健康とSNS映えの両立!アサイーボウル人気の秘密を探る (#テーマ別研究演習)
はじめに
みなさんは、アサイーボウルをご存知だろうか。ハワイでも人気のアサイーは、ハワイグルメが流行した2013〜14年にも日本国内で人気を博したが、2024年にはZ世代を中心に以前とは異なる第2次ブームを迎えた。また、日経トレンディの『2024年ヒット商品ベスト30』では“アサイーボウル“が23位に、『SHIBUYA109 lab. トレンド大賞2024』の 「カフェ・グルメ部門」で1位に選出され、関連商品も売り上げを伸ばしている。
私たちは、そんなアサイーボウルについて調査し、なぜアサイーボウルが再度一大ブームを巻き起こしたのかについて、分析することにした。
アサイーの説明(アサイー全般について)
まず、アサイーとはブラジル発祥のデザートで、アサイーという果物と豆乳で作ったスムージーに、キウイやイチゴ、バナナといった様々なフルーツと、ドライフルーツ、ナッツなどをトッピングしたものである。これにさらに仕上げとしてはちみつやジャムをかけることもある。アサイーにはアントシアニンというポリフェノールや鉄分などの栄養成分が豊富に含まれている。このことから、スーパーフードとも呼ばれている。そんなアサイーボウルが体に与える効果は多くある。例えば、心臓病のリスクを低減、ダイエットや腸内環境の改善、肌の健康や老化防止、肌のダメージを防ぐ効果、骨粗しょう症の予防、疲労回復効果、視力回復、眼精疲労の回復、アンチエイジング効果がある。
また、アサイーボウルはカフェなど飲食店で食べられているだけではなく、 自宅で作る人も増えている。YouTubeやTikTokなどにはアサイーボウルのレシピ動画が多数投稿されており、自宅でアサイーボウルを簡単に作ることができるキットも販売されている。
その中でも、株式会社フルッタフルッタのロングセラー商品である「お家でアサイーボウル(R)」は、2024年大幅に売り上げを伸ばした。「お家でアサイーボウル」は、2024年9月の出荷量が前年比の1,323%、また、9月までの年間出荷量累計前年比は920%を達成しアサイーボウルの人気が現れていることが分かる。
アサイーボウルはどうして売れたのか ~グリークヨーグルト、タンフルとの比較~
近年、ヘルシーで見た目も華やかな商品は数多く存在しているが、どうしてアサイーボウルはこんなにも数多くの人々に愛される商品になったのか。私たちはまず初めにアサイーボウルと他の商品を比較してみることにした。今回の比較対象は同じく健康食品として人気のあるグリークヨーグルトと韓国から人気を博したタンフルとしてそれぞれ4P分析とテキストマイニングを行い、比較をしていく。
※4P分析とは、商品やサービスの「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の4つの要素を分析する手法のことである。
※テキストマイニングとは、文章を単語やフレーズに分解して分析し、有益な情報を抽出する手法のことである。本レポートのテキストマイニングはインスタグラムの投稿文から抽出した結果である。
アサイーボウル
4P分析
Product(製品)
↑でも説明したが改めて説明すると、アサイーボウルとは「アサイーという果物で作ったスムージーに、グラノーラやフルーツ、はちみつなどをトッピングしたスイーツ」である。味のベースはブルーベリーやブラックベリーに似ていて、少し甘酸っぱい風味であり、シャリシャリとした食感である。また、トッピングの種類もバナナ、イチゴ、パイナップル、ブルーベリー、キウイ、ナッツなど他にも豊富に存在し、さまざまな味を楽しむことができる。さらに、アサイーにはポリフェノールや鉄分、ビタミンEが豊富に含まれていて、健康や美容によいとされていることから「スーパーフード」と言われている。また、SNS映えする見た目も特徴である。このようにアサイーボウルを食べるだけでおいしく栄養を摂取でき、SNS映えも狙うことができる。これらのことより、健康志向、美意識が高い人が増え、SNSを中心とした現代社会に生きる人たちにとってうってつけの商品といえる。
Price(価格)
