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【本との出会い 56 】ジジイの台所~台所には生きる底力が詰まっている~共感バリバリ、まさに毎日台所が楽しい~

なにかの料理雑誌からだったのか、この本の紹介記事を読んで、早速取り寄せしました。

やさしい文章で、楽しく読書させていただきました。

エッセイと、イラストのコンビネーションが俊逸です。


1.ジジイの料理


① 外国の台所からの影響


ジジイは、中国を幾度も旅をしています。

そして、その国の飲食店、家庭の台所を見た感じ方が俊逸です。

便利、自動化、省エネ化、ばかりがいいわけではないと共感します。
七輪、かまど、コークス、薪、井戸・・・
昔ながらの台所、冷蔵庫がないから、いまあるものを食べていくという生活の知恵。

勝手にセンサーが作動し、もっと火を入れたいフライパンの火力が勝手に弱になるあのイライラ感。

今、食洗器が17年たって、壊れそうになっています。
壊れたら修理するまいと思ってしまいます。

北京のお店の台所の鍋類を、日光にさらしていたという話が印象深かったです。
美味い、店は、匂いでわかるのだとか、日本では匂いをなるべく出さない店が増えてきていますね。

②レシピを大事にする

高齢者、男性の料理と言えば、オリジナリティを出し出しにして、豪快に、みたいな話がよくあります。

著者の沢野さんは、「いつもレシピに忠実に」と説いています。
文中、お嬢さんの料理の話が出てきますが、お嬢さんもレシピ通りに作ることを大事にしていたようです。

レシピを読まないジジイは、やがて人を見下して傲慢になっていく・・・。

そうなるまい、と誓いました。

いくつか出てくるレシピの中で、これは作ってみようと思えた料理をひとつ。
「トマトと卵の炒め物」。

何かのドラマで見たように記憶しています。この料理。

サラダ油でも、オリーブオイルでもなく、必ずごま油を使うこと。


思い出しました。この映画です。

③ジジイの酢ショウガ

健康のため、この作り置きもやってみようと思います。

ショウガの皮が大切だとか。国産のいいものを使いましょう。


2.ジジイの家族

①ジジイのお母さんの話


実業家だったお母さま、若くして苦労されたのか、50代の若さで亡くなったのだそうです。

お母さんの闘病時の、インスタントラーメンの話、泣けてきます。
そういう後悔、あるよなあって感じです。

②ジジイの奥さん、娘さんの話

一方で、教職員でもあった奥様は、まったくお料理には興味ない人だとか。

食卓や料理、台所に関しての夫婦の意見相違は、よくある話かもしれませんが、それだからこそ、台所を楽しめていることだとか、それでも夫婦で見つけた良い食材の話だとか。

次々と買われていく、電化調理器の行く末は、どこの家でもあることかもしれません。

ほんと、ジジイの話を聞いていると(読んでいると)、「家電なんかいらないな」と思えて、納戸のものたちを葬りたくなるから不思議です。

逆に、娘さんは、ジジイの影響からか、幼少から料理を楽しみ、きっちりとレシピを守る人だったとか。

いつか、そのときの娘さんのレシピノートを、孫にプレゼントするんだとか。

3.ジジイの台所

①山の台所


ジジイは、登山家でもあります。
山での食事の話、とてもいい話です。

と、思ったたら、もともと沢野さんという著者、山のエッセイなど、著書を出していらっしゃる。

まてよ、一冊自分にもあったな、とここまで読んでから気づく始末。

②海岸の台所

こちらもいい話です。
いわゆる地元の不良にからまれ、それからの友情を食事の思い出とともに刻んでいるいいお話。

ここでも登場する七輪。

七輪で釣れた魚や獲れた野菜を焼いて塩をふるだけの食事。

その美味さ、が思い出となって残っている、良いお話です。

③ジジイのイラスト

この本のページ下部に、食材、料理、景色などの独特のイラストがストーリーを飾っています。


とても、シンプルな作画ですが、なんでしょう、このほっこり感は。


最近になり、また料理が好きになって、台所にいる時間が多くなっています。
私もジジイになってきたということでしょうか。


最近、読書の量が減ってしまっているのも気にしていましたが、こういう本との出会いがあると、また続けて山の本、料理の本を読みたいという動機に火がついてうれしいです。


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