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2019 新年を詠む
去年今年髪を洗っていたりして
指腹は閑かに求む初明り
朝がくる御慶めいたる喃語かな
純白を赤に染めゆく初日出
幕が下り扉が開いて新年へ
若水掴んでまあるくするてのひら
いのししがいるよ世界がまわりだす
賽銭はふありと舞った初烏
元日は無邪気でいようそれがいい
御下やあなたの袖を拭っても
2018 全国俳誌協会新人賞応募作品
全国俳誌協会新人賞に応募した15句です。全国俳誌協会『俳句展望』に、新人賞応募全作品の入選しなかった作品についても講評を掲載していただき、ちょっと驚きました。励みになります。とても。
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風鈴は何度も何度も発進する
夏の果砂糖を舐めてまだ続け
白玉に平然として脛齧り
緑陰に意味をなくした文字の積
分度器をプールにそっと沈めてる
夏めいて襞に鴉を飼っている
盛り場に割り込んでくる林檎かな
焦
好きな人にはいつか会う
エリエール間に果てない春の山
追いつけぬ下駄響き春の闇開く
春の星指を撫でることもする
ヒヤシンス僕の未来を決めてくれ
夏近し集光道路の方に朝
芳烈の離れ難き夜月下美人
瓶を抱き梅雨をありたけ閉じ込める
夜が明ける曲がる蜻蛉の身の果てに
麻紙を千切って捏ねて夏の形にする
おりがみのはばたきそうな夏の果
昼の子の加速を得て跳ね油蝉
夏襟の娘は辞書で原宿と引く
銀杏降り止まぬい