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Well-Being(しあわせ)
わたしたちは、楽しいことがあった時、おいしいものを食べたとき”しあわせ”と感じることがありますが、この短期的な心の動きは長くはつづきません。では、Well-Beingとはどんなことなのでしょう。日本で幸福学の研究をしている慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生から教えていただいたことをもとにWell-Beingについて書きたい
ハッピーとWell-Beingの違い
しあわせの定義については、2つの考え方があるようです。
快楽主義(bedonism)と幸福主義(eudaimonism)。
前者は先ほど短期的な心の動きにでてきたような”嬉しい”とか”楽しい”といった一時的な感情、お酒やドラッグで得られるような快楽まで一般的な用語です。
心理学などの分野では、自らの楽しみ方や人生の中で行ってきたことに対して「ああよかったな」としみじみと感じる入るようなことで学術用語としてWell-Beingが使われています。
身体的・精神的・社会的に良好でみたされ、健やかな状態の持続。
人生の一部分や場面に対する心の動きではない、個別の様々な満足や不満も含め、人生がみたされているかどうかを表すことです。
これからは持続型(長続きする)しあわせ
イギリスの心理学者ダニエル・ネトル
最近、ESG投資の中でもきく話ですが、経済学の概念である「地位財」と「非地位財」について。
金、物、社会的地位など他人より多く所有(ため込む)していることによって満足を得る財で周囲との比較でしか得られないものが「地位財」
これは上をみるときりがないし、ゴールがどこかもわからなくなるものです。残念なことに私たちはこの持続性が低い地位財を目指したがります。今でも少々時代に遅れている金融機関でも融資をする際にはここが基準になっていました。
一方で、他人や周囲の人と関係なく喜びが得られるものが「非地位財」。
有害物質が少ない、といった外的要因や健康状態などの身体的な要因もふくまれていますが、自由や自主性、愛情、社会への帰属意識といった、形のない心理的要因です。形がないので自分が他人よりどれだけ多くもっているかということが分かりにくい実感しにくく目指しにくいのですが、自他の比較とは関係なく得られるしあわせです。
ノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマン博士は、人間の愚かな特性を以下のような言葉で言い表しています。
「感情的幸福」は所得に比例して増加するものの、ある一定の年収を超えると比例しなくなる。
まさに、現在の企業では本来、社員と社員の家族、またあらゆるステークホルダーをしあわせにするために存在するはずなのに、「儲からなくては社員をしあわせにしたくてもできない」と利益確保を追求するあまち、働く社員の過重労働やステークホルダーを切り捨てるといったことになっているのではないでしょうか。
化学的に測ることができるようになってきたしあわせ
前野隆司教授は、この形のないしあわせを因子分析という手法で解析してこられました。人生のしあわせは大きく4つの因子を満たすことによって得られる。
・やってみよう(自己実現と成長の因子)
・ありがとう(つがりと感謝の因子)
・なんとかなる(前向きと楽観の因子)
・ありのままに(独立と自分らしさの因子)
また、最近の調査では、はたらくひとのしあわせ7因子、ふしあわせ7因子について分析されてきています。