いちごジャムトースト
子供の頃は苺が苦手だった。
お誕生日に食べる、苺のショートケーキ、
スポンジと生クリームの間に
甘酸っぱい苺が入っているのが
とても嫌だった。
子供ながら、
「アンバランス!」
と思っていた。
スポンジと生クリームは甘くて
ほわっとしてて
なんだか優しくて、包み込んでくれるおいしさなのに、
そこにガツンと酸っぱい苺。
いやそれで調和を保っているんだろうけど、あのケーキは。
上に乗っている丸ごと苺はもちろん
苺好きなお姉ちゃんにあげていたし、
中のスライスされた苺まで
取り除いて食べていた。
「好きな食べ物は苺」
っていう女の子らしいことを
私も言ってみたいなと思っていた。
(「塩辛が好き」とか言っていた当時)
苺が大好きになったのは、
まだ数年前。
きっかけは何かわからないけれど
あるとき突然苺好きになった。
昔の名残で祖母も母も、
「お姉ちゃんに」
と苺を買ってくる。
最近は
「私も苺好きだから!」
と主張して、
私ももらっている。(笑)
今ならいちご狩りだって喜んで行く。
でもやっぱり
ショートケーキの中に入っている苺は、
取り除きはしないけど
できれば先に食べたい。
そして後から、
ほわほわのスポンジと生クリームだけを
楽しみたい。
お行儀悪いから、人前ではできないけれど。
かといって、
苺が無い、クリームとスポンジだけの
ケーキが良いとは思わない。
苺は入ってていいのだ。
でも、先に食べて
後からほわほわに包まれたい。
先日、熟れすぎてしまった苺を
コンフィチュールにした。
今は甘さ控えめや糖質offも流行りだけれど、
砂糖は割としっかり目に入れた
昔ながらの味。
朝、トーストに
粗塩入りのバターを塗って
コンフィチュールをたっぷり乗せて食べた。
春の味がした。
コーヒーのカップも春らしく花柄を選んだ。
「しょっぱい」と「甘い」は
なんでこんなに合うのだろう。
塩キャラメルの原理も
こんな感じなんだよなぁ…と思いながら
コーヒーと一緒に頬張った。
コーヒー、もうちょっと濃く苦めに淹れたらよかったなぁ。
いちごジャムトースト
この響きが、字の並びが、
懐かしさを感じさせる。
「苺」じゃなくて、あえて
「いちご」
とひらがなで明記したい。
そういえば父は、
毎朝いちごジャムトーストを食べる。
朝食は5枚切りの食パン2枚で、
一枚はバタートースト、
そしてもう一枚は必ず、
いちごジャムトーストだ。
しかもなぜか、
一枚目にいちごジャムトーストを食べて
二枚目がバタートースト。
この流れを絶対に変えない。
私が知る限り(だから20うん年)
ずっとこれ。
最初に甘いものを食べて
後で塩気のもので口をさっぱりさせる作戦なのか。
それにしてはコーヒーはブラックではなく
フレッシュに砂糖一本入れた
甘めでマイルドなコーヒーだけれど。
いちごジャムトースト。
これを食べるために
またコンフィチュールを作ろう。