これで最期にしよう
庭には蕗のとう、道端にはつくしが伸びてきた。まだ風が冷たくて、冬の上着が欠かせないが季節は春が来ている。この一斉に植物が芽吹く季節は、生命の始まりと終わりが交錯しているようで、美しい季節だと毎年思う。
この前私の断薬の話を書いたが、我が家ではもう一人薬を飲んでいる子どもがいる。
次男は二歳のときに、癲癇(てんかん)という脳の病気を発症した。
最初は気付かないような顔の震えから始まり、両手は鳥が羽ばたくように痙攣し、ひどい時は寝ている時も眼球が上転して白目をむいた。日に何度も動けなくなる彼を、発作が収まるまで見守り、時が過ぎて元に戻るのを待った。
半年ほどデパケンやマイスタンなどオーソドックスな薬を飲み続けたが効かず、このまま一生、この姿を見なきゃいけないのかと絶望した。ある日、新しく処方された薬を飲んで1週間ほどして、息子の発作がピタリと止んだ。止んだと同時に夜中に窓から身を乗り出したり等、異常行動が伴ったので量を調整して数ヶ月、発作も起きず気性も穏やかにある程度なり、てんかん薬を朝晩二種類、飲み続けることで彼の病気は落ち着いた。
知的障害と自閉症スペクトラム、ADHDという診断ももらっていた彼は、発作が落ち着いて、脳の検査でもてんかん波が見つからなくなってきて、いわゆる健常児と見分けが付かなくなるまで成長した。
療育手帳も、精神障がい者手帳も該当しなくなり、障がい者というテリトリーから外れた。
去年から主治医が変わり、徐々に減薬を進め、先週ついに、彼のてんかんに効いていた薬はゼロになった。このままゼロになって何もなければ夏に脳波の検査をしてお終いだ。
わたしのほうも薬を抜いて二週間過ぎたかな。最初の一週間はとにかく眠れず、毎日睡眠導入剤を飲んでいたが、それでも脳が覚醒していて幻覚を見たり眠れず息ができなかった。
ようやく一週間経ち睡眠薬を飲まなくても短い時間眠れるようになってきた。
「ママやっと落ち着いてきたね」
二週間経ち息子にそんなふうに言われるようになってきたが、疲れやすくなったり、フラッシュバックが起こりそうになったり、仕事辞めたくなったりと苦闘している。
苦しみから逃れるために薬を飲むのか、苦しみを終わらせるために薬を断つのか、どちらが正解か分からない。
でも薬が苦しんでいた私を救ってくれたのは、次男のときも今の治療でも事実だし、完治したいのもわたしの気持ちだ。
ポケットの中、車の運転席、いろんなところに置いていたカラフルな耳栓を捨てはじめた。
今の私には要らない。今まではまた症状がぶり返すのが怖くて捨てられなかった。
今でも音が怖い。左後ろに人に立たれるのが嫌だ。後部座席には誰も乗ってほしくない。
精神科医の言葉を思い出す。
「次の診察日まで乗り越えれば、あなたはもう大丈夫ですよ」
今年の終わりか来年目指して、個展やりたいなぁなんて考えてます。自腹でいいから、メーカー系じゃないところで小規模まったり展。
苦しんだら、その分昇華すること。
わたしなりのペースでやっていきたいです。
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