

語学留学の実現のために、実はこちらのほうこそ(本当に歯を食いしばって)悪習を断ち切ろうと頑張られたのです。

瞬間の閃きで、お財布を開けてしまう自身を封印し、将来の自分に根気よくお財布を預けることにしたCさん。お金の用い方は多様に存在することに気付いたCさんの柔軟さこそ、わたしは慧眼だと思います。


次いでBさんです。(Bさんを覚えていますか?)
Bさんは1万円でニワトリと簡易小屋を買い求めました。どうしてそんなことをしたのでしょうか。

Bさんは雌鶏を飼えば、定期的に卵を産んでくれることを知っていました。ニワトリが卵を産んでくれれば、まず食料になります(自分が美味しくいただけます)。また、近隣の人に売ることも可能でしょう。

Bさんは1万円というお金で「今すぐ利得を!」とは思わなかったわけです。

お金の用語でいうと、Bさんはストック(1万円)をフロー(卵)に変換させたのです。換言すれば、「時間」の経過とともにゆっくり1万円(元手)を回収できればよし。と割り切ったともいえます。これも立派な「投資」でしょう。


さて、話の主人公は度々変わります。競艇場に行ったAさんを覚えていますか?実はAさんにも後日談があります。

Aさんは職場の先輩からギャンブルに誘われたのがきっかけで、その後賭け事がずるずると習慣になってしまいました。生活は自堕落で、お金の管理もずっと苦手でした。

そんなAさんでしたが、あるとき工場勤務中に事故に遭ってしまいます。幸い、足の指の僅かな損傷で済んだのですが、労災認定が下り、賠償金として1000万円を超えるお金がAさんに支払われることに・・。


大衆小説ふうに展開を書けば、「Aさんはせっかくの大金をギャンブル、遊興費に使い果たし・・・」となるのでしょうが、現実は違っていました。

Aさんはそのお金を、何年も会っていない甥っ子のサッカー留学(スペイン)支援に使うことにしたのです。Aさんとお金のふしぎな出会い直しです。

ずっとギャンブル好きで、生活の細々したお金は賭け事に使ってしまっていたAさん。ところが、非日常(1000万円超)のお金を偶然手にしたことで、―自分にとって何がいちばん大事なのか?―という倫理が覚醒し、意外なお金の用い方の発見につながりました。

時にお金は、本人(保持者)が思いもよらない、別の価値観(another value)を立ち上げる手助けをしたりもするのです。

追記)
Dさんのお話はまた別立てでしたいと思っています。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?