普通の人びとの普通の生 『かもめ・ワーニャ伯父さん』
新潮文庫『かもめ・ワーニャ伯父さん』には、チェーホフの2つの戯曲が収録されている。
どちらの作品でも、さまざまな立場の人々が、お互いに恋をしたり、憎んだり、蔑んだりする。
いずれもすれ違いで、片思いである。双方に思いを分かち合う、というシーンはほとんどない。共有したように見えても、その後に破綻する。
「かもめ」も「ワーニャ伯父さん」も、主人公が「僕のこの気持ちを、きみがわかってくれたらなあ!」というセリフを連発するが、この雨でイベントが台無しになってしまったような「伝わらな