「拒食症」「過食症」の正しい治し方と知識
精神科専門医水島広子
病気になったということは生き方を見直すチャンスを与えられたということ。
過食症の人は自分の体型や体重を過剰に気にする。
やせれば自分の価値が上がると考え、太ると人間としての自分の価値が下がると考える。
体重が減った時には比較的活動的になるが、体重が増えてしまうと体から家から出られなくなるという人もいる。
きっかけは誰かとのやり取りで、怒り、罪悪感、自責感、不安を感じかる胸にたまったモヤモヤをなんとかしようとして起こってくるのが過食の症状。
(以前のやり取りを思い出したりして起こることもある)
痩せたいのに過食が止められない自分のことを情けない人間だと思っている。
過食をコントロールできない自分に強い罪悪感を抱いている。
過食を続けていることで自分の価値を低く決めている。
拒食はやせたいという積極的な気持ちではなく体重を減らすのは怖いという方が近い。
過食はストレスに行き詰まると過食する。
拒食症になる人は基本的には自分で努力するタイプ。
いい子にしていても周りの子供達から必ずしも好かれるとは限らずかえっていい子ぶりが鼻について嫌われてしまうこともある。
そんな中体重だけはコントロールが出来るので安心感と達成感を得ることができる。
拒食症になりやすい人は基本的に不安が強い。
過食は自分を嫌いだと思う気持ちが蓄積されていた所にふとしたきっかけをもって起きる
過食症の二つの治療法
対人関係療法
どんな対人関係パターンが過食のエネルギーを作り出しているだろうかというところを見ていく治療法。
対人関係に自信がつく→過食症状もよくなる
全ての対人ストレスは
自分が相手に期待していることと相手が現実にやっていることが違う
相手が自分に期待していることと自分のやりたいことが違うという役割期待のずれ
相手ができることなのか
本当に期待されていることなのか
ちゃんと伝わっているかなど
認知行動療法
食生活に気をつけて食生活や下剤の乱用などを全般に是正(ぜせい)し、さらにどのような偏った考え方か過食につながっているかということを見ていく治療法。
向き不向きはかなりはっきりと分かれる
拒食症の治療は安心という要素をベースにしながら対人関係療法や認知行動療法の役立つ要素を取り入れるのが最も良い。
自分のペースで物事を進めても大丈夫だということを確認できる環境になる
キーワードは安心
人に相談したり助けてもらったりしながら実現する方向に変える
痩せれば全て解決するような気持ちが強くなったとしたら自分の心があまり健康な状態ではないと考えられる
自分の生活のストレス(不安や自分を嫌いになるようなこと)を見直しそれを解決する。
今の自分の生活で何が苦しいのだろうか
体重が減ってしまうと家族が心配するので、その心配に振り回されるようになりますます本人のやり方が乱されることになる
過食も当面は必要なものである
過食があるおかげでもやもやとした気持ちに押しつぶされずになんとか生きているから
あまりにも強いもやもやとした気持ちにやられてしまわないように強い気持ちにできるだけ直面しないで済むようになんとか自分を守っている症状
まずは自分には過食が必要なのだと過食の価値を認めてあげる事が治療の第一歩
自分の気持ちを話すことについて主に三つの不安がある
①自分の気持ちが他人からどう思われるかという不安
嫌われるのではないか
駄目な人間だと思われるのではないかなど
②自分の気持ちを話すことによって怒るトラブルを恐れる気持ち
良い人でいようとする摂食障害の人は他人からどう思われるかという不安を持っていると同時に人間関係での対立が強い
③自分の気持ちを打ち明けることで人との距離が近くなることが怖い
人との距離が近くなって本当の自分を知られてしまうと嫌われるのではないかと思う
摂食障害になる人は基本的にノーと言えないタイプなので人に振り回されやすいという特徴がある
相手のペースに振り回されるのではないかということ
自分の感情をまっすぐ見つめ自分が怒り罪悪感不安という気持ちを抱いていることを認めそういう気持ちが出てくるような状況に置かれているんだなと受け入れることはとても重要なポイント。
こういう気持ちは感じるべきではないと自分を責めるモードになってしまうので人に話を聞いてもらうことが重要。
人に話を聞いてもらう際には話を聞いてくれるだけでいいと明確にした方が良い
共感的に話を聞いてもらうことだけであって何かのアドバイスを求めているわけではない
感じるしかない感情については今はそういう時期だから仕方ないんだなと受け入れせき止めることなく感じていくことがとても大切
症状の話題については触れずに、ただ不安な気持ちを共感する
不安をなくすのではなく寄り添うことが大切