クリスマス・イヴ 国語科の深い悩み
クリスマス・イヴ。まだ仕事は終わらない。明日まで授業日だ。コロナの影響で、授業日数の管理が大変だ。いわゆる休業日が削られて、ギリギリまで授業が行われている。
次年度の準備をする時間がない
2021年度より、国語科の評価の観点が5観点から3観点になる。これは国語科にとっては「激震」である。評価の枠組みが非常に大きく変わるのだ。
例えば「鑑賞文」を書かせたとする。今までならば「書くこと」または「読むこと」のどちらかで評価すればよかったのだが、今後は、この「鑑賞文」を基礎的な理解である「知識・技能」として指導したのか、それとも深い理解としての「思考力・判断力・表現力」として指導したのかで判断することになる。もちろんその際に評価基準(ルーブリック)が必要だし、事前に生徒に評価基準を知らせておく必要がある。
もはや「闇討ち」評価は禁止だ。ゴールが分からずに走れる生徒などいないのだから。
OJTで提案したものの・・・
今年の校内OJT授業では、こうした変化に伴って「思考力・判断力・表現力」をどのように指導し、評価をするかについてデモンストレーション的な授業を行った。*1これまでの授業で練習してきたスキルと枠組みを用いて、自分の考えを表現する(書くこと/話すこと)授業である。教材自体も生徒にとっては初見の持ち込み教材である。
見どころとしては、①情報の取り出し ②既習のスキルの活用 ③スパイダー討論 ④三角ロジック である。特に、③のスパイダー討論は、同僚への手法の紹介と共に、生徒が協働して課題へのアプローチ方法を考えることで、学びへの*2好奇心と安心感を持てるようにする狙いがあった。
*3新学習指導要領では、こうした生徒のパフォーマンスを評価する場面を増やし、一発勝負のテスト評価だけではなく、時間をかけて生徒の力を育成し、形成的評価を繰り返した上での総括的評価が求められる。多くの成長のチャンスを生徒に用意するのである。
そのために、年間を通した計画的なカリキュラム・マネジメントが必須である。国語科の「単元デザイン」は、どの教材で、どのスキルを扱うのか、どの枠組みを学ぶのかを計画的に配分する。カリキュラム・マネジメントでは「教科書教材を中心に基本的な知識・技能を習得する時間」と「パフォーマンス課題や成果物をクリアする時間」をバランスよく配置することになろう。
今後は、国語科で主に取り扱う内容を整理する。生徒は、これらを様々な教材を通して3年間繰り返し学習することでスパイラルに力を身に付けていく(ことが理想である)。
私たちに「明日」はあるのか?
生徒との協働で授業をつくっていく2021年が、間もなくやってくる。
しかし、準備は遅々として進まない。
GIGAも授業も、教師個々の力量に委ねられている。このままでは、いつもの「例年通り」に陥るのではないかと、不安でいながら解決策を提示できるほどの余裕もない。病休の職員も出た。
イヴの夜だけど、今日も、悩ましい。
*1)P4L20 1回1回の授業で全ての学びが実現されるものではなく、単元や題材など内容や時間のまとまりの中で、学習を見通し振り返る場面をどこに設定するか、グループなどで対話する場面をどこに設定するか、児童生徒が考える場面と教師が教える場面をどのように組み立てるかを考え、実現を図っていくもの…。(学習指導要領(国語編)第1章総説より 抜粋)
*2)『「おさるのジョージ」を教室で実現 好奇心を呼び起こせ!』新評論(2020)P94参照
*3)P1L15 このような時代にあって、学校教育には、子供たちがさまざまな変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、様々な情報を見極め知識の概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。(学習指導要領(国語編)第1章総説より 抜粋)