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姑獲鳥の夏/京極夏彦【読書感想】

あらすじ

 舞台は昭和27年の夏。文士の関口巽は二十箇月に渡って子どもを身籠ったままだという奇妙な妊婦の噂を耳にし、古本屋「京極堂」の主人・中禅寺秋彦に相談に行きます。
 妊婦の家である久遠寺医院では、他にも怪事件が頻発していました。密室から消えた妊婦の夫、度重なる嬰児の死亡、そして久遠寺家の呪い。
 数々の謎の真相とは。

感想

 あらすじ、書くの難しいですね。文庫にして620ページにも渡る長編ですから要約能力が試されます。
 作品の魅力が伝わる文章を書けるようになりたいものです。

 この本を手に取ったのは確か旅行のタイミングだったと思います。住んでいる土地柄、移動時間が長くなるのは必然なので、旅のお供にと空港で選んで連れて行きました。
 後から知ったのですが、京極夏彦さんの作品は「枕」や「読める鈍器」といった異名がつくくらいボリューミーなことで有名なんですね。
 帰りのカバンに入りきらず、小脇に抱えて飛行機に乗ったことを思い出しました。

 さて、作品についてですが、妊娠二十ヶ月の妊婦……想像しただけで恐ろしいです。作中、異様なほど大きく膨らんだ腹が弾ける描写があるのですが、あまりの生々しさに途中で本を閉じてしまったほどでした。
 牧朗氏の境遇や赤ちゃんの連続死、久遠寺家に代々生まれる無頭児などの話も明かされるほどに物語の彩度が落ちていくような悲惨さです。
 でも真相が知りたくてページを捲ってしまうんですよね。

 実は京極夏彦さんの作品には過去にも触れたことがあります。……とは言っても「魍魎の匣」は図書館の期限内に読み切れずアニメで観ましたし、「豆腐小僧双六道中」に至っては中学時代から序盤を読んでは寝かせ、話がわからなくなり戻っては寝かせの繰り返しでほとんど積読状態なのですが。
 そんなわけで分厚い京極作品に敗北し続けていたので、初めて読みきれたのも嬉しかったです。
 「覘き小平次」や「狂骨の夢」、そして新作の「鵼の碑」など気になるタイトルがまだまだ沢山あるので、今回読み切れたのを自信にまた京極作品に挑戦していきたいと思います。

 読了したら使うと決めていた「姑獲鳥の夏」のネイルポリッシュを爪に纏う日が待ち遠しい猫崎でした。




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