落ちてくるナイフを掴むな
第一 はじめに
この文は、時期の見極めに悩む方に読んでいただきたいと思います。
時期を見極めて行動を起こすには何が必要なのか、最近少しずつ分かってきました。必要なのは、時期を見極めるための指標を予め持っていて、その扱いに習熟しておくことです。
以下では、このことについて詳しく説明をしていきます。
第二 1ドル170円時代
いきなりで恐縮ですが、まず為替の話です。
2024年の夏の始まりにおいては、1ドル170円があり得ると考えられていました。以下はそんな時期に書かれた記事の1つです。
当時、そういう予想には十分な説得力がありました。以下は2024年7月頃の米ドルの為替レートです。
この図を見れば1ドル170円があるだろうと考えてもおかしくありません。でも、現実の為替レートはここから円高に振れて行きました。つまり、この辺が円安のピークだったのです。1ドル170円があるだろうと言う記事を信じて米ドルを買った人は大損をした訳です。
この場合には記事に逆らって米ドルを売っていれば儲けられた訳ですが、いつでもそうかと言えばそんなことはありません。
上で引用した記事によると「日本の当局者は当初、円相場が1ドル=150円まで下落することはないと言っていた」そうです。それに逆らっていたらどうなるか。1ドルあたり10円、円安ドル高になれば、損失に対するストレスで日々の生活に支障が出るのではと思います。
第三 2024年7月にどうすれば良かったか
後から見れば、2024年7月には米ドルを売っておけば良かったと容易に分かります。しかし、上で紹介したグラフを見て米ドルを売る気になる人はそうそういないと思います。そもそも、相場格言に「落ちてくるナイフは掴むな」というものがあります。上で紹介したグラフのように一方的な値動きをする場面で「そろそろピークで値動きが変わるだろう」と根拠なく考えて売買することは悪いこととされています。「落ちてくるナイフは掴むな」はそういう行動を戒める格言です。この格言で言えば、2024年7月の時点で米ドルを売ってはいけないのです。この時点から米ドルが値下がりし円高になるなんて分かるはずがないのですから。
一方、これでは話が違ってきます。
これも2024年7月頃の米ドルの為替レートです。前のチャートとは異なる線が引かれています。
前のチャートに引かれている線も後のチャートに引かれている線も、将来の値動きを予測するために引かれている線です。本題から外れるのでそれぞれの線の解釈は省略しますが、後のチャートの左の方には、ローソクっぽく見える印が緑の線と重なっている箇所があります。右の方には十文字が青の線と重なっている箇所があります。これらはいずれも米ドルの値上がり余地が小さいことを示唆します。
そうとすると、1ドル170円が実現する可能性は案外実現の可能性が高くないと分かるのです。
とすれば、2024年7月にはいつ米ドルを売れば良いのか慎重に見極めておけば良かったと言うことになります。
第四 旨い話はその辺に埋まっていることがあっても転がっていることはない
実際のところ、これらの線だけではいつ本格的な値下がりが始まるかは分かりません。そもそも、こういった線から導き出される売買のサインはしょっちゅう誤ったものとなります。
誤りの多いサインからどうやって正しいサインを認識して利益を確保するのか。それはこれらのサインの意味を始めとした様々なことを学ぶに尽きます。その学びがミスを減らし利益を呼んでくるのです。
ここでは為替の話を例に挙げましたが、日常生活の様々なシーンで同じことが言えると思います。
第五 まとめ
今回のお話の要約は「まずは指標を探す、次に指標を理解する、そして指標を使って経験を積む」です。
その地道なプロセスが色々な損失を遠ざけ利益を近づけると信じています。