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「わけるとつなぐ」で、信頼を勝ち取る方法。

わけるとつなぐ 
  ーこれ以上シンプルにできない「論理思考」の講義 

    深沢真太郎 

この本は「ちゃんと考える方法」を学ぶ本なのですが、同時に、信頼度ゼロの状態から、信頼を勝ち取る方法を、記した本でもあります。

信頼度を勝ち取る方法とは、実績や経歴で自分を着飾る事ではなく、ましてや、相手に施しを与えるの事などでは絶対になく、ただひたすらに、相手と一緒になって考える事。この本には、その重要性が延々と記されています。

ここからはしばらくは、ただの自分語りなので、読み飛ばしていただいて構いません。(読んで欲しいところが出た時に再びお知らせします)

私はケチなので、単行本を滅多に書いません。それにぶっちゃけ単行本は、当たり外れが多いと思っています。
理由は、発行部数が文庫本よりも少ないからです。

要するに、すでにヒットした、もしくはすると思われている(みんなが良いと思った、思っている)内容が刷られた文庫本と違い、単行本は、果たして世の中の人々に受け容れられるのか、未知数な本だと思っているからです。

この本も、まずは慎重に、書店の立ち読みから始めたのですが、最初は「自分には必要ない本だな。」と思いました。

私は、巻末近くにまとめられているフレームワークのことを、全て知っていましたし、中でも「ロジックツリー」「PDCAサイクル」「ピラミッドストラクチャー」は、使わないと仕事にならないレベルで使い倒してきています。

私は、長いことゲームプランナーをやっているのですが、ロジックツリーを理解しないと画面仕様が起こせませんし、運営型のゲームを担当する場合は、PDCAサイクルを効果的に回さないと、たちどころに遊ぶ人が減っていってしまいます。

そして、ゲーム制作、中でも運営型のゲームに一番重要だと思い、活用しているのが「ピラミッドストラクチャー」です。
「ピラミッドストラクチャー」は、そのゲームタイトル独自のKPIを設定するために使用します。

KPIというと、DAU、ARPU(ARRPU)、継続率などが有名ですが、残念ながら、これらの数値を解析しても、ゲームは面白くなりません。

そのゲーム独自のKPI、プレイヤーが面白いと感じる履歴や瞬間を、定量測定する必要があります。そのために「ピラミッドストラクチャー」を活用し、仮説として、そのゲーム独自のKPIを設定し、PDCAサイクルを回します。

おまたせいたしました。ここからが本題です。

この本は、物語形式で綴られています。

まえがきの後に、「この本の登場人物」が綴られているのですが、私はある人物に釘付けになりました。

サンドロ・ヤマシタ 日系ブラジル人。

私は、すぐさま本をレジに持って行きました。

「わける」と「つなぐ」で、信頼を勝ち取る方法。

この物語は、ざっくりいうと、女子校の弱小サッカー部がサンドロ・ヤマシタの協力によって強くなる話です。

以下は、物語の主人公アヤが、父親からサンドロ・ヤマシタを紹介されるシーンです。是非、お読みください。

父「ある人に、アヤの連絡先を教えてもいいか。30歳くらいの男性で、信頼できる人だ」
アヤ「え? どうゆうこと」
父「おまえが欲しいものを手にするためのヒントを知っている人だ」
アヤ「意味わかんないんだけど」
父「とにかくその人と会ってみるといい」
アヤ「なんていう人?」
父「サンドロ・ヤマシタさんだ」
アヤ「サンドロ?」
父「日系ブラジル人だ。信頼できる人物だから安心しろ」

「いや、安心できないよ!」

わたしは、大爆笑しました。お父さん。もうちょっとちゃんと説明してくださいよ。サンドロさん、怪しすぎますよ。

とはいえ、アヤは、サンドロと話すことでサンドロを信頼してサッカー部を強くして欲しいと頼みます。(私もサンドロが怪しい人ではないと納得して、本書を読み進めました。)

余談ですが、サンドロが女子校の敷居をまたげたのは、カフェでの出会いから二ヶ月後のことです。
私は、自分の感性が正常なんだと安心しました。筆者も、アンドロが怪しい人物という認識でこの物語を綴っている事を理解できたからです。
ですが同時に、世の中は肩書きで人を見ているという皮肉を、この一文が痛烈に象徴していると思いました。

この本の詳細は、作者の深沢真太郎さんが、

「ひとは見聞きしたことは忘れます。しかし、体験したことはなかなか忘れません。」

と、おっしゃられているので、「いいから買って読め。」としか言えないのですが、一言だけ。

サンドロは、作中で「サポートするだけ。」と控えめに言っているのですが、アヤたちと一緒に、とにかく根気よく、一緒に考えます。とにかく真摯に一緒に考えます。その態度は徹底的に、一貫して描かれていました。

最後に

この本は、ビジネス書のコーナーに置かれてあったのですが、正直なところ、ちょっと置く場所が違うのではないかな? と、思ってしまいました。
教育書のコーナー。もっと言うと、児童書のコーナーに置いて欲しいな。と思いました。

この本の真の読者は「これから数学を学び始める人たち」なのではないかと思ったからです。

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。 サポート戴けたら、とてもとても喜びます。