文化の日に「おっさん文化」について考える~関西ローカルラジオより
久しぶりにラジオをつけると、男女の楽しそうな会話が流れていた。何かほっとする。朝のABCラジオ、「おはようパーソナリティ」だ。
長年続いた道上洋三の「おはようパーソナリティ」が小縣裕介に代わった。道上洋三の頃は、よく聞いていた。
11月3日の文化の日に、たまたま聞くと、小縣裕介は休みで、上田剛彦アナウンサーになっていた。アシスタントのいがらしあみと、ゲストの谷口真由美の三人の会話が心地よかった。文化の日の今日は、【谷口真由美・おっさん文化を語る】と題しての放送。ピンチヒッターの上田剛彦アナウンサーは、「徹子の部屋コンサート」の司会を10年しているアナウンサーだそうだ。知らなかった。
大阪のABCラジオには有名なアナウンサーが多かった。宮根誠司をはじめ、山本モナ、赤江珠緒もアナウンサーとしてデビューし、ニュース原稿を読んだりしていた。あの頃はラジオをよく聞いていた。
ラジコでは1週間聞くことができるが、「おっさん文化」についてゲストの谷口真由美と語り合った内容を少し書いてみる。
おっさん文化とは何か。「最近女性も増えました」というのはおっさん文化。「最近男性も増えました」の脱毛や化粧は女性文化、おばさん文化。そういう話をして、おっさん文化で、残したいもの、なくしたいものをラジオを聞いているリスナーから募集した。
ギューギューの立ち飲み屋で、肩を寄せて譲り合って入れてくれるのがおっさん文化。
その投稿をもとに会話がはずむ。「ウエルカム」の行動は「おっさん」ではなく「おっちゃん」の文化だとなった。一文字違うだけでニュアンスが変わる日本語。
喫茶店で「冷コーちょうだい」と言うと店員が怪訝な顔をする。「かなんなあ、アイスコーヒーのことを冷コー言うんや。覚えとき」と言うおっちゃん。
こんな会話ができるのは昔ながらの喫茶店で、紙コップのコーヒー屋ではできないと、喫茶店談義が始まる。
仕事は終わっているのにつきあいで残業する。運命共同体的おっさん文化。
嫌だなあ。会社では、「上司になったら、まず先に帰れ」と言われた。運命共同体ではだめ。連帯責任についても話がはずむ。コロナ禍で「先に帰って」が増えたので、ちょっとはましになったが、まだつきあい残業のある会社に勤めている人もいる。
そんな話をしていると緊急ニュース。北朝鮮からミサイルが飛んできたというJアラート。テレビを見ると、ずっとミサイルのことを報道している。本当にミサイルが飛んできたら戦争になるが、北朝鮮も、そうならないようにミサイルを飛ばしている。しかし、何かの手違いで失敗したらどこに落ちるかわからない。誰も事故を起こそうとして車を運転しているわけじゃないけど、交通事故は起きる。国内にミサイルが落ちたら本当に戦争になる。ラジオは、ニュースを読んだらすぐにいつもの放送になった。
おっちゃんの話の続き。「あれやったらいい」「これやったらいい」と評論ばかりで自分は動かない。「わし、聞いてない」と怒り出すこともあるのがおっちゃん。
組織の中で多いのが、「誰が許可したんだ」 「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)大事やろ」と言うおっちゃん。それは、「あなたに言ったらややこしいやろ」という意味なのに、おっちゃんはそれがわからない。
ABCの局内で、「宮根誠司は俺が育てた」と言う人が7万人くらいいる、という話になった。お世話になった人は多いけど、「お世話になった」と「育てられた」は違うという結論。
入社時や番組に入る時に、「あのとき俺が入れてやったんだ」と言う人はおっさん。「俺が育ててやったんだ」と言う人は見返りを求めている。利己的な人がおっさんで、利他的な人はおっちゃんという結論。
おっさんには、「言わんでもわかるやろ」のノリがある。
夫婦でも「言わんでもわかるやろ」と言われても、「わしゃ他人や!」と言いたい。そういう人は「ありがとう」を言わない。相手のことを思わないからだ。言葉にして伝えることが大事。
「ちゃんと言ったやないか」と言う上司には、「あんたの指示が悪いからや」と言いたい。ちゃんと教えていないのにできなくて当たり前。教えてない側の怠慢。「伝える」と「伝わった」は違う。「私は伝えました」と言っても、伝わっていなかったら伝えたことにはならない。ただ言っただけ。
おっちゃんのおやじギャグはいい。ずっと言い続けてほしい。
周りの重苦しい雰囲気を何とかしようというのがおやじギャグ。ただ一人でしゃべってばかりいる人は論外。
家族が会話しているときに「それは……」「いやいや」ばかり言うおっさんもいる。否定から入るのはよくない。「うんうん、せやな」と、意見が違っても相手の話を受け止めるのがおっちゃん。会話は、「ありがとう」から入った方がいい。ありがとうと言った後で、「でもね」と否定的な意見を言う。
そんな話をしながら、「おっさん文化は不滅です」で終わった。
楽しかった番組だけど、少しでも雰囲気は伝わっただろうか。