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三陸鉄道に乗つてきたヨ 宮古〜久慈編

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 yymm77@富民厚防さまに、『萬葉日本學』(反時代出版)を紹介していただきました。心から感謝いたします。『萬葉日本學』、作者は誰かよく知りませんが、とても素敵な本です。

 三陸鉄道の旅も大詰め、今回は宮古駅を出発して久慈駅へ向かひます。

 どうか最後まで、お付き合ひくださいネ。

朝六時過ぎ、ホテルを出てまだ薄暗い宮古駅前に来ました。いふまでもなく、寒いです。宮古駅からは、浄土ヶ浜にも行けますが、けふはそちらには行きません。
昨夜から目をつけてゐた駅そばで、朝食といたします。不器用さうなおぢさん、早めにお店を開けてくれました。ぬくぬくです。
おそば(380円)にイカ天とちくわ天をトッピングしました。計640円。おつゆが、海鮮出汁のやうな味はひで東京のそれとは大いに異なります。昆布といふかめかぶのやうな後味がします。美味しい〜。一味唐辛子をたくさん投入して、ぬくぬくになりました。なほ、玉川、辛党であり甘党です。
サア、ホームへ行きませう。盛岡に向かふ母子が私より先に改札を済ませて行きました。子は、リュックに様々な鉄道の缶バッヂやキーホルダーを付けてゐます。わたらせ渓谷鉄道のわっしーや三陸鉄道…、もし、私に子がゐたらそのやうになるのでせうか。マア、永遠にその夢は叶ふことはないでせう。結婚、恋愛…。さうした夢は、宮古駅に置いて行くことにしませう。さて、一番線には、盛駅行きが停まつてゐます。
私の乗る6:55発の久慈駅行きは0番線にゐました。車両は36-101形でした。この車両、昭和五十八年生まれで、私の二つ下、ほぼ同世代です。
車両にはところどころ痛みがあります。開業からずつと走るこの車両、乗りたかつたので嬉しいです。歴戦のつはもの、味のあるお兄さんといふ感じの車両ですね。
可愛い。落ちないにゃんこ神社。ぬくぬくです。
車内に入りませう。ロングシートとボックス席の組合せですね。
ルル公によく似たスコ猫キャットがゐました。でも、こいつの方が情けない顔をしてゐますし、ルル公の方が可愛いです。
ここに座ります。
朝からこつそり用意してゐたカバランをいただきます。アルコール度数八%のハイボールなど、玉川からすれば水と変はりません。定刻に列車は出発しました。車内は私一人。貸切です。
一の渡駅に着きました。なかなか秘境感あふれる駅です。周辺に人の気配と生活のにほひがしません。いつか降りてみたいものです。
次の佐羽根駅では、多くの可愛い動物らがお迎へしてくれました。ぬくぬくです。
駅名標にも猿がゐました。
田老駅に着きました。なほ、今年の八月十三日、台風五号による田代川の氾濫で、佐羽根駅から田老駅間が被災し、宮古駅から新田老駅間で運休してゐました。十一月十四日に復旧して、今かうして運行してゐます。有難いです。
田老駅では、36-200形とすれ違ひました。
田老駅を出てしばらく、かなたの空から朝日影豊栄昇らんとしてゐます。
次の新田老駅を出たあたりで、太陽が姿を見せてくれました。
摂待駅に着きました。
摂待駅を少しだけ北に行けば、田んぼが広がつてゐました。
間もなく岩泉小本駅です。近くに、小本温泉八大龍王の湯といふのがあるさうです(しかし、閉館したといふ情報もあります)。また、龍泉洞の最寄りださうです。龍泉洞は、そこにしかゐない生物がいくつかゐます。
駅が大津波で流されてしまつた島越駅にきました。今も瀟洒な駅舎が建つてゐます。
防潮堤の向かうから少し海が見えます。この駅もいつか降りてみたいものです。
トンネルの合間に海が見えます。かうして、一人、列車に乗り素敵な景色を眺めてゐる。私にとつて、これ以上の喜びはありません。そこに夫や彼氏がゐなくても良いです。これからもきつと一人。しかし、一人でもこのやうに楽しめればそれで良いです。結婚することが必ずしも幸せにつながるとは限りませんし。玉川、ひそかに天海祐希のやうな人を目指してゐます。死んでも無理でせうが。
そろそろ田野畑駅です。トンネルが多い三陸鉄道リアス線ですが、私は好きです。気になりません。
田野畑駅が見えてきました。ここで、36-100形と交換します。カンパネルラ田野畑駅といふさうです。
田野畑駅を出発して、トンネルをくぐり抜けると景色が一変しました。田んぼには、はだれ雪が。そして間もなく普代駅です。普代駅では高校生が二人乗つてきました。車内は私を含めて三名のお客さんがゐます。
まさに秘境駅な白井海岸駅です。釣り人が利用するとか。人の気配はまつたくありません。しかし、降りてみたくなる駅です。
白井海岸駅からしばらく行くと、山の間から海が見えてきました。
列車は三陸鉄道のハイライトの一つ、大沢橋梁に至りました。もし、この景色を共に見てくれる人がゐたら、宮古駅に置いてきた夢を再び見ませう。

