ドゥームスクローリングは性機能低下の原因にもなる
「ドゥームスクローリング(Doom-Scrolling)」という言葉をご存じでしょうか?
ドゥームスクローリングとは不安や劣等感によってSNSのネガティブな情報を際限なく見続けてしまうことです。
「Doom」は「破滅」や「死」を意味する言葉です。
悩んだり落ち込んだりしたとき、それに関連する情報を求めてスマホをスクロールし続けてしまうことがありますが、これなどはまさにドゥームスクローリングです。
気持ちが落ちると分かっていても見続けてしまうのです。それによって余計に落ち込んだり孤独感を強めてしまいます。
実はこのドゥームスクローリングが性機能にも悪影響を与えることが分かっています。
ネガティブな情報ばかりと分かっていても見続けてしまう
レスの問題を含め夫婦関係で悩んだときSNSを開くこともあるでしょう。
同じような悩みを持っているのが自分だけではないと分かり一時的に安心することもありますし、何も解決せずにどんどん深みにハマッてしまうこともあります。
どうして良いか分からない事態に直面したとき、手元のスマホに手を伸ばすというのは現代人にとっては自然な行動となっています。
スマホが目の前にあるのに触れずにじっとしていることのほうが難しいとさえいえます。
しかも悪い情報や負の感情が乗った投稿ばかりと分かっていても閲覧を続けてしまうのです。レスが離婚につながったというエピソードばかり探してしまうこともあるでしょう。
こういったドゥームスクローリングはあなたの「性」に悪影響を及ぼす可能性があります。
SNSの問題的な使用と性機能の関係
SNSに限らずスマホを中毒的に使用している人ほど性機能が低いことが分かっています。
リスボン大学のヴァネッサ・フゼイロらがスマホと性機能の関係について約1,500人のデータを分析しました。
専用の質問票によって取得されたスマホやSNSの問題的な使用法と性機能について比較したのです。
その結果、SNSを含めスマホの問題的な使用頻度が高い人ほど性機能のトラブルや性的苦痛を抱えている傾向が高いことが分かったのです。
女性の場合は主観的な興奮、性器の潤滑、オーガズムに関する機能が低く、性交痛も感じやすいことが判明しています。
男性の場合も勃起力の低下をはじめとした性機能全般への悪影響が出ています。
SNSのストレスが性機能を低下させる?
なぜこのような悪影響が出ているのか明確な理由は明らかになっていません。
可能性としてはネガティブな感情から生じるストレスの影響があります。
SNSは一見するとつながりが増えたような感覚を得ることができます。
しかし、リアルなコミュニケーションと比べると何かが欠けているような気分に陥ることがあります。
また、他人の幸せそうな写真や動画が目に入ると、悩んでいる自分と比べてしまい、孤独感や疎外感を持ってしまうことがあります。
これらがストレスとなり、性機能にも悪い影響が出てしまうということです。
また、会話中でもスマホに夢中になってしまい、目の前の相手を無視してしまうことを「ファビング」と言いますが、これが相手に対して非常にネガティブな感情を生じさせることも分かっています。
あなたがファビングをすることで、パートナーの気持ちが離れ、それによりあなたは愛情を感じられずに、さらにスマホに夢中になるという悪循環が起こる可能性もあります。
愛情を感じられないと性機能も高まりにくいのです。
スマホが脳に悪いのは一般常識
SNSは人工知能を搭載したアルゴリズムによって閲覧者の興味に沿った投稿が延々と表示され続けます。
レスに関連した情報を見ると次々に関連する投稿が出てきます。(しかもその内容が合っているかは不明です。間違いのほうが多いくらいです)
気が付いたら何時間も経過していたということもあります。そして何も解決していないということも。
スマホが脳に悪いのはもはや一般常識です。触れていなくともテーブルの上にあるのが見えるだけで集中力を削ぐことも分かっています。
パートナーとの関係だけではなく、仕事や勉強に悪影響を及ぼさないためにも、使いすぎないようにしましょう。
設定した時間まで開けることのできないタイムロッキングコンテナなどを利用するのも一つの手です。
参考文献:Fuzeiro V, Martins C, Gonçalves C, Santos AR, Costa RM. Sexual Function and Problematic Use of Smartphones and Social Networking Sites. J Sex Med. 2022 Aug;19(8):1303-1308.
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