アサイーボウルの価格帯は、店頭では1000円前後、自分で作る場合はトッピングなしで350円前後、トッピングをするとなるとだいたい550円前後である。このように店頭の価格設定は自分で作る費用よりかなり高いものとなっているが、アサイー目的でやってくる客が多いのでこの価格となっている。また、少し高いほうがSNSに乗せた時に健康や美容にお金を掛けている人、そういったことに対する意識が高い人といった印象を与えやすいといった効果もあると考えられる。
Place(流通)
アサイーボウルは主に店頭販売が主流となっていてカフェやアサイー専門店で売られていることが多い。しかし、最近では自分で作れるキットの販売もされている。これにより、家で自分好みのフルーツやグラノーラなどを入れ、オリジナルにカスタマイズして食べることも可能となり、家用キットはネットでの購入が可能なので、わざわざお店まで買いに行かなくても食べることができる。
Promotion(プロモーション)
SNSを通じ、カフェやアサイー専門店、自宅といった場所でのアサイーボウル紹介動画がZ世代の間で流行した。それに影響を受けSNSで「アサイー食べてきた」といった発信する人が次第に増加していき、アサイーボウルがブームする形となった。そんななか、中町綾という約150万人の登録者をもち、Z世代に高い人気を持つYouTuberがアサイーボウルをプロデュースしたことも大きな話題となった。これもアサイーが流行した要因の一つといえる。
テキストマイニイングの結果
テキストの分析
- 場所:麻布台(東京)や城陽(京都)、靭公園、中崎町(大阪)での投稿が多い。
- 健康:「ヘルシーな」「朝活」「カカオニブ」といった、健康を意識したワードが多い。
- 流行:「ブームな」「有名な」といった、今流行っているものとわかるようなワードが多い。
- 評価:「おいしい」「ハマる」「落ち着く」「丁寧な」といった肯定的なワードが多い。
分析まとめ
アサイーボウルの投稿をしている人は、都会で流行っているものを投稿したい人や健康を重視する人が多いと考えられる。
グリークヨーグルト
4P分析
Product(製品)
グリークヨーグルトとは、発酵後に水切りをしたヨーグルトのことで、まるでクリームチーズのようなクリーミーで濃厚な味わいと、もっちりとした独特の食感が特徴である。元々は韓国で流行が始まったもので、日本ではK-POPアイドルをはじめ、人気YouTuberが好んで食べていることがSNS上で拡散され、 韓国のトレンドを察知した若い世代を中心に注目されている。日本ではもともとギリシャヨーグルトとして販売しているが、韓国式のグリークヨーグルトは水切りによってさらに凝縮されていることも大きな特徴だ。
また、水分を減らしているため、たんぱく質の含有量が通常のヨーグルトよりも高く、健康志向の人や筋トレをしている人にも人気がある。そんなグリークヨーグルトに、フルーツやグラノーラを合わせた「ヨーグルトボウル」は、グラノーラなども入っているので食べ応えがあり、低カロリーでありながら見た目も華やかであると人気を集めている。最近ではフルーツやはちみつを合わせたスイーツ系だけでなく、サーモン、アボカド を組み合わせた、サラダ系ヨーグルトボウルも登場し、スイーツとしてもランチとしても楽しむことができる。
Price(価格)
グリークヨーグルトの価格帯は店頭では1500円程度、自分でヨーグルトのみを購入すると450円程度であり、トッピングを追加すると650円程度である。アサイーボウルと同様、店頭での価格と自分で作るときにかかる費用では大きな差があるが、店頭販売のグリークヨーグルトに関してはトッピングの華やかさや、見た目のお洒落さ、贅沢感なども演出している。
Place(流通)
グリークヨーグルトは、カフェや専門店での店頭販売に加え、スーパーなどで販売されているヨーグルトでも作ることができるため家で作ることもできる。さらに、専門店やカフェではテイクアウト形式でも販売しており、様々な方法で気軽に比較的気軽に楽しむことができる点が特徴であるといえるだろう。
Promotion(プロモーション)
