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トマトにスイカ、野菜と果物、木と草と~ことばの不思議
トマトは野菜か果物か。よく聞く質問だ。
野菜と果物はどう区別するのだろう。
ところで、農水省の「こどもそうだん」を見ると、「日本一売れているくだものをおしえてください」という質問に対してこう答えている。
2019(令和元)年の全国の出荷量の多いくだものは、
1位がみかんで66万8400トン、
2位がりんごで63万2800トン、
3位が日本なしで19万3900トンです。
また、2020(令和2)年の総務省家計調査によると、1年間に1世帯が支出する金額の多いくだものは、
1位がバナナで4,387円、
2位がりんごで4,107円、
3位がみかんで3,640円です。
なるほどなるほど。あれっ。みかん、りんご、なしは木にできる「果樹」だが、バナナは?
「果樹」、「果物」って、「木」になる「実」のことではないのか。
バナナも木になるように見えるけど、バナナの「木」には堅い木質部がない。大きい「木」のように見えるけど、実はバナナは「草」なのだ。草の実がバナナ。同じようにパイナップルも木質部がない「草」。パイナップルも草の実なのだ。
木になる実が「果実」であり、草になるキュウリやカボチャは「野菜」だと思うのだけれど。あれれ。
農水省の「果樹」の定義はこうなっている。(今度は「果実」ではなく「果樹」。「樹木」となっている)
農林水産省では、園芸作物の生産振興を効果的に推進するため、概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています。
従って、一般的にはくだものとは呼ばれていないと思われる栗や梅などを果樹としている一方で、くだものと呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています。
木だけでなく、「2年以上栽培する草本植物」は「果樹」になる。農水省の定義ではメロンやイチゴ、スイカは、キュウリやカボチャと同じ「野菜」になる。けれど総務省の統計では、スイカやメロン、イチゴは「果物」としてあつかっている。
厳密には区別があるにしても、一般的にはバナナもスイカもメロンも「果物」でいいだろう。
トマトに関しては、アメリカの裁判では「野菜」になったらしい(政治的判断が入って)。トマトが野菜だから、わざわざフルーツトマトという名があるのだろう。ちなみに、フルーツトマトという品種があるのではなく、トマトに水分を少なく与えると甘みが増しフルーツトマトになる。さらにさらに、カボチャの糖度はメロンなみの15度以上の物があり、20度のカボチャもあるそうだが、さすがにカボチャを果物とは言わない。
野菜や果物は、自分のために実をつけているが、人間の都合で果物にされたり野菜にされたりしている。果物といわれたり果実、果樹と呼ばれたりしている。いろんな言葉で呼ばれている。いろんな定義がある。腐ったものを腐敗と言ったり発酵と言ったりするようなものだ。
そんなことを考えながらも、暑い夏には冷えたフルーツが心地よい。果物だろうが野菜だろうが、やっぱり夏にはスイカを食べたいと思う残暑厳しい今日この頃ではある。