みちのくの 海辺を走る まがな道の 窓にし見ゆる 沖つ白波 可奈子
再び、素敵な景色が見えます。山口百恵ちやんの歌が思ひ出されます。
堀内駅に着きました。ここも目の前が海です。
堀内と書いて、ほりない、と読みます。近くには、源義経が参拝したといふ鵜鳥神社が鎮座します。各地に伝はる義経伝説の一つでせうか。サア、さらに北へ向かひませう。
今度は安家川橋梁です。ワクワク。ここも絶景なんです。
なんとも素敵な景色です。
野田玉川駅が見えてきました。私とはあまり関係なささう。
三陸鉄道の初日の出号はこの地で初日の出を拝むとか。いつか乗りに来たいものですね。
かつて西行が庵を営んだといふ野田玉川駅。私とは関係なささうですが、目の前は海。素敵な駅です。なほ、リュックには野田玉川駅の駅名標のキーホルダーを付けました。そして、

道のべに 清水流るる 柳かげ しばしとてこそ 立ちどまりつれ

西行の歌が思ひ出されました。さいうへば、西行のことはかつてここで書きました。
十府ヶ浦海岸駅は、目の前が防潮堤でした。海岸といふ感じがしません。しかし、かうしないと安全を確保できないのも事実ですし、自然はこの堤をも超えてきたのも事実です。
十府ヶ浦海岸駅を出ると、雪の白が濃くなつてきました。
陸中野田駅に着きました。列車交換のため、しばらく停まります。ここで、数名の乗客がありました。
36-100形。四十一歳となると、体はボロボロです(私も肩や腰が痛いです)。潮風にあたり、雪にうたれ…。でも、その姿が私は好きです。
遠くから36-700形が見えてきました。
陸中宇部駅あたりです。雪がますます深くなつていきます。
前方に街が見え、川を渡ると…。
無事に久慈駅に着きました。これで、三陸鉄道の旅は終はりました。
ありがたう36-101。とても楽しかつた。またきつと乗りに来るでせう。
跨線橋から、振り返り見て、三陸鉄道の景色を心に留めました。
久慈駅の駅舎の中には、立ち食ひそばにうにの駅弁が売つてました。どちらも食べたい。特に、にしんそば…。しかし、うにも捨て難し。けふは我慢します。次回に残しておきます。
道の駅くじに来てみましたが、九時開店ださうです。バスの時間もあるので帰ります。
久慈駅前から九時ちやうど発の白樺号(盛岡方面行き)に乗ります。
バスの車窓は雪景色。さすが北国といふべきでせうか。
沼宮内バス停で降りました。ここからIGRいわて銀河鉄道に乗ります。ちなみに、この駅、無駄に大きいのは新幹線が停まるからです。
11:13発の盛岡駅行きに乗ります。ラッピングが可愛いくてぬくぬくです。夜行列車に乗つて以来のIGRです。
可愛くて、寒さを忘れるくらゐです。
車内に入ると、吊り革も可愛いくてぬくぬくです。
車内は、このやうな交互にロングシートとボックスが並んでゐます。
岩手川口駅を出たあたり。姫神山のいただきには、雲がかかつてゐます。途中、駅のホームには雪がはらはらと降つてゐました。
巣子駅のあたりですが、岩手山は雲の中。

心なく 雲な隠しそ うつくしき 岩手の山に 雪は降れども 可奈子
無事に盛岡駅に着きました。IGRいわて銀河鉄道も好きな鉄道会社、また乗りにきます。

つのさはふ 岩手の山は 見えねども まがなの道に 降れる白雪 可奈子
ご飯にいたしませう。盛岡の某刑事施設の職員Kさんから教へていただいたぴょんぴょん舎に行きます(なほ、後で知つたのですが、銀座とソラマチにもあるみたい…)。
冷麺と牛焼肉セットにします。味は中辛で。しかし、隠れ大食ひの玉川、これだけでは足りません。
何にしようかな…。玉川、明日死んでも後悔しないものを食べるようにしてゐます。その観点から行くと、答へは一つ。
岩手の和牛三銘柄盛り合わせ岩手三昧にしました。左から、前沢牛、いわて短角牛、雫石牛です。もちろん、わさびでいただきます。タレでギトギトの安い肉ばかり食べてゐた所為か、とてつもなく美味しく感じました。玉川の好みは、雫石牛です。お肉つてこんなに美味しいんですね…。
冷麺きました。中辛は言ふほど辛くありません。辛子で味変しましたが、美味しいです。これも。いやー、盛岡に来てよかつた。そして、教へてくれたKさんありがたう。世界が広がりました。
さて、ぴょんぴょん舎を出て少し歩くと開運橋があります。昨夜、マッサージのお姉さんが「この橋の上から岩手山がよく見える」といつてゐたので行つてみました。うつすらとその山容を確認できました。旅先で、現地の人から教はり、学びになると嬉しく、ぬくぬくになりますね。
帰りは、はやぶさ54号です。車内はすかすかなのに、隣には変なおぢさん。うーん…。妙な本を一所懸命読んでます。そんなのより、『萬葉日本學』(反時代出版)の方がはるかにマシだと思ふのですが。誰が書いたかよく知りませんが。
玉川は、車窓を眺めながら各地を旅するのが好きです。それにしても、旅の帰りは寂しいものです。しかし、たまのをの命ある限り、私は旅を続けるでせう。そして、またきつとここに来るでせう。
東京に帰つて数日後、ソラマチのぴょんぴょん舎に行きました。味は特辛。しかし、それほど辛くありません。門崎丑カルビとセットで美味しくいただきました。

 最後までお読みいただき、ありがたうございました。

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