先述の通り、グリークヨーグルトは韓国でのブームをきっかけに、日本ではK-POPアイドルをはじめ、人気YouTuberがヘルシーフードとして紹介し、グリークヨーグルトを好んで食べていることがSNS上で拡散され流行した。さらにヘルシーさに加え、見た目の華やかさからインスタグラムに投稿する人が多いことも、流行の一因である。
テキストマイニイングの結果
テキストの分析
- ヘルシー:「ビフィズス菌」や「朝活」、「腸」、「ヘルシーな」等、グリークヨーグルトのヘルシーさについて挙げる単語が多い。
- 感情:「まろやかな」「濃厚な」「美味しい」など味についての感想に加え、「かわいい」「おしゃれな」など見た目について言及する単語も見られる。
- 場所:中目黒や表参道といった日本の地名に加え、韓国旅行や韓国といった韓国に関するワードが使用されている。また、「greekparlor」や「greekee」、「haus」はいずれもグリークヨーグルト専門店の店名である。
分析まとめ
分析結果から、グリークヨーグルトは健康意識の高い人に加え、見た目の華やかさを重視する人に食べられていると考えられる。
タンフル
4P分析
Product(製品)
タンフルは、「旬のフルーツを薄い飴でコーティングした韓国スイーツ」である。その特徴は、フルーツの持つ自然な甘さと、薄い飴のパリッとした食感が絶妙に組み合わさっている点である。さらに、飴でコーティングされたフルーツは透明感があり、鮮やかな見た目が消費者の目を引く要素となっている。フルーツの種類はシャインマスカット、イチゴ、キウイなど多様であり、季節に応じて変化するため、旬を楽しむ贅沢感も提供している。これにより、タンフルは味覚・視覚の両面で楽しめる商品として、特にSNS映えを重視する若年層の女性や食体験を求める消費者層に支持されている。
Price(価格)
タンフルの価格帯は500円〜700円程度であり、手軽に楽しめるプチ贅沢スイーツとして位置付けられている。この価格設定は、高級フルーツを使用しながらも、手の届きやすい価格帯を保つことで幅広い層にアプローチしている。特に「旬のフルーツを楽しむ」という高品質な体験を提供する点が、価格以上の価値を消費者に感じさせる要因となっている。また、観光地や韓国フードフェスティバルで販売されることも多く、旅行や特別な体験の一部として購入されるケースが多いため、非日常性が価格に対する満足感を高めている。
Place(流通)
流通の中心は店頭販売であり、屋台やテイクアウト専門店での販売が一般的である。特に韓国の繁華街や観光地、新村や明洞、弘大などの人気スポットで見かけることが多い。さらに、日本国内でもコリアタウンやフードイベントでの出店が増えており、現地の雰囲気を体験できる場所としての魅力を提供している。タンフルは、消費者に「ここでしか食べられない」という特別な感覚を与える商品であると言える。
Promotion(プロモーション)
プロモーションでは、TikTokで流行した曲を背景に使用した投稿や、フルーツの鮮やかな色合いを活かした動画・画像が注目されている。SNSを中心に口コミが広がっており、特に「見て楽しむ」「共有したくなる」ビジュアルや食感の表現が消費者の購買意欲を高めている。また、インフルエンサーによる紹介の拡散が、プロモーション効果をさらに後押ししている。
テキストマイニイングの結果
テキストの分析
- 韓国旅行:タンフルと関連して、韓国旅行に関する情報が多い。
- 食べ物:シャインマスカット、フルーツ、屋台、食べる、美味しいなど、食べ物の単語が多く、食に関する単語がある。
- 場所:新村、明洞、弘大、コリアタウンなど、韓国の具体的な場所が挙げられており、旅行先での出来事とともに使用されている。
- 感情:美味しい、楽しい、好きなど、肯定的な感情を表す言葉が多い。
分析まとめ
分析結果から、タンフルを食べる人々は食を楽しむことを重視しており、韓国の食文化を体験したいという思いがあると考える。
4P分析やテキストマイニングをしてみてもPrice・Promotion・Placeではグリークヨーグルトやタンフルと比べて大きな差は見られない。そのため私たちはProduct(製品)により注目してみることにした。
Product(製品)の深堀り
健康的な要素や見た目の華やかさを中心に3つの商品を比較していく。
l アサイーボウル
「健康的な要素」と「見た目の華やかさ」を兼ね備えた商品である。アサイーというスーパーフードを使用し、栄養価が高い一方で、カラフルなフルーツやグラノーラ、蜂蜜をトッピングした見た目の魅力がSNS映えを生み、流行を促進した。
l グリークヨーグルト
健康的な要素に特化した商品である。高タンパク・低脂肪で濃厚なクリーミーさが特徴だが、見た目はシンプルで、視覚的な魅力ではアサイーボウルやタンフルに劣る。
l タンフル
「見た目の華やかさ」を重視した商品で、旬のフルーツを飴でコーティングした鮮やかな見た目が特徴である。しかし、健康的な要素は少なく、健康志向の消費者にはアサイーボウルやグリークヨーグルトほどの訴求力はない。
まとめ
これら3つの商品を比較した結果、アサイーボウルがヒットした理由として、「健康的な食品」としての要素を持ちながら、華やかで目を引く見た目がSNSや口コミを通じて広がったことが挙げられる。健康と視覚的魅力の両面で優れたバランスを実現した点が、他の2商品との差別化ポイントであり、若年層に支持されたのではないだろうか。
参考文献
l 株式会社フルッタフルッタ.“日経トレンディ『2024年ヒット商品ベスト30』にて“アサイーボウル”が23位にランクイン!「お家でアサイーボウル®」前年同期比921%と販売好調“.2024/10/31.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000024416.html
l 中山一貴”アサイーブーム終焉で煽りを食ったあの会社”.2016/7/18.https://toyokeizai.net/articles/-/127444
l 坂本リエ.“韓国で人気のグリークヨーグルトとは?ピンスと並ぶ人気のヘルシースイーツ”.2024/10/18.https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=3720#:~:text=%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B%E3%81%A8,%E5%8F%A3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%81%A7%E3%82%82%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
l 久米碧”ブーム再来のアサイーボウルが『2024年ヒット商品ベスト30』にランクイン、話題の「お家でアサイーボウル(R)」とは?” 2024/11/14 https://news.yahoo.co.jp/articles/2229386e5b398bcb4297defacf8eb5924a39c994
l じゃらんニュース”【全国】韓国発グリークヨーグルトの店5選!ヘルシーで見た目も映えると話題<2024>”2024/9/20https://news.yahoo.co.jp/articles/d63011e756800b9322f8f8f8ca0da422455b2d42
l tokui"【2024年最新】東京でおすすめのグリークヨーグルト専門店8選を完全ガイド!”2024/9/27 https://fasme.asia/gourmet/tokyo-greekyogurt-5875/
l 食楽Web”ダイエッターも大注目! 韓国のグリークヨーグルト専門店「Bowls #」が原宿にオープン。その魅力とは”2024/5/23
https://www.syokuraku-web.com/news/124938/2/#goog_rewarded
l 佐藤なおか.“再ブーム到来!アサイーボウルってどんな味?人気の理由や作り方を紹介”.2024/9/11.
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l blue_sky_shu96.“アサイーの7つの効果を紹介!効果的な摂取方法と注意点を紹介!”.2017/9/9.
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