きっかけは、R-18文学賞。/『くちびるリビドー』創作こぼれ話〈1〉
『女による女のためのR-18文学賞』というものがある。
私がこの画期的な賞の存在を知ったとき、この賞はまだ「女性が書く、性をテーマにした小説」を募集する――という名前どおりのものだった。
(確かちょうど宮木あや子さんが『花宵道中』で大賞と読者賞をダブル受賞したときだったと思う。……あれって「第5回」のことなのね~、つまり「2005年」とか? あの頃はまだサイト上で発表後の受賞作を全文読むことができて〔←記憶あいまい〕、私はパソコンの前で「すげーすげー!! エロいエロい!!」と興奮&感動したのを覚えている。“これぞまさに『女による女のためのR-18文学賞』!!!”だったし、なんて面白い企画なんだろうと興味をもち、その後も熱心に感想コメントを送ったりしていた。第8回の窪美澄さんの『ミクマリ』も、最終候補作として公開されていたときに読んで“絶対にこれが大賞だ!(そうじゃなきゃおかしいでしょう)”と思ったし、実際に受賞したときは自分のことのように(!?)心がふるえた。第9回の彩瀬まるさんの『花に眩む』を読者賞に押し上げたのも(?)自分の感想コメントが少なからず影響を与えたはず……と実は勝手に思っていたりする〔←こわい〕。そのくらい私にとってこの『女による女のためのR-18文学賞』は、なんというか……「世界に通じる扉」みたいなものに〔いつの間にか〕なっていて、気づいたら自分でも応募するようになっていた。)
それが今ではもう下記のようにリニューアルされ、正直、リニューアル後の受賞作をおもしろいと思ったことは私は一度もないし(感想コメントも自然と書かなくなったし、最終候補作を読んでみようという気にすらならなくなったなー)、本になった受賞作を本屋で見かけることもほとんどなくなったように思う。
「女による女のためのR-18文学賞」リニューアルによせて(2011年夏)
「R-18文学賞」は、第11回からリニューアルすることになりました。大きく変わる点は2つあります。
まず、選考委員が変わります。第11回からの選考委員を、今もっとも勢いのある女性作家である三浦しをんさんと辻村深月さんに務めていただきます。おふたりが応募作をどのように読まれるか、どんな作品を選ばれるか、とても楽しみです。
もうひとつは、テーマです。これまでR-18文学賞は「女性が書く、性をテーマにした小説」を広く募集してきました。賞が設立された10年前、小説に描かれる官能は主に男性のためのもので、女性が性を書くことはタブーとはされないまでも、大変な勇気のいることだったと思います。
しかしいまでは、女性が性について書くことは珍しいことではなくなり、多くのすばらしい書き手が生まれています(その中にR-18文学賞でデビューされた方がたくさんいらっしゃることがとてもうれしいです)。このことから、性をテーマにすえた新人賞としては、一定の社会的役割を果たしたのではないかと考えています。
第11回からは、募集作品を「女性ならではの感性を生かした小説」と定めたいと思います。本賞の名前はそのままです。また、応募者も選考委員も、全て女性であることも変わりません。もちろん、官能をテーマとした作品も大歓迎です。おとなの鑑賞に堪えうる、濃密な作品をお寄せいただけるなら、これ以上うれしいことはありません。
官能描写の有無にかかわらず、女性が持っている誰にも伝えられない感情、小説だからこそ語れる言葉の束をこれからも読ませていただきたいと思っています。
たくさんのご応募、心からお待ちしております。
※以上、ホームページより→https://www.shinchosha.co.jp/r18/what_r18.html
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“はじめまして”のnoteに綴っていたのは「消えない灯火と初夏の風が、私の持ち味、使える魔法のはずだから」という言葉だった。なんだ……私、ちゃんとわかっていたんじゃないか。ここからは完成した『本』を手に、約束の仲間たちに出会いに行きます♪ この地球で、素敵なこと。そして《循環